'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
激励メッセージに感謝&古巣・大井競馬や香港国際競走のエピソード
2019/12/6(金)
先日、故障箇所を固定していたギプスを外したことが明らかになった戸崎騎手。先日は元競輪選手との対談収録、今週は大井競馬場で行われた古巣の先輩・坂井英光元騎手の引退式に参加するなど。公の場に姿を現すことも増えてきたようだ。阪神ジュベナイルフィリーズ&香港国際競走が行われる今週末。いずれもジョッキーにとって少なからず縁のあった舞台でもあり、当時を振りもらった。
-:さて、戦線離脱後の方が文字量は増えているというコーナーですが、その怪我の際から募っていた読者の皆様からの応援メッセージですが、想像を上回る数をいただき、ありがとうございました。ちゃんと意図が伝わるものはご本人にようやくお届けできました。メールをいただいた皆様、ありがとうございます。
圭太:応援メッセージをいただいて、心温まるというか、常々応援して下さっていることも改めて非常に感じられました。ケガをして、こうやって僕のために時間を割いてくれているというのは、とてもありがたいと嬉しく思いますね。1日も早く復帰したいと思っていますけど、慌ててはいけないところでもあるので、怪我の治り具合とのバランスを見て、復帰したいと思っています。その時はまた、競馬場でぜひとも声援して下さったら力にもなるし、このコメントでパワーもいただいたので、リハビリを頑張りたいなと思います。
-:やっぱり競馬場にいないと寂しいという声も多々見ますからね。
圭太:ありがたいですね。
今週の『ファンが選んだ・戸崎圭太お気に入りの1枚』
この写真は2019年10月27日紅葉ステークスのものです。
パドックで毎回競走馬や騎手の写真を撮らせていただいているのですが、戸崎騎手の笑顔がステキでこの写真を選びました。戸崎騎手がお怪我されたことを知った時、辛すぎて私も心が折れました。また競馬場で戸崎騎手のステキな笑顔が見たいです。焦らずじっくり治療に専念してください。ファンはいつまでも待ってます!
(「ぴのたろう」さん)-:ということで、先週、ギプスを外されたわけですが、この1週間でギプスを取られた姿を僕も写真で見ましたけど、いかがですか。
圭太:やっぱりギプスをしていたので、(腕が)固まっているのは固まっていますよね。肘の可動域もないです。骨折も酷かったので、あまりガシガシ動かすことは良くないということで、ウォーキングをしながら重力に任せて、その重力で徐々に伸びていけば良いという考えですかね。だから、まだリハビリという段階ではないですね。一応、金具で留めてはいるんですけど、留めている所もギリギリの所で留めている状態なので、骨がくっ付き始めるまではそんなには動かせないですね。
-:ボキッと折れているところだったら、もちろん分かるでしょうし、開放していたら分かりますよね。ケガをされた時のタイミングは意識があったと思うんですけど、骨が出ていることは自分で見えた感じだったのですか。
圭太:いや、肘の裏側でしたし、腕が全然利かなかったので、違う方を向いちゃったので、見る余裕もなかったですね。
-:僕も救護室で外から様子は窺いましたが、駆けつけた的場文男さんは「酷い状態だ」と言っていましたが、あの時はみなさんも心配されて、救護室に見に来られていましたけど、佐藤友則さんもすぐに駆けつけていましたよね。教養センターでは親交はあったのですか?
圭太:いや…全然接点がないんですよ。交流に行った時に会って、一緒に乗るくらいだったんですけど、浦和でケガした時は率先して色々やってくれて、本当に助かりましたね…。一目散にやっていましたからね。
-:よくよく考えてみると、歳も近いし、被っていたのかなという感じだったんですけど、そういう訳ではなかったのですね。
圭太:いや、そんなことはないですよ。繁田(健一)と2人で手伝ってくれてね。
-:縁の深い繁田さんは頷けるところだったんですけど、そうだったのですね。
圭太:はい。本当に心から素晴らしいなと思いました。感謝しています。
-:そうやって緊急時に対応出来るというのはなかなか簡単ではないですね。落馬で言えば、中央ではないですけど、今週は南関東でまたしても、という感じでしたけどね。
圭太:続いていて、何か気持ち悪いですね。本当に気を付けて乗ってもらいたいですよ。
-:南関の話題で言えば、今週月曜は坂井英光さんの引退式で大井競馬場に行かれたのですね。調教師になられる坂井さんのエピソードがあれば、教えていただきたいのですが。
圭太:ずっと一緒に乗ってきましたからね。お互いにリスペクトしながら乗っていたのが思い出です。僕が実習生の頃から付き合いもありましたし、僕が若い頃は、坂井さんもすごく成績も良かったんです。でも、一時期ちょっと低迷した時があったんですけど、その時も「俺はもう辞める覚悟で厩舎に入って、それでダメだったら辞める」みたいなことを言っていたのを覚えていますね。すごく熱い人なんですよね。
▲11月30日付けで騎手を引退した坂井英光調教師
-:それでも、ここまでずっとやられてきて。長いキャリアですもんね。
圭太:セレモニーの最後のコメントで、ウルッと来ているのかなと思いました。坂井さんは泣くような人じゃないんですけど、やっぱり色々なことが思い起こされたのかなと感じましたね。
-:もしかしたら、これからは坂井先生の馬に乗ることもあるかもしれないですよね。
圭太:ええ、自分は騎乗依頼があるようにしっかりやっていきたいですね。
-:息子さんの瑠星騎手もJRAで頑張ってらっしゃいますしね。
圭太:そうですね。それと、もう一つ言ってもいいエピソードはあります。僕は面白いけど、本人の名誉のために止めておきます(笑)。
-:そんな話もあったんですね(笑)。しかし、南関東の騎手の方々の間柄は深いですし、JRAに移籍しても、大井での姿を見ると南関東のジョッキーだなという感じがしますけどね。
圭太:やっぱりそうですね。
-:南関東に関連する話題でいえば、ブリーズフレイバーはどんな馬でしたか。坂井さんも乗られていて、戸崎騎手も何度か乗られていました。先週、産駒がJRAでデビューしていたんですよね。
圭太:ええ、そうなんだ。それは気づかなかったです。でも、良いスピードを持っている馬でしたよ。ちょっとワンペースなところはありましたし、気性は難しいところもありましたけどね。気持ち良く行かせると、やっぱり強かったですよね。
-:ブリーズフレイバーと遠くない話題ですが、この馬主さんで言えば、勝島王冠のモジアナフレイバーもだいぶ強い勝ち方でしたよね。
圭太:僕も地方に行った時に、声を掛けて乗せてくれますし、中央に入っている馬(シチリアフレイバー)でもデビュー戦に乗せてもらいましたからね。お世話になっている馬主さんですけど、やっぱりああいう馬が出ると、応援しますよね。
-:実は繁田さんも夏に1000勝パーティー用のコメントを伺いに行った際「この馬のために・・・」と言ったことをおっしゃっていたので。
圭太:ハハハ、繁田にもがんばってほしいです(笑)。
-:キタサンミカヅキみたいに向こうに行って活躍する馬も良いですけど、ああいうバリバリの生え抜きで強い馬が出てくると、盛り上がりますよね。
圭太:僕も注目していますし、今後も楽しみですよね。
-:先週の競馬では、前走で乗っていた馬はいましたけど、結果が良かった馬はそこまでおりませんでした。ただ、東京開催になりますが、この馬の話題をしていなかったですね。(2歳未勝利1着の) サトノフラッグはどうでしたか。
圭太:僕が乗ったデビュー戦の時よりはしっかり馬も動いていましたね。そして、馬も良くなっているのもあるとは思うんですけど、やはりマーフィーの騎乗も素晴らしいなと改めて思いましたね。
-:やっぱり1回使って良かったところもあったのですかね。それは当時もおっしゃっていた記憶もありますからね。
圭太:それはあるとは思いますけどね。
-:そういう意味では、先週の(2歳未勝利4着の) ダノングロワールはどう思いましたか。
圭太:ダノングロワールは僕が乗った時は終始促すような感じで、最後の直線でのフットワーク的にも弾みがもう少しあっても良いかなというところでしたし、半信半疑ではありましたけど、2戦目でちょっとは良くなってはいるでしょうけど、もうちょっと先かなという感じですかね。
-: (3歳以上2勝クラス7着の) スイートセントは1200だと距離が短いのでしょうか。
圭太:どうなのかなぁ。そんなこともないと思うんですけど、中山で勝っているものの、あまりイメージが湧かないかな…。どちらかといえば、東京の方がいいかもしれませんね。
-:この馬はもともと東京の最終週で乗られる予定だったようですね。そして、今週は阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)ということで、2013年にレッドリヴェールで勝っているレースですけど、いま振り返っていただくと、いかがでしたか。
圭太:まだ勢いで乗っていたというか、ガムシャラに乗っていたというイメージです。レッドリヴェールは本当に乗りやすかったですし、馬に助けられた部分はありますよね。ハープスターという1頭強い馬がいて、あの馬を負かしたというのはとても嬉しかったですけどね。
-:阪神のマイルというと、強い馬が勝つレース。阪神JFになると、ペースも速くなりますし、翌年も走ってくるような馬が勝つイメージがありますけど、あの年に勝てたポイントとしては、どういったところでしたか。
圭太:完成度が高かったですね。北海道の道悪で走っていて、未知な面はありましたが、馬のおかげだと思いますね。まあ、自分は移籍初年度ですし、節目の年にG1を勝てたことはいま振り返っても良かったです。
-:そして、先週のチャンピオンズC(G1)はどう見られましたか。
圭太:負けずにG1を勝つというのは、やっぱりクリソベリルの強さかなと。一緒に園田や大井で戦って走ってみても、やっぱり強かったのでね。今後も楽しみなのかなと思いますね。
-:実は新馬戦で乗るプランがあった馬ですよね。中京の1800ダートというのはちょっとコーナーリングが難しいところもありますか?今年はそこまでではなかったですけど、毎年外に膨れるイメージがあったのですが。
圭太:あまりそんなイメージはないですね。ただ直線はそんなに短くないですけど、やっぱり後ろから行った馬は早く動きたいということで、外を回らされてしまう、というのはあるかもしれないですね。そこのロスはどうしても不利を受けますよ。
-:割と内を突いた馬が穴を開けたりみたいなレースになるイメージがありますからね。そして、阪神JFと同じ日で言えば、今週は香港国際競走が行われます。シャティン競馬場でも何度か、ハッピーバレー競馬場のロンジンインターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ(IJC)にも乗られていますが、それぞれイメージとしてはどんなコースですか。
圭太:シャティンは乗りやすいイメージですね。本当に平坦というコースです。ただ、あまり中途半端な乗り方をすると、力を出しきれないレースになるイメージがありますね。
▲2015年、ステファノスとストレイトガールで香港国際競走に騎乗
-:よく小回りみたいに言われますけど、そこまで直線は短くないですよね。
圭太:短くはないですね。長くもないですけどね。力を出しやすいコースではありますよ。
-:やっぱり枠的には内枠の方が良いですか。
圭太:枠は内枠の方が良いですね。外を引いちゃうと、ある程度スピードがないとちょっと前に行けないですね。
-:そういう意味では、今年の春のウインブライトは枠も良いところを引いて、松岡正海さんの素晴らしい騎乗もあっての勝利でしたね。行かれた時は、馬場は硬かったですか。
圭太:いや、そんなことはないかな。
-:去年は硬いと言われていたようですね。来年はどんなめぐり合わせになっているか、分かりませんが、また乗れる機会があるといいですね。
圭太:もちろん。乗れれば、どこでも乗りたいですね。
-:もう終わってしまいましたが、今年は川田将雅騎手が出場したIJC。舞台のハッピーバレーについては大体僕はイメージがありますし、どんな印象だったか覚えていますが、改めて振り返っていただくと、どうですか。
圭太:ハッピーバレーも面白い競馬場ですよ。
-:改めて成績を振り返ると、3位もありましたけど、単勝30倍前後の人気薄で2度勝たれていましたよね。どうもすごく華やかなイベントなのに、日本ではあまり話題になっていないシリーズにも感じますが、ハッピーバレーのポイントはどうでしょう。
圭太:人気はよく分からないですけど、地方競馬に似ているようなところもありますよね。馬もがっつりパワーが必要で、折り合いがどうこうというよりは、馬を牛耳って御していかないと、という感じ。コーナーをスムーズに回るよりは、キュッキュッという具合に、地方の浦和や川崎のきついコーナーでやっていたことが繫がったのかな、という思いもありますね。4コーナーから直線なんかは大体膨れるので、その内を突く楽しさというのはありますよね。
▲海外競馬初勝利となった2015年のIJC
-:スタートして1コーナーに入る時も、上り坂だったりしますよね。それで下がって、また上ってみたいな所がありますよね。僕も今年、非開催日に競馬場をジョギングしたりしてみたんですけど、やっぱりあそこの高低差はすごいですもんね。
圭太:あの小さい中で高低差はすごいですよ。本当にトリッキーなコースだなと思いますね。それも芝だから余計に面白いというのはありますよね。まだ動きやすいというのがあるのでね。
-:そこもまたいつか呼ばれる時があればということですね。
圭太:思い出してしゃべっているけど、思い返すとちょっと興奮していきますね。
-:今年なんかもジョッキーは相当なメンバーでしたもんね。
圭太:すごかったですね。
-:差しの方が良い馬場でしたか。
圭太:いや、そういう訳ではないですね。でも、シャティンもそうなんですけど、やっぱり先に行くか、ケツからかというか、差しかという極端なイメージでいいのかな。何か中途半端に走ると・・・というイメージですね。
▲2016年もハッピーバレーで勝利を挙げた
-:色々と今週も伺いましたが、最後に先週のアニメ『名探偵コナン』はご存知でしょうか。
圭太:観ていないですよ。でも、話は聞きました(笑)し、その画像は観ました。
-:殺された「戸崎敬大」さんが落書きされて、カニを突っ込まれて。
圭太:凄まじくなっていましたけどね、ハハハ。
-:どういう意図でああなったのか、(脚本の)大和屋さんには聞いていなんですけどね。
圭太:でも、ネタにしてくれたのは嬉しいですけどね。
-:1週間はネットで見られるようなので、ご興味のある方はぜひ。しかし、毎週どう話題を作っていこうかと思ったんですけど、いざ考えると、何も心配いらなかったです。
圭太:形になっていますね。僕もちょっと不安になっていましたけど、何かしゃべって、発信出来ればなと思って。
-:また、年内どこかで1年を振り返っていただければなと思います。
圭太:はい。
-:また来週もよろしくお願いします。
圭太:ありがとうございました。
※次回は12月13日(金)か14日(土)に更新予定です!
『週刊!戸崎圭太』は今後もファンの皆さまにも色々と募集中です!休養期間中でもコラムをチェックしていただいてくれている皆さまのために、今回はプレゼント付きです。まあ・・・熱心なファンの方ならプレゼントがあろうとなかろうと、既にメールをいただいていると思いますが(笑)、この機会をお見逃しなく!
(1)戸崎圭太騎手への質問
過去のレースのこと競馬にまつわるギモンなど、何でも問題ありません。ただし、先に行われるレースや馬についてはお答えできませんので悪しからずご了承ください。
(2)戸崎圭太騎手のアナタのお気に入りの一枚
いつの写真でも問題ありません。皆さんが気に入っている写真があれば、コラム内で紹介させていただきます。ただし、1週間につき1枚まで。お名前、なぜその写真を選んだのか、という理由があればよりいいです。軽い容量・サイズ(横幅1000px以内)でお願いします。
(3)当コラムでやって欲しい企画など
実現性は高くないと思いますが、こんな企画が見たい、こういう対談が読みたいなどあれば、ドシドシお寄せください。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「週刊!戸崎圭太プレゼント応募」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまで。応募者多数の場合は抽選に。当選者の発表は当選者の方へのメールでご連絡させていただきます。もちろん戸崎騎手への応援メッセージも引き続き募集中です。
keita_tosaki@keibalab.jp
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。