'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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秋華賞はパッシングスルーとコンビ&先週は重賞V2!
2019/10/11(金)
牝馬三冠ロード最終章へ。今年はトライアルの紫苑Sを制したパッシングスルーで秋華賞に騎乗することになった戸崎騎手。春のクラシックを沸かせたウィクトーリアの引退というアクシデントに見舞われたものの、夏競馬からコンビを組んだパートナーと臨むことになったが、馬場を味方に一発となるか。また、先週は東京&大井で重賞制覇。ジョッキー自身の勢いにも注目だ。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
-:先週は木曜に行われたレディスプレリュード(Jpn2)をアンデスクイーンで、毎日王冠(G2)をダノンキングリーで勝利。おめでとうございます。まずは大井のレディスPは重賞連勝となりましたね。
圭太:ありがとうございます。今回は内枠ということもあり、前目の位置を意識はしていたのですが、気の難しいところもある馬で後方からに。ただ、仕掛けてからの反応は良くて、最後も遊ぶところがあったほど。乗せていただいてから、使うごとに良くなっていますね。
-:次はJBCというプランもあったようですが、みやこS(G3)とのことですね。(クラブの馬で)既に5歳ということもあり、レース選択の幅もなかなか限られてきてしまいます。
圭太:そのようですね。次は僕が乗ることができませんが、ここへ来て力をつけており、まだまだやれるチャンスのある馬だと思います。
-:ダノンキングリーは秋初戦を勝利。あくまで自分の意見では、斤量差もあったので、これまでの実績と今後、戦う相手を思えば勝ち負けにならないといけないレースだと思いました。
圭太:2週前の追い切りで乗せていただき、心身の成長も感じていたのですが、レースにいっても成長は感じました。ゲートは精神面の影響もあったもので、周りの動きに影響されたための出遅れ。今後も課題になるといいますか、成長していってほしいところですが、まずはいい走りができてよかったです。
-:ダービーは先行する形でした。今回も先行する競馬を意識していたそうですね。
圭太:はい。馬場は逃げ馬も残る馬場ですし、芝のクッションもよく速い時計が出やすい状態。ただ、ああいう形になってしまったので、腹を括って後方からに。直線もスムーズに進路をとることができ、ラストの瞬発力には自信を持っていました。
-:次はマイルチャンピオンシップ(G1)になるそうですね。
圭太:古馬との対戦でもいい走りをしてくれましたし、次も楽しみですね。持ち前のキレ味を活かせる競馬なら、十分にやれるんじゃないかと思います。
-:そして、3日間開催ですが、台風接近、上陸が予報されており、天気は危ぶまれますが、まずは通常通りの日程でここは伺っていきたいと思います。秋華賞(G1)はウィクトーリアが引退という残念なアクシデントがありましたが、パッシングスルーで挑まれることになりました。今回は馬場が気になるところです。
※土曜東京競馬は発表の通り、15日(火)に代替開催となりました圭太:京都はどれだけ台風の影響があるのか、未知数ではありますが、パンパンの良馬場よりは時計が掛かった方がいいタイプ。道悪の程度にもよるでしょうが、どちらかといえば、いいんじゃないでしょうか。
-:確かに2走前の福島は稍重発表。開催2週目ではあったものの、芝の塊が飛んでいる馬場でしたね。
圭太:そうですね。福島の時は完勝という内容でした。返し馬、道中と危なげなく運べましたし、着差通りの強い内容でしたよ。
-:ルーラーシップ産駒らしく、脚は長く映ります。ゲートを出てもサッとスピードに乗らないあたり、外枠の方がレースはしやすいタイプですか。
圭太:どうだろう。そんなことはないと思いますけどね。前走は大外ながら、上手いこと中に潜り込めたレースでしたし、僕が乗ってない時も内枠から競馬もしているようですからね。まあコーナー4つのコースが合うタイプだと思っていますし、いい競馬をみせたいですね。
-:月曜の府中牝馬ステークス(G2)ではクロコスミアが予定しています。
圭太:前回も言ったと思いますが、スタートをしてからの進み具合など休み明けといった走りでしたね。実績のあるコースですし、ヴィクトリアマイルでも好走したようにハナにこだわる馬ではありませんからね。センスの良さを活かした競馬をしたいです。
-:重馬場でも実績のある馬ですが、馬場適性についてはどうでしょう。
圭太:う~ん、自分は速い馬場のほうがいいくらいじゃないかと思いますね。
-:火曜7R(3歳上1勝クラス)のボヘミアラプソディは昇級初戦となります。
圭太:前走はハマったにしても強い勝ち方で力をつけていると思いました。気性的な理由から、ハマり待ちの面は否めませんが、あれなら昇級しても、と思います。
-:上がりも次位に1秒以上速い内容でしたね。日曜京都3R(2歳未勝利)のラキは新馬戦でも騎乗していましたね。
圭太:新馬もいいセンスをみせてくれましたし、あんな競馬ができればいいですね。あとは相手次第でチャンスは回ってくるでしょう。
-:月曜2R(2歳未勝利)のサトノアレックス、5R(2歳新馬)のサトノグリアンはどうでしょうか。
圭太:サトノアレックスはなかなか素質を出し切れない現状。気性が難しいですからね。上手くアプローチできればと思いますが、ワンターンへのコース替わりはプラスだと感じます。サトノグリアンはもう少し体質的にしっかりしてほしいところはあるのですが、トビは軽い馬ですね。
-:最後に12R(3歳上1勝クラス)のクリップスプリンガですが、惜敗が続いています。
圭太:勝ち味に遅い面は否めませんが、コース適性はピッタリですね。どうにか結果を出したいところです。
-:残りのレース回顧もお願いします。ワンダーリーデルは危惧されていた休み明け、距離でしたが、3着には浮上しました。
圭太:やっぱり全体的に忙しいですね。直線で伸びてこられたのは力があるからこそ。いいペース、距離なら、まだまだやれると思います。
-:フェイズベロシティもペース的には合わなかったですかね。
圭太:位置をとりたかったのですが、ニの脚もつかず、後ろからの競馬に。最後も脚は使ってくれていますが、あのペースでは厳しかったですね。
-:キングリッドは1400の方が競馬はしやすいのでしょうか。枠も大外は決して良くないかなと思いました。
圭太:脚の使いどころの難しい馬ですし、外枠で力んでいました。上手くレースができれば、1600でもカバーできるでしょうが、やっぱり1400の方がいいでしょうね。それに内枠の方がいいです。
-:新馬のダノングロワールはセレクトセールで高額落札された馬。一度使ってからの変わり身を期待したいところです。
圭太:そうですね。全体的におっとりしていますし、使って良くなってきそうです。
-:コウエイアンカは1000、1200mと使ってきての距離延長。出脚がいいのは分かるのですが、そのまま最後も強い内容で押し切りました。
圭太:馬体は立派な馬でしたね。ゲートが上手くいかなかったものの、二の脚が速かったです。番手でも掛かり気味でしたが、辛抱してくれて、直線でも押し切る強い内容でした。
-:サウジアラビアRC(G3)のアブソルティスモはどうだったでしょう。
圭太:先着された2頭については強いなと感じましたね。馬自身はまだ若さもありますし、少しワンペースな感もありますね。スタートを出てくれて、リズムよく行きたかったのでハナにいきました。
-:ブルベアイリーデはここでもやれていい存在だと思いました。
圭太:道中、砂をかぶってフワフワするところはあるのですが、この日に関しては上手に走れていたのです。それが良くなかったのか、時計が速かったのか、分からないですね。ただ、休み明けということもありますし、まだ今後も楽しみですよ。
-:グランソヴァールはダートに戻っての勝利。内容も強いレースぶりですね。
圭太:芝を使っていたことで力をつけていたのかもしれませんが、未勝利を勝った頃よりもレベルが上がっていると感じる内容でしたね。
-:ラッシュアップは2歳牝馬と思えぬ大型馬でしたね。
圭太:どちらかといえばパワー型ですね。ポテンシャルはいいものを持っているのですが、あとはテンション次第と思っていました。上手に競馬をしてくれましたし、強い競馬でしたね。
-:アメリカンニーニャは1番人気に支持されていました。
圭太:感じはいいものを持っているのですが、まだ非力な馬ですね。馬体重はありますが、線の細さを感じました。
-:ヴォールヴィコントは距離延長がプラスだと思ったのですが、まさかの結果でした。
圭太:本当にそうですね。ベスト条件かと思いましたが…。
-:ペルラネーラは差し切り勝ちでしたね。
圭太:すごく大人しい馬で、まだスイッチが入ってないという印象。モタモタするところはありましたが、最後はいい伸び脚。ポテンシャルをみせてくれました。
-:今週は以上となります。次週は東京での騎乗となるようですが、無事に3日競馬を乗り切れるといいですね。次週もよろしくお願いします。
圭太:よろしくお願いします。
※次回は10月18日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。