'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
ウィクトーリアとローズSへ!オークス最先着馬の貫禄みせるか
2019/9/13(金)
3日間開催は残念ながら、珍しく騎乗数が集まらなかったが、秋華賞トライアルのローズSではウィクトーリアとのコンビで挑む戸崎騎手。ご存知の通り、母ブラックエンブレムは秋華賞勝ち馬ということもあり、秋の飛躍が期待されるところだ。先週の紫苑Sに続き、3歳牝馬重賞を2週連続勝利となるか。期待したい。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
-:今週は中山・阪神・中山での騎乗となりますね。月曜のセントライト記念(G2)ではアドマイヤスコールが登録していたものの、あえなく除外に(日曜の阪神にスライド)。日曜はローズS(G2)でウィクトーリアに騎乗されますね。春はフローラSを好時計で快勝し、オークスでも出遅れがありながら、4着と健闘しました。
圭太:中間は栗東で調整を進めているので跨がらせてもらっていませんが、先生から聞くところ、いいコメントも耳にしていますし、ひと夏を越しての成長に期待しています。
-:2走前は逃げを意識されていながら、出遅れ。そこから追い込みに転じての競馬。ただ、前走は出遅れがなければ、と悔やまれるところ。隣の枠の馬もかなりテンションが上がっていたようですが、その影響もありましたか?
圭太:いや~周りとの兼ね合いよりも、馬自身のものだと思いますし、今回もしっかり出てくれるかどうか…。そこが一番のポイントだと思います。前回は出遅れるにしても伸び上がるような出方なので、余計にロスになりましたね。スタンド前発走もそこまで気にならなかったように、返し馬などではコンディションの良さを感じていたのですが。それでも能力の高さは証明してくれていますから、今回も力を出し切ってほしいですね。
-:今回は距離も短くなっての競馬。以前は逃げて結果を残してきた馬ですが、今回の条件はどうでしょう。
圭太:2000mくらいがやっぱり合うんじゃないですかね。春はちょっと線の細いイメージもありましたし、フックラとしてくるようなら、より楽しみは膨らみそうです。でも、芯はしっかりした馬なのでね。楽しみです。
▲栗東トレセンで追い切りを行うウィクトーリア
-:先程のアドマイヤスコールは日曜の能勢特別を予定。追い切りに乗られましたね。
圭太:順調にはきていそうですね。聞くところ、勝負どころでモタつく面があるそうで、確かに乗せていただくとそんなイメージ。でも、そこから盛り返して伸びるんですよね。スパッと動けるタイプではないことを把握できたので、考慮して臨みたいですね。
▲アドマイヤスコールに騎乗する戸崎騎手
-:土曜中山の古作特別ではグランソヴァールが予定。春は掲示板には載るものの、あとひと押しというレースが続きました。
圭太:堅実だけど、もう一歩なんですよね。そこを補う乗り方ができればと思います。
-:8Rのクインズラミントン、7Rのエクリリストワール (共に3歳上1勝クラス)とどうでしょう。
圭太:クインズラミントンは1200mが忙しいことは事実も、クラス的には上位の存在だと思います。エクリリストワールは前走が強い勝ち方でした。気性的に難しいところはありますが、力を出し切って走ってくれれば、このクラスでも期待できそうです。
-:2Rのサトノアレックス、1Rのアルカウン (共に2歳未勝利)と2歳勢も楽しみなところです。
圭太:サトノアレックスの乗り味はいいモノがありますし、ポテンシャルの高い馬でしょうね。ただ、前走はスタートでついていけなかったので、ひと叩きの効果で前進はありそうです。アルカウンは使うごとに良くなってきましたね。いいスピードを活かしたいです。
▲ジョッキーのJRA通算1000勝目となったエクリリストワール
-:そして、先週の重賞・紫苑S(G3)のパッシングスルーはおめでとうございました。実は久々の重賞制覇でしたね。
圭太:ありがとうございました。
-:レース前も良い手応えを感じていたと思うのですけど、枠が大外枠(15番)ということだったので、心配していました。実際にレースに乗られて、いかがだったでしょうか。
圭太:枠順の大外はちょっとどうかと思いましたけど、良いように考えました。レースは上手な馬だったので、中途半端に乗るよりは思い切って乗ろう、という感じでしたけどね。ああいう枠になると、内側の馬の動きで展開が変わってくるので、一番良い形の展開にはなったかなと思いますけど、こっちがどうこう出来る部分でもないので、その中では自分が思っている最高の形になったかなと思いますね。あまり後ろからという馬でもないので、前に付けたいなと思いながら、前目に付けるとしても、内側の馬がある程度主張してくれば、もっと外を回っていたでしょうし、すんなりと3頭目の中に入れたので、あそこが一番のポイントだったかなと思いますけどね。それがもう1頭いて、4頭目だったらキツいでしょうし、その後ろに下げられたかと言うと、ちょっと分からなかったですし、色々噛み合ったレースだったと思いますね。
-:状態面は前回と比較していかがだったですか。
圭太:返し馬から元気が良かったですし、調子が良さそうなのは感じましたね。
-:流れ的には想定していた通りだったのでしょうか。
圭太:そうですね。あのポジションで良い形で走れたので、ペース自体もちょうど良かったのかなと思いますけどね。
-:最後はかなり接戦でしたけど、スローで見ると勝ったかなとは分かりましたけど、実際に乗られていて、勝ち負けの実感はありましたか?
圭太:僕は勝ったなとは思ったんですけど、レースから上がってくると「どちらか分からない」という話が出ていましたね。レース映像を観たら、負けているんじゃないのというくらいの映像でした。本当に頭の上げ下げで出た所がゴールだったので、結果も一番良い形になったと思いますね。
-:将来性はどうでしょうか。
圭太:牝馬の割に馬も立派ですし、力もある馬で、重賞勝ちも出来ましたから、先々楽しみじゃないですかね。僕はこういう4つコーナーの方が、切れるというよりも長く脚を使える持ち味を活かせると思うので、良いのかなと思いますけどね。
-:今後も楽しみです。木更津特別4着のスイートセントはいかがだったでしょうか。
圭太:理想通りのポジション、形は取れたと思うのですけど、ちょっと伸び切れませんでした。それを考えると、道中の流れであったり、体重も10キロ減っていたので、前走勝った時も、もう一回りくらい大きくなってくれば良いなとも感じました。マイナス10キロはちょっと影響しているのかな、とも思いますね。状態自体は悪くは感じなかったですけどね。
-:2歳新馬2着のブリジャールは惜しい結果でしたが、ロングスパートのような形で粘り込みました。
圭太:この馬も良い形で進められたかなと思いますし、凌いだかと思ったんですけど、最後は差されてしまいましたね。でも、雰囲気は悪くないですし、すぐ勝てるような馬だと思いますね。
-:アスター賞7着のエヴァーガーデンはいかがでしたか。人気を思えば、意外な結果でした。
圭太:初めて乗ったので何とも言えないですけど、返し馬で歩様の硬さを感じましたけどね。松岡(正海騎手)は「良い馬だ」とは言っていましたし、背中の感じも悪くないんですけど、雰囲気からすると、ちょっと北海道で走っていた疲れがあるのかなという気がしますね。レース後「フケが来ているかも…」というような話もしていたので、そういうところが影響しているのかもしれないですね。もう少し走れて良い馬だと思いますね。
-: (2歳未勝利2着の) ヴォールヴィコントはどうだったでしょうか。惜しい結果でしたが、序盤は追走にも苦しそうでした。
圭太:全体的にちょっと忙しいところがまだ見受けられる感じですけど、安定して走っては来ているので、勝つレベルではあると思うんですけどね。良い形では走れていましたけど、多分、東京の1400くらいがベストかなと思いますね。
-:京成杯AH (G3)はクリノガウディーに約1年ぶりに乗られていました。
圭太: (2着の)ディメンシオンの競馬をしたかったなという感じですね。僕が思っていた競馬をされてしまったなと。外の方がスタートの勢いも良かったですし、その後ろになってしまったということで、後手、後手に回る形でしたね。ただ、思ったよりも折り合いも付いて、収まっていた感じはありましたね。
-:厩舎では「春に行き過ぎた分、なるべく控えさせたい」と常々言っていたんですけど、そういう指示はあったのですか。
圭太:それはありましたけどね。ただ、2列目で競馬をしたかったので、本当はもう1個前で競馬がしたかったですけどね。それに、時計の速い馬場も合わなかったと思いますけどね。ちょっと堪えるかなぁ。
-:3歳以上2勝クラスで1着のリフトトゥヘヴンはいかがだったでしょうか。
圭太:前に勝たせてもらった時よりも力も付いていました。もともと楽な勝ちっぷりをみせていたように、ある程度、上には行くなと思っていたんですけど、力強い走りは見せられたのかなという感じですかね。
-:外房Sで1着のレッドアネラは昇級しても対応しましたね。
圭太:前走で勝った時も最後が甘かったので、今回はどうなのかなというのはありましたけど、毎回良いスピードは見せてくれていましたし、最後は前走以上にシッカリしていたと思います。踏ん張れましたね。
-:今回は良い意味で予想を上回る結果だったということですね。
圭太:そうですね。
-:中山と福島で大きな差はないと思うのですが。
圭太:全然、ありますでしょう。あの50mがやっぱり全然違いますね。
-:中山の方が(坂があって)しんどいじゃないですか。
圭太:分が悪いなと思いましたけどね。馬が良くなっているとしか、思えないですよね。
-:それは、レース前にある程度感じられる部分はあったのですか。
圭太:いや~、特には。そういう意味でも、予想以上の走りをみせてくれました。
-: (3歳以上1勝クラス) スティルネスはスムーズさを欠いてしまいましたね。
圭太:ちょっと道中でリズムを崩してしまったのが最後響いているので、もう少しスムーズに走らせたかったな、というところがありましたけどね。
-:そういう意味では、(習志野特別4着の) トゥーフラッシーは着差は離れていますけど、予想以上に頑張った感じがしました。
圭太:そんなにコテコテのダート馬ではないですからね。斤量も軽かったですし、レースセンスは本当に抜群な馬なので、ある程度やれるんじゃないかなと思っていましたけどね。
-:ありがとうございます。ということで、今週はこんなところになります。現時点での遠征スケジュールはどうなっていますか?
圭太:今のところ、10月は秋華賞(G1)だけの予定ですね。
-:スプリンターズS(G1)のステルヴィオなど、楽しみな騎乗も控えておりますが、引き続きよろしくお願いします!
※次回は9月20日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。