'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
復活の春へ向けて 退院、屋外運動もスタート!
2020/2/7(金)
約2週間の入院生活を終えて、先日、退院したという戸崎騎手。復帰へ向けて、あとは当人のリハビリと日にち薬、といったところだろう。本格的なG1シーズンこそまだ先ではあるが、競馬界は東京開催も開幕。今週も近況と客観的に見たレースなどについて振り返ってもらった。
-:先週は入院先にリハビリ用で肘の曲げ伸ばしを大きくする器具を作ってもらう、なんて話もありました。この1週間の変化はどうでしょうか。
圭太:まず、先週の土曜に退院しました。そこから通院とリハビリを兼ねてやっているところです。その器具ですが、上腕と前腕が固定されていて、肘の部分にネジがあって、それによって可動域を開いていくといったもの。大きな怪我も4度目ですが、こんなことをするのは初めてですけどね。まあ、やればやっただけドンドン動くようになるのかと思いましたが、微々たる変化といった状態。お医者さんからも言われていましたが、こうしてリハビリをするのも日々、繰り返しやっていくだけですし、精神的に我慢が必要ですね。
-:器具は大雑把な例え方をすると、股割りのストレッチみたいなものですか。
圭太:そうそう、そんな感じです。動かないところを伸ばしていく感じですね。
-:リハビリはこれまでもされてきたと思いますが、本当に自分との戦いですね。
圭太:まあ、そうなりますね。辛さはありますが、辛抱するしかないですね。
▲今週は京都できさらぎ賞 2015年のルージュバックを思い出しますね!
-:怪我直後を含めると長い入院生活でもありました。久々の自宅でホッとされるところもあったんじゃないですか。
圭太:入院もなかなかすることはないですし、貴重な経験だったと思います。帰ったら帰ったで、落ち着きますね。肘以外は元気ですし、ウォーキングというか軽いジョギングも始めました。走ったのは怪我をしてから初めてですけど、体力が本当に落ちていましたね。
-:やっぱりどんな競技をやっていても走ることは基本だと思います。走り始めると自分の歩みが始まった!なんて感覚もあったんじゃないでしょうか。
圭太:それはあったんですけど、ちょっと動いただけで疲れが激しくて、そういう感動よりも体力の衰えの方が顕著でした。動き終わったら体もガッチガチですね…(苦笑)。そこはしっかり取り戻していきたいです。
-:先週のレースでは、比較的、手綱をとられた馬が数多く出走していたイメージでした。まず、東西の重賞から振り返っていただけないでしょうか。
圭太:根岸ステークスはモズアスコットがダートでも素晴らしい走りでしたし、内容も良かったと思います。初めてのダートであれだけこなせるということは並大抵じゃないですよね。ましてや重賞なので。コパノキッキングがいいスタートを決めて、前が多少早くなったにせよ、能力も高いし、適性があったんだなと思います。
-:馬券を買う人も、オープンや重賞レベルでの初ダートは嫌うイメージがあります。未勝利戦ならまだしも、重賞だったりすると、芝のレースに慣れすぎて戸惑うんじゃないでしょうか。
圭太:それもありますよね。道中のペースもだいぶ違いますし、いきなり重賞で走るということはあらゆる面で精神的な強さがないとできない芸当ですね。
-:シルクロードSは3着ナランフレグに昨年、何度も乗られていましたね。
圭太:よく頑張っていますよね~。差しがきくペースでしたし、馬場でもあって、ハマった感はあるものの、初めての重賞であれだけやれるわけですから。
-:そのレースに限定するわけではありませんが、これで今年のアイビスサマーダッシュなども有力になってきましたかね。
圭太:重賞でもやれるメドは立ちましたね。ただ、こうやって後方からの競馬になっていて、それが位置をとりに行けば、もっと競馬はしやすく感じるかもしれません。でも、馬のリズムがあったりするので、どんな位置からでも同じような脚を使うことは難しいのでね。今後、もう少し器用さが出てくれば尚良さそうですね。
-:乗られた馬でいえば、ロンゴノットやドナアトラエンテなども勝っていましたね。
圭太:ロンゴノットは強かったですね。距離もあれくらいの方が合っていそうですし、気持ちよく走れていたと思います。ドナアトラエンテはやっぱり気難しいところを出していましたが、自分が乗った時とタイムやラップなんかは酷似していたんです。
-:ラップという言葉が出るのも珍しいです(笑)。
圭太:気になって自分が乗った時と比較してみたんですよね。
-:ダノングロワールは3戦目で初勝利。時計も良かったですし、先行して後続を突き放す強い内容でした。
圭太:距離が延びていいと思っていましたし、ゲートを出てからもリズムよく走っていましたね。ようやくスイッチが入ったんじゃないでしょうか。
-:続いて読者から質問も来ております。まず「戸崎さんの思う一流の騎手とそうでない騎手の違いは何でしょう?良く引き出しの数なんて言われますが。素人が聞いてもわからない部分もありますが、一言で言うと何でしょう?」という内容でした。
圭太:簡単には説明できないですね。ただ、一流選手というと騎手に限らず、日常生活の過ごし方、考え方、感覚などレベルが違うと思います。成りたいと思ってもなれないというか…。ただ、結果が出れば一流ではなくて、何にしても意識が高くないと、一流ではないんじゃないでしょうか。
-:喩えを挙げるとどうでしょうか。
圭太:ライアン(・ムーア)も食事をさせてもらって、意識の高さを感じましたね。イチローさんの本も読む機会がありましたが、まさに一流、次元が違うなと感じましたよ。繰り返しになりますが、結果が出ていれば一流ではないな、と思います。
-:続いて前にもこんな話があったかもしれません。「自分を馬に喩えるとどんな馬ですか?」という質問です。
圭太:え~(笑)、根性がないけれど、一生懸命走る馬。1000万で惜敗が多いタイプじゃないでしょうか。
-:最近、関西馬でカフジキングが7歳ながら17度目の2着を記録しましたね。
圭太:いやいや、カフジキングは立派です。500万をやっと勝てたような馬じゃないですか(笑)。
今週の『ファンが選んだ・戸崎圭太騎手お気に入りの1枚』
この写真は、東京競馬場の午後のレースのパドックで撮ったものです。陽が傾き柔らかな光が差し込む中で弾ける戸崎さんの笑顔をとらえたとき、当時嬉しくてガッツポーズをしたのを鮮明に覚えています。
余談ですが、栃木出身の私は、友人と戸崎さんの話に及ぶたび「戸崎さんは地元が一緒なんだよ」と自慢しています。我らが栃木の星、戸崎さん。同じ栃木をルーツに持つ身として、戸崎さんの1日も早い復帰を待ち望んでいます。
(手塚瞳さんより)
-:最後に「サンライズノヴァは松山騎手でフェブラリーステークスへ向かいますが、サンライズノヴァの良いときと悪いときの違いはどのようなところがあるのでしょうか?個人的には馬体重賞が530kg程度のときが、コンディションが良いのではと踏んでいるのですが…」という質問です。これは僕も納得いくところはありますね。
圭太:馬体重もありますけど、展開じゃないですかね。去年の今頃も多少重かったですけど…。まあ、大きな馬ですからね。
-:最後に、先週の競馬でいえば、オイシン・マーフィー騎手が27勝の成績で短期免許期間を終えられました。怪我さえしていなければ、同じ競馬場でレースを共にすることが多かったと思います。感じられる部分はありましたか?
圭太:しっかり勝っていくし、見習うべきところもありましたね。それに同じエージェントでもあり、エージェントが日頃、いい馬をたくさん集めてくれているのだなと改めて感じさせられましたね。
-:そんなオイシンさんも帰国ということで、またジョッキーの星取争いの流れも変わってくるでしょうし、復帰を待ちわびる声もなかなか目にしますが、また次週もよろしくお願いします。
圭太:よろしくお願いします!
※次回は2月14日(金)か2月15日(土)に更新予定です!
休養期間中でも『週刊!戸崎圭太』をチェックしていただいてくれている皆さまへ引き続き戸崎圭太騎手への応援メッセージを募集します!メールをいただいた方の中から、今回は抽選で1名様に、昨年の1000勝達成記念パーティーで使用したウェルカムボードをプレゼント。なお、メッセージも沢山いただいた場合は、ご本人へお渡しします。この機会をお見逃しなく!
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「週刊!戸崎圭太」、本文にお名前(ペンネーム)・応援メッセージまたは競馬ラボへのご意見ご感想を記載の上、以下のアドレスまで。応募者多数の場合は抽選になります。当選者の発表は当選者の方へのメールでご連絡させていただきます。
keita_tosaki@keibalab.jp
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。