'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
復帰へまずは一歩&外国人ジョッキーが話題のJC週をどう見た?
2019/11/29(金)
手術から3週間。固定していた右肘のギプスをとる予定だった戸崎騎手。その後の容態は如何に。また、道悪の中で行われ、外国人ジョッキーが話題を集めたジャパンC週のレース回顧や同じく落馬負傷に見舞われた、あの騎手へのエールなど語ってくれた。
-:先週のお話では、遂にギプスを取られたはずですが、考えてみると、早いですよね。
圭太:はい、取りました。ただ、比較がないので、一般的に早いかどうかは分からないですけどね。でも、負傷箇所を留めているから、もう取れたのかもしれません。普通は留めたりはしないんじゃないかな。鎖骨をやった時でもしないですしね。だから、ギプス「だけ」は取れたんだと思いますよ。やっぱり2週間も着けていると、腕が重たいし、取ってスッキリしたいなという気持ちでしたね。ただ、取った時に痛いとは聞いていたので、不安になりましたけど、そんな思いで病院には行きましたね。
-:現在、患部の痛み、動きはいかがですか。
圭太:ジッとしていれば問題はなかったんですけど、寝ている時に痛みがまだジンジン来るところはありますけどね。
-:取ったのは良いものの、まだまだという感じですかね。
圭太:そうですね。開放骨折の傷口や骨折箇所よりは靱帯の方かと思いますけどね。骨はそんなにズキズキしているわけではないので。
-:ここから動かすというか、動かせる状態になってから、徐々にリハビリということですよね。
圭太:動かすというか、徐々に重力で肘を伸ばしていくという感じですけど、やっぱりまだ負荷は掛けてはいけないので、そういう範囲で徐々に動かしていく状態ですね。
-:先週のレースを観た印象を伺えればと思いますけど、ジャパンC(G1)はスワーヴリチャードの勝利という結果でしたね。
圭太:今年は抜けた存在がいないかなと見ていましたが、馬場も随分荒れていたみたいなので、合うかどうかはかなり影響したと思います。勝ったスワーヴリチャードは(オイシン)マーフィーも上手に乗ったといいますか、馬の力を出し切った騎乗でしたね。
-:1コーナーの入りもかなりインコースを意識していた感じはしますし、道中の溜め方も上手く溜まっている姿勢を保っていると観ていて思いました。
圭太:そうですね。去年も離れていたかもしれないですけど、3着と力はある馬ですからね。力を出し切れて、良い走りだったのかなと。調整法も変えられたようで、そういったところも噛み合った感じはしますけどね。
写真は大好きなストレイトガールの写真です。
私のベストショットです。
戸崎騎手の復帰を願ってオリジナル缶バッジを作りました。
競馬場で戸崎騎手ファンにプレゼントして復帰後は一緒に応援しようと思っております。
戸崎騎手も今出来る事を頑張っていると思いますので、私も出来る事を頑張りたいと思います。
戸崎騎手に幸あれ\(^-^)/
-:先週観ていて気になったのが、土曜日はさらに悪い馬場で、想像以上に雨が降りました。ああいう時というのは短期免許で来るジョッキーたちは上手いのは当然なのでしょうけど、マーフィーさんなんかも「ヨーロッパはもっと馬場が悪いよ」と言っていたように、もっと悪い馬場でやっている慣れやテクニック、騎乗のバランスなど感じる部分はありますか。
圭太:きっとそうですよね。それはあると思いますね。僕もまだ半信半疑のところがあるんですけど、アプローチの仕方がかなり違うとは感じますね。
-:もちろん短期免許の外国人ジョッキー以外にもヨーロッパ出身のルメール、デムーロの2人も道悪実績が良かったので、やっぱりそういうコンタクトのコツもあるのかなという気もしていたんですけどね。ちなみに、ダートは別として、芝のああいう馬場だと、かなり芝の塊が飛んでいました。後ろにいる馬は、芝でもキックバックは気になるものですか。
圭太:気になる馬は気になりますね。ダートよりも飛んでくるので、影響する馬は影響しますね。
-:その他の馬ではウェルカムSで12着のアモーレミオはこれまでずっと乗られてきた馬でしたね。
圭太:アモーレミオはやっぱり馬場が緩いのが苦手でしょうね。馬場は確実に影響していると思います。本当はもっとハミを取って、グイグイ行く馬なんですけど、(丸山)元気が上手なのか、馬場が渋って進みが悪かったのか、その辺は分からないですけど、いつもの走りとは違うと感じましたね。
-:この馬に関しては、よくコメントを見ていると「ジョッキーが上手く乗ってくれている」「ジョッキーがいつも乗ってくれるのがありがたい」といった談話をしょっちゅう見てきたイメージがありました。
圭太:まあ、それは先生がいつも言ってくれていますけど…。あの馬を乗る時に気を付けるところはありますけど、誰でも乗れる馬ですからね。
-:この馬に関しては、いつもそういうコメントを見ていたので、相当乗り辛いんだろうなという感じはしていたのですが。
圭太:ちょっと難しいところはありますけどね。
-:ただ、馬場に関してはやっぱり良くなかったということですか。他によく乗っている馬で言えば、銀嶺Sで1着のブルベアイリーデも、今回勝たれてしまいましたが…。
圭太:内枠も良かったですし、ああいう馬場も得意そうなので。前走も、距離は1400の方が良いのかなと思いましたしね。
-:色々条件が揃っている感じはしましたからね。上手いこと内も空いちゃっているし、という感じでしたしね。
圭太:空いちゃっているというか、そこをちゃんと乗っていくクリストフ(ルメール)がやっぱりさすがですよね。
-:ちなみに、ここまで3週間お休みをされていましたけど、何頭くらい自分が乗っていた馬が勝たれたとか、ご存知だったりしますか。
圭太:いや、ちょっと分からないな…。
-:今のところ、8勝していました。(8-6-5-34)の成績です。
圭太:8勝。やっぱり随分良い馬に乗せてもらっているんですね。僕が結果を出していなかったのかなと。
-:好走率はそんなに高くなかったですよ。勝率が15.1%、連対率が26.4%。いらっしゃったら、8勝していたということを考えると現在、112勝でしたか。今年も120勝くらいで終わっていたのかなという感じはしますが、先週で言えば、デットーリ騎手が来日されましたけど、感じる部分はありましたか。
圭太:そこはどんな成績かは分からないですけどね(笑)。デットーリはやっぱり上手なのは当たり前ですけど、貫禄があるというか、雰囲気は違うものがあって、外から観ていてもすぐに分かるような感じですよね。
-:皆さんそうやって言いますよね。先週は短期免許の外国人騎手5人がフル参戦という感じでした。いざ、ご自身が乗っていたらというのを想像するとどうでしょうか。大変なラインナップという感じがするのですが。
圭太:それは来る前から思っていましたし、分かっていたことですからね。ただ、休んでいて競馬の見方が変わったので、いざ自分が復帰して乗ったら、今までとは違う感覚というか、イメージ、気持ちで乗れるのかなとは思いますので…。う~ん、なんて言ったらいいかな。
-:それはまた整理していただいて、復帰される時にでも詳しく伺えればと思いますが。
圭太:そうですね。違う感覚で今は観ているかな。乗るなら、今の方が良い感じで乗れていますよね。
-:今週はチャンピオンズC(G1)ということで、このレースの前身で言うと、ジャパンCダートということになりますね。初めて乗られた2008年はフリオーソとのコンビだったんですけど、当時をちょっと振り返っていただくといかがだったでしょうか。
圭太:中央場所のG1ですから、興奮というか、もう嬉しさが勝りましたね。あとはフリオーソとはずっとコンビを組んでいましたし、やることは分かっていたので、それほどレースに対して不安はなかったですけどね。
-:あの時は中央のG1レース自体も2度目だったんですよね。アンパサンドでフェブラリーSに乗られていて、その同じ年の暮れに乗られたということですね。見せ場は十分にあったレースでしたけど、やっぱり中央場所に行くとスピードの面や力差が最後に出たというところでしょうか。
圭太:ただ、あの時は内にアメリカの馬がいまして、その馬が右回りをあまり経験したことがなかったので、膨れて走って、煽りを食っていたところがあるんですけどね。やっぱり地方の流れとは違う部分はありましたけど、やれることはやれたかなというレースではありましたけどね。
-:当時は、先生からの指示は細かかったりしたのですか。
圭太:いや~、川島先生はそんなに細かくなかったですね。中央のレースだからといって、特に変わったわけではありませんでしたよ。
-:先週の競馬の話題にまた戻らせてもらいますけど、京都では、浜中俊騎手が大怪我ということでした。少なからず、今年は縁のあった存在だったと思いますが…。
圭太:ニュースで観て、他人事じゃないなと思いながら、連絡してしまったんですけどね。「お互いに頑張りましょう」とメールが来て、「本当に頑張ろう」という感じでした。改めて競馬に怪我は付きものは付きものですけど、やっぱり嫌ですね。ここ最近も色々な地方のジョッキーからも連絡が来て、話をするんですけど、「頑張れよ」というよりも、「本当に気を付けて乗ってくれ」というのが今は一番ですね。それはすごく変わったところかな。
-:それはやっぱりケガをしたから、こその感覚ですね。詳細はそこまで存じていませんが、報道を見ていると、浜中さんも復帰まで掛かりそうな感じでしたからね。今年のダービーのワンツーのお二人。奇しくも上半期を盛り上げた人たちが離脱してしまうというのは残念なところではありますけどね。
圭太:そうなんですよね。
-:さて、最後に読者から質問が来ていますけど「ジョッキーになっていなかったら、どんな職業に就いてみたいですか」とのことです。以前も聞いたかもしれませんが…。
圭太:何かあまり浮かばないですよね。やっぱり騎手で良かったなと思うし、本当に天職だったなという感じですし、他に突出していたものもないですからね。
-:もちろん子供の頃は野球をやられていたので、野球という意識もありましたか。
圭太:ありましたけど、万年補欠したからね(笑)。でも、プロ野球は目指していましたよ。何を根拠かは分からないですけどね。あとは、僕は騎手という職業は知らなかったので、高校受験をして、普通に仕事をしよう、という感じでもありましたので、学校の先生になりたいなという思いもありましたね。
-:科目は体育ですか。
圭太:出来るかどうか知らないですけど、数学。その辺も本当に浅はかで、ただ思ったことを何となく、ですね。
-:トップジョッキーにこういうことを言うのは失礼ですけど、天職だと思う理由というのは、どういった部分に感じますか。
圭太:こんなに成功する職業はなかったんじゃないか、という感じですね。こんなに応援されたり、活躍出来たり、結果を残せたりというのはなかったでしょうね。
-:語弊がありますが、数学の先生だったら、なかなか公に出るほどの活躍という意味では簡単に出来ないですからね(笑)。
圭太:分からないですよ~。ノーベル賞とかを獲っていたら。どんな職業に就いていたとしても、そういう気持ちはあったでしょうからね。ハハハ。
-:これはよくある質問ですけど「何歳までジョッキーを続けたいですか」。
圭太:何歳というのは特にないですね。やっぱり1日でも長く乗っていたいですね。
-:ということで、今週はこんなところかと思います。ギプスを取ることだけを伺っていましたが、骨の具合は、問題なかったのでしょうか。
圭太:骨は問題ないです。
-:それは何よりですかね。あとは日にち薬と徐々に動かすという感じですかね。
圭太:はい、そうですね。またよろしくお願いします。
※次回は12月6日(金)に更新予定です!
『週刊!戸崎圭太』は今後もファンの皆さまにも色々と募集します。
(1)戸崎圭太騎手への質問
過去のレースのこと競馬にまつわるギモンなど、何でも問題ありません。ただし、これから行われるレースや馬についてはお答えできませんので悪しからずご了承ください。
(2)戸崎圭太騎手のアナタのお気に入りの一枚
いつの写真でも問題ありません。皆さんが気に入っている写真があれば、コラム内で紹介させていただきます。ただし、1週間につき1枚まで。お名前、なぜその写真を選んだのか、という理由があればよりいいです。軽い容量(横幅1000px以内)でお願いします。
(3)当コラムでやって欲しい企画など
実現性は高くないと思いますが、こんな企画が見たい、こういう対談が読みたいなどあれば、どしどしお寄せください。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。お名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまで。もちろん戸崎騎手への応援メッセージも引き続き募集中です。
keita_tosaki@keibalab.jp
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。