'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
年内最終週は2度にわたっての長編 現在の容態&有馬記念を回顧!
2019/12/27(金)
2019年の中央競馬開催も28日をもって最後。御存知の通り、今年は負傷のため、年内の復帰が叶わなかった戸崎騎手だが、自身にも縁のある馬が多数出走していた有馬記念や近況、来年の展望を語ってくれた。今週は年内最後の更新ということもあり、2部構成でお届けしたい。
-:2019年の競馬開催も最終週。今はリハビリの日々だと思いますが、改めて現在はどんな取り組みをされていますか?
圭太:幾つかの医療機関とトレーナーを含め、計4箇所に行っていますね。まだ手に浮腫みがあるので、特別な機器が入っているクリニックにも通っていますね。
-:パッと見る限り、浮腫は分からない程度ですね。
圭太:でも、随分良くなりましたね。最初はパンパンですごかったですよ。
-:いや~やはり腕の筋肉は細くなりましたね。
圭太:そうでしょ。
-:怪我をした時に、肘の骨折は肘の曲がりだけじゃなくて、ジョッキーはもちろん手綱を扱うので、そこにも繋がるからということでしたが、手も良くならないといけないですね。
今週の『ファンが選んだ・戸崎圭太騎手お気に入りの1枚』
今年の夏に初めて新潟競馬場に行きました。千直レースでは、返し馬ですごく近くを歩いてくれて、ドキドキしました。
これからも応援しています。次に生のレースが見れることを楽しみに待っています。
(「にゃーご」さん)
圭太:手もまだ張っているからね。治療が半端じゃなく痛い。今はリハビリの痛さというよりは、その浮腫みを取ることや、やっぱり動かしていないから血行不良が起きているから、鍼や機械を当てて補ったりしているので、今は治療をやっていますね。
-:普通の鍼治療なんかよりも痛いと。
圭太:痛い。今は治療をすると、痛みで手のひらの汗がすごいんですよ。ただ、「順調だ」とは言われているし、良い方向には行っているのかなと。
-:余談ですけど、今週の浦和競馬場でルーキーが同じような場所で落ちていましたね。
圭太:南関東も怪我、落馬が収まらないね…。何とか無事にレースが行われてほしいです。
-:先週は有馬記念(G1)。アーモンドアイのまさかの敗戦。リスグラシューの圧勝などありました。縁のある馬でいえば、アエロリットも出走していました。まず、アーモンドアイの結果に関してはどうでしょうか。
圭太:アーモンドアイがあれだけ惨敗したことには、ビックリしましたね。ただ、やっぱり競馬とは勝つことが難しいと改めて感じましたね。敗因はハッキリ分からないですけど、香港遠征を前に熱発をして、その影響が少なからずあったんじゃないのかなとは。追い切り映像を観ても、ごく普通に、順調なのかなとは思ったんですけど。
-:僕はむしろ天皇賞(秋)の時は追い切りが若干鈍いのかなと思ったので、その上積みがあると思っていました。
圭太:ただ、やっぱり人間が見て分からない状態もあるとは思うので。僕も(シンザン記念で)乗せていただいているから、中山のトリッキーなコースがダメというイメージもないですし、あれだけ強いですから、少なからず順調さを欠いた影響があったのかな。
-:ルメール騎手が口にしていたテンションの影響は、観ていて感じられる部分はありましたか。
圭太:随分と落ちついているなと思いました。若干、発汗が見られて、ちょうど良い気合い乗りなのかなという感じで、雰囲気は全然悪くなかったですけどね。ただ、もともと決してドッシリしている馬ではないですからね。
-:道中で馬群の外に出された影響というのはあったのでしょうかね。
圭太:いや、特にないでしょう。というのも、そんなことくらいはクリアするような馬でしょう。
-:ジョッキーも自信を持っていたのだろうなと思ったんですけど、結果的にはそれも裏目に出たのかなという感じもしましたが。
圭太:僕からすれば、特に問題ないことだと思いますけどね。ただ、前半は随分気負っていたな、とは思いましたけど、あの辺がやっぱり体調が本調子じゃないから、そういう余計な、今までと違う走りになるのかなという分はありますかね。
-:リスグラシューはノーステッキでの圧勝でした。
圭太:強かったですね、強くなっていますね。あの馬にもビックリしました。僕も乗っていますけど、いま乗ったらまた違うというか、確実に良くなっているのだろうなと思いますよね。
-:アーモンドアイとは逆に、あの馬は内にこだわっていましたね。
圭太:徹底していましたね。ロスなく、行けましたから。でも、レーン騎手もドンと乗りますよね。本当に慌てないというか、ドッシリ乗る。
-:枠順抽選会でも、堂々としていました(笑)。
圭太:それは海外の騎手だからね。環境が違うから、それが普通なんでしょうよ。日本人がやっていたら、雰囲気が違うし、「みんな失礼だ」と言うけど。ライアン(ムーア)も抽選会で「タイアード」と言っていましたもんね。だから、海外の騎手はそういうところは強いよね。
-:日本の環境で見ると、よくも悪くも自信を持っている。
圭太:そうそう。やっぱり環境だと思いますよ。
-:ラストランになったアエロリットはどうでしたか。
圭太:外枠を引いたので、キツいなと思いましたけどね。中山の2500mコースだったら、内の方が良いでしょう。
-:アエロリットは大トビだし、最初のダッシュがちょっと遅めじゃないですか。その分、スタートで促し目になりますし、もし、内だったら囲まれる心配もあったのかなと。
圭太:でも、すぐにコーナーだから、外の方がロスじゃないですか。距離の有利はやっぱり内の方があるので、問題なかったと思いますよ。やっぱり勢いをつけている分、道中のリラックスさは欠けますよね。
-:内だったらもうちょっと違っていた、と。
圭太:出さずにポジションを取れるのと、取りに行くのとでは違うと思ったので、本当に外枠は痛かったんじゃないかなと思いますね。距離が長いのは事実でしょうが、僕はそれくらい内と外で違うと思っているので。あの馬は多分、余計に影響が違うと思うので。エンジンを吹かして出るのと、何もせずソッと出して行くのと全然違うので、そこのアレはあると思うんですけど、基本的にベストではないですけどね。内枠なら違ったかもしれない。それこそ圏内の可能性もあったと思います。
▲アーモンドアイ・リスグラシュー・アエロリット
戸崎騎手も騎乗経験のある馬たちが有馬記念に出走した
-:サートゥルナーリアやワールドプレミアはどう感じましたか?
圭太:サートゥルナーリアはやっぱり能力があるなと。まだムラがありますけど、ポテンシャルは高いなと感じましたね。ワールドプレミアは同じレースに乗っていることも少なく、そこまで印象がありませんが、さすがユタカ(武豊)さんだなという感じですかね。コメントでも「決め打ちをして乗った」と書いてありましたから、「勉強になります!」という感じでしたね(笑)。
-:先週のその他の競馬では(3歳以上1勝クラス7着のロークアルルージュは1800に戻って良いのかと思ったのですが…結局、距離が長いのですかね。
圭太:いや~馬は良いんですよ。素質はあるので。ノドは良くなったようだけど、気性もあるかな。やっぱりまだ若いというか、そんな感覚もありますかね。
-:しかし、先週は有馬記念という下半期の競馬を象徴する一大イベントだったと思います。客観的に観ていて、気分的にはどうでしたか。
圭太:やっぱり乗っていないのは悔しいし、寂しいし…というのはありますよね。だけど、今は冷静に観られているので、一ファン、一関係者として冷静に観ていましたかね。どういう展開になるのかな、この馬だったらこう乗るなとか、そんな感じでは観ていましたけどね。
-:約1ヶ月半から2ヶ月、客観的に観られていて、阪神ジュベナイルフィリーズのレシステンシアは後で聞きましたけど、イメージされた通りの結果にはなっていますか。
圭太:全部が全部知っている馬ではないですし、そんなに全部を把握している訳じゃないですけど、何となくイメージがつく馬が出ているレースは、大体そういう感じだったかな。
-:今週の競馬でいえば、ホープフルS(G1)はG1になって歴史が浅く、そんなに縁はありません。東京大賞典(G1)に関しては、あまり縁のある馬はいないですが、縁のある人が、今年はチャンスがあるかもしれないので、そこを応援という感じでしょうか。
圭太: (繁田健一騎手の)モジアナフレイバーは大注目ですね。(真島)大輔はノンコノユメでしょう?応援したいね。(地方競馬教養センターの同期の調教助手が携わる)アポロテネシーもいるもんね。僕自身も東京大賞典自体には思い入れがあって…まだ勝っていないレースですからね。
▲戸崎騎手にも縁のあるオーナーであり、同世代で盟友・繁田健一騎手が騎乗する
モジアナフレイバーが東京大賞典へ
-:JBCも未勝利ですね。
圭太:JBCは、今回(の落馬)でやっぱり縁がないのかなとちょっと思いましたけどね(笑)。東京大賞典は昔から勝ちたいなと思っていたので、勝てずに思っていますからね。
-:東京大賞典はフリオーソで2着がありましたけどね。
圭太:そこだけはちょっと勝ちたいレースではあるんですけどね。
-:来年こそは、ですね。続いて、今年を振り返る…怪我の話が主体になってしまいますが、一年を総括してもらおうと思います。
※次回は12月28日(土)か29日(日)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。