'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
お得意浦和でJBC初制覇目指せ&南関東競馬に纏わるエピソードも初披露!
2019/11/3(日)
地元で初戴冠を目指す。今年は史上初めて浦和競馬場で行われるJBC。今秋からスタンドが新設され装い新たに行われるダートの祭典だが、地方競馬時代を含め、戸崎騎手にとってはこれまで未勝利のレース。しかし、浦和といえば、当地の重賞をほぼ複数回制しているようにジョッキーにとっては相性のいい地でもある。南関東出身として、初めてのJBC制覇がゆかりある舞台となるのか。例年以上に注目だ(聞き手:競馬ラボ・小野田)。
-:さあJBCが月曜日に迫りましたが、まず今年は浦和開催ということが、これまでとは大いに違うポイントですね。コンパクトな競馬場でもあり、正直、僕としては期待も不安もあるところです。
圭太:僕が一番心配しているのは、装鞍所の行き方など、セキュリティ面が一番気になっているところですね。そういった運営面は競馬会にはきちんとしてもらいたいなというのもあるし、ファンの人たちはみんなジョッキーの姿を観たいでしょうから、押し寄せてくるのでしょうけど、しっかりとやってもらいたいところですし、ファンの方にも協力してもらいですね。競馬場周辺は住宅ですし、大変ですよね。近隣の方々には迷惑を掛けないようにしてもらいたいですよね。
-:3万人の来場を見込んでいると書いてありましたけど、大丈夫かなと。
圭太:(藤田)菜七子も有力馬に乗るし、それで落ち着くのかな…。
-:まずパドックは観られないでしょうね。
圭太:浦和には愛着もあるので、本当に盛り上がってもらいたいところでもありますが、ルールを守っていただきたいですし、みんなで協力して、無事に終わっていただければなと思いますね。
-:新スタンドが出来てからレースでも乗られていますね。
圭太:乗っていますね。スタンドはビッチリでしょうね。楽しみではありますけど、浦和競馬場が一杯になるのが、あまり経験がないのでね(笑)。まあ楽しみです。
▲浦和ダ1400mのオーバルスプリントは4連覇・通算4勝と好相性(写真は2017年)
-:コースは変わっていないでしょうが、そこについてもご教授ください。
圭太:スゴくトリッキーなコースなので、そこに対応出来るかも鍵になると思います。僕が乗せてもらう馬では、まず、2000mのJBCクラシック(Jpn1)のアンデスクイーンは基本的に広いところの方が良い馬なので、コースが鍵になると思いますけど、力的には出し切ってくれれば、男馬相手でも良い勝負が出来るんじゃないかと思っていますし、楽しみではありますけどね。1400mのJBCレディスクラシック(Jpn1)のモンペルデュの方は良いスピードとセンスで勝っていますので、その面に関しては1400もこなしてくれるかなと思っていますから、スピードを活かした競馬で、レースに臨みたいなと思っています。
※JBCスプリント(Jpn1)でもドリームドルチェに騎乗
ただ、JRAの馬はコースがみんなポイントになると思います。まず、浦和の経験も浅いでしょうからね。1400mは距離に関係なく、やっぱり中央の馬たちはコーナーワークを経験したことがないと思うので、しっかりコーナーリングさせたいですね。あとはG1と浦和独特の路盤の雰囲気もあるので、戸惑いがなければ良いなと。
-:少し前に3~4コーナーにかけて、硬い路盤を直したんですね。
圭太:JBCに向けて直したようですね。ただ、未勝利や500万の馬だったら、まだ関係ないですけど、本当にスピードがある馬たちが揃った時にはコーナーリングはより大事かなと思います。
-:やっぱりキツいですか。
圭太:コーナーはキツいですよ。とはいえ、川崎の方がコーナーはキツいかな。ただ、乗りがいがある競馬場ですよね。基本的に先行が有利なのですが、後ろから行っても差せる競馬場です。そういった面では色々な乗り方が出来るかなと思いますね。ただ、一筋縄ではいかない競馬場ですよ。
-:お話を聞いている限り、浦和競馬場に対してスゴく前向きさが伝わってくる感じですね。
圭太:そうですね。ただ、それに対応出来る、出来ないはあると思うんです。馬の適性も出てきますね。
-:浦和の重賞もかなり勝たれていますね。
圭太:そうですね。たくさん良い馬に乗せていただいていましたからね。
●戸崎圭太騎手と浦和競馬場の重賞
・ダートグレード競走
浦和記念 2勝/さきたま杯 2勝/オーバルスプリント 4勝
・南関東重賞
桜花賞 2勝/ニューイヤーC 1勝/埼玉新聞栄冠賞 1勝
しらさぎ賞 4勝/ゴールドカップ 2勝/ユングフラウ賞 2勝
-:1400に関しては内枠の方が良いですか。
圭太:別にそうとは限らないと思いますけどね。1500だったら、内よりは真ん中くらい。1600は内ですけどね。2000はある程度、力勝負になりますし、アンデスクイーンにとっては良さそうですね。
-:路盤という意味では、馬場に関しては、雨が降ったら場合はどうでしょう。
圭太:雨が降ったら、基本的に前残りですね。
▲クラシックでコンビを組むアンデスクイーンとレディスCのモンペルデュ
-:まず、初のJBCとなる浦和の成功を祈りたいですが、来年は大井らしいですね。
圭太:無難なところではありますね。地方の競馬場としてはやってもらいたいという思いはあるでしょうからね。出来るだけ、他の競馬場でも出来る環境、態勢を作ってもらって、本来の理念通りに毎年、色々なところでやれれば、もっと盛り上がるのかなと思いますけどね。
-:地方交流重賞といえば、最近、交流競走騎乗時のヒゲも気になるところですが(笑)、南関東関連の話題でいえば、この前ちょっと気になりました。競馬学校生の合格者が発表されて、川崎の佐藤博紀調教師(元ジョッキー)の息子さんが合格されていましたね。
圭太:おお、していましたか。良かったですね。
-:この前のジョッキーベイビーズもそうですけど、南関時代の関わりがある人のお子さんたちが、段々自分と一緒に乗る可能性が出てくることについては、何か感じるものはありますか。
▲10月30日には船橋競馬場で行われたトークショーに出演
圭太:あまり実感はないですけどね。ただ、関係者というか、一緒に乗っていた人の子供たちが来ると嬉しいですよね。どちらかと言えば、僕は地方競馬の方が馴染みはあるので、JRAよりも地方時代の騎手の方が親しみは湧きますね。
-:そういう意味ではもうベテランですね。
圭太:そう考えるとね。
-:見た目は若いですし、若返り策じゃないですけど、30代半ばくらいから色々とファッションもトライされている感じはありまして、若々しさを保たれていますが(笑)。
圭太:もう40歳ですからね。でも、そこまで意識してないですよ。ただ、もっともっと人として、ジョッキーとしてシッカリしなきゃマズいですね。
-:ちなみに水曜の船橋では、JBCへ向けたトークショーに出演されたそうですね。どんなお話をされたのですか。
圭太:1回目は自分のこと(天皇賞・秋のことなど)を話して、2つ目は石崎(隆之)さんと一緒に船橋のこととか。
-:僕は石崎さんも来られたと聞いて驚きました。もともと来られる予定だったのですか。
圭太:そうですね。打診はしていましたね。
-:南関東のリーディングジョッキーたちですから、豪華ですね。
圭太:石崎さんの名前が呼ばれて入って行く時に、スゴく歓声が起きて、さすがだなと思いましたね。僕にとっては、石崎さんには色々教えてもらって、一番好きなジョッキーで尊敬しているので。
▲今年3月には石崎隆之騎手の引退式にも出席
中央競馬開催前日ながら船橋競馬場へ駆けつけ、花束を渡した
-:そういえば、僕は石崎隆之騎手の引退について全く触れていなかったですね。「石崎さんがちゃんと引退するまで、そこはしゃべらない」と言っていたじゃないですか。
圭太:引退をしていないのに話すのが嫌だったですね。やっぱり騎手として見たかったし、ちゃんと免許が切れてから、そういう話はしたいなという思いで、言っていなかったですね。自分の中で嫌だったのかな。
-:この前、雑談で伺いましたが「JRAに行くことを勧められた」ということでしたからね。
圭太:もうずっと、ですよ。かわいがってもらったのが実習の時からなので。競馬場は違うんですけど、石崎さんが大井に乗りに来た時には、僕もずっと鞍掃除もしていましたし、石崎さんが競馬終わりの時に一緒に船橋に連れていってもらって、ご飯も食べさせていただいたり、本当にずっとかわいがってもらったので。
-:へぇ~、想像していた以上にけっこうな間柄なのですね。
圭太:そうですね。僕がリーディングを獲る年もアドバイスを頂いて、本当に一言、一言なのですが、スゴく重みがあって、今思えば、ああいう言葉があったから、やってこられたというのもあるなと。
-:そういうアドバイスにしても、やっぱり雄弁な方ではないのですか。
圭太:一言ズシッと来る言葉を言って…。だから格好良いですよ。別に何かを説明する訳でもなく、格好良いなと思いますよ。
-:職人タイプの感じなのですか。
圭太:そうですね。僕は石崎さんに教えてもらって覚えたというのがあるのでね。
-:石崎さんからすれば、そうなるキッカケというのは何だったのですか。
圭太:分からないですね。水曜も言ってくれていましたけど、最初から乗れると思っていてくれたみたいで、それが理由かどうか分からないですけど、そう言ってくれていましたね。石崎さんに付いて、色々勉強になったので、本当に幸せ者ですよ。
-:ちょっと引き合いに出すとアレですけど、大井の先輩よりも石崎さんの方が。
圭太:僕はそうです。ハッキリ言えますね。
▲恩師・石崎隆之元騎手とのツーショット
-:厩舎も船橋の主戦だったり、船橋競馬のジョッキーみたいな感じですね。
圭太:川島(正行)先生もそうですしね。そういった意味では船橋にも縁がありますね。石崎さんが乗っている馬で、わざわざJRAに連れていく馬も用意してくれて、それで「行ってこい」と言ってくれて、それはありがたい話ですよ。
-:大井在籍時代にJRAのG1出走馬でも騎乗のチャンスを回してくれた、なんて話を聞きました。そんな石崎さんも遂にムチを置かれて。
圭太:今はゆっくりされているんじゃないですか。にんにく栽培は今が時季じゃないですから(笑)。
-:そして、大井時代から石崎さんのにんにくの話はしていましたね。
圭太:行者にんにくね。僕は、あれは大好きです。
-:グルテンフリーでも食べられるのですか。
圭太:食べます、食べます。健康ですけど、臭いというのが、ちょっとネックなんですけどね(笑)。
※次回は11月8日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。