'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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縁のあるレース・皐月賞のエピソード 自身は新たなトレーニングも挑戦中
2020/4/17(金)
一昨年は1着、昨年は3着と上位争いが続いており、相性の良さを感じる皐月賞。今年は18頭と選ばれし出走馬の騎乗騎手に戸崎圭太の名前がないことは残念ではあるが、先日お伝えした通り、復帰まではもう暫しの時間を要することになりそうだ。リハビリの日々も当人の声色は至って元気。あとは負傷箇所の状態だけ上向けば、という段階だと言う。今回は皐月賞の過去のエピソードも踏まえつつ、語ってもらった。
中山開催も最終週 復帰のタイミングは改めて表明へ
──今週もよろしくお願いします!競馬界は中山・阪神最終週、皐月賞も行われます。ジョッキーとしては本来なら次週の東京開催からの復帰を目標ということでしたが、一旦白紙にされるということでした。改めて復帰時期についてはどう考えられていますか。
今回は僕も簡単に5月から、と考えてしまっていたのですが、正直、浅はかだったと思います。単なる骨折とも違うし、今までとは違う怪我でしたからね。もし期待していただいていたファンの方がいれば、申し訳ない思いです。馬にも乗れているように、医師の方からは大丈夫という判断もいただいているのですが、自分の感覚などを踏まえると、まだまだだなと思っています。
──5月というとクラシックやG1も続きます。同じ馬による同じレースはありえないものの、長い騎手人生で考えれば、毎年G1もやってくるわけですからね。
ここまでじっくりやってきたので無理をしたくないということもありますが、やっぱり乗せていただいた関係者のためにも、中途半端な状態で競馬に向かいたくないですからね。そこが一番です。ただ、もう6カ月くらい掛かっていますからね。長いことには変わりはないので、しっかり治したいです。
▲昨年の皐月賞はダノンキングリーと挑み、勝ち馬からタイム差なしの3着
──もうしばしの辛抱ですね…。騎乗やリハビリも続いていると思います。そちらはどうですか?
徐々に筋肉もついてきていますし、具合も良くはなっていますね。今週も騎乗もさせてもらいました。
──あまり内容は明かしていないですが、トレーニングは新たな試みにも取り組まれているんですね。
やることはシンプルな割に説明するのが難しいのですが、脳のトレーニングをやっています。2カ月前辺りからトレーナーに提案してもらい、試しているのですが、狙いとしては、集中力を高めるような効果ですね。例えば背を伸ばしたり、リラックスするにしても、その働きを良くするような。ただ、なかなか数値が上がってこないんですよね。まだ結果は出ていないですが…騎乗だけでなく、日常生活にもいい影響があればと思います。
綿密な準備が実った2年前の皐月賞制覇
──以前は故障箇所以外の体力強化なども紹介してもらいましたが、取り組まれていることは多岐にわたりますね。先週の桜花賞(G1)はデアリングタクトが勝利しました。レースを見られた印象はどうでしょうか。
ずいぶん天気も悪く感じましたし、脚をとられている馬も数多く見受けられました。その中で、勝ち馬は一頭だけ違う脚色。かなりの強さを感じましたね。僕も乗せていただいたマジックキャッスルは馬場に尽きるのかなと。それは戦前からも感じていました。
──騎乗していた松山弘平騎手も昨年から活躍が目立ちますね。
ずいぶんとノリにノってますよね。彼も自分自身で努力してきた成果が結果につながっているでしょうし、それが騎乗にも現れているのかもしれません。自信を持って乗れていると思いました。
──先週のレースでは、頻繁に乗られていたフィスキオが障害競走で初勝利でしたね。
正直、器用さがあるタイプではないですし、障害を飛べるのかな?なんて思っていましたが、まさか勝ってしまうとは…。平地の3勝クラスでも太刀打ちできない馬だとは思いませんが、どうしても体質の弱さがあるのか、良い時と悪い時の差が激しいタイプだったので、そこが勝ち味の遅さには出ていましたよね。自分がレースに乗っていて「障害が向いてますよ」とは決して言いづらいものですが(苦笑)。
──障害が向いていることを感じることもあるわけですね。
バネがあって、スピードが足りないような馬は障害を飛びやすそうな感覚はありますね。フィスキオは違いましたけど、新天地で結果が出たことは良かったですね。ただ、馬って、短いところを使っていた馬でも障害を走ることもあるわけじゃないですか?それがスゴイと思います。
──ある意味、人によって馬の能力も変わるということですね。騎手だけでなく、育成側も含めて。
そうですね。可能性もあるし、責任もありますよね。
──今週水曜、南関東のクラウンカップ(S3)はウタマロが勝利。こちらはどうでしたか。
正直、今週は映像を見られていなかったのですが、あれっ、(石崎)駿が勝ったと思ったら、(酒井)忍さんが勝ったんですね。忍さんが重賞を勝ったのは確か久々ですよね?それは良かった、良かった。
──疾病で騎乗できなくなった石崎駿騎手からの乗り替わりでしたね。クラウンCは昨年に続き、急遽の乗り替わりでの勝利ですね。
そうでしたか?記憶にないなあ…。
──いや、青に赤い星の勝負服を着られた方が勝っていましたが…(笑)。
そうか、そうか、クラウンCはあのレースでしたね(笑)。
──このレースがやってきたことで去年のレース写真も目にすることがあったので、久々にあの勝負服を見たいなと思いましたね。南関東の関係者も待っていると思いますし。
そうですね。僕もまたあの勝負服を着て、南関東で乗ることも目標です!
──そして、今週は皐月賞(G1)。縁のあるレースだと思いますが、どうでしょうか。
初めてクラシックを勝たせていただいたレースですからね。エポカドーロは強い競馬をしてくれましたし、去年も思い入れのある馬(ダノンキングリー)に、デビューから乗せ続けていただいて挑んだレース。着差は僅かではありましたが、自分が思い描いたレースができましたし、自分自身も少なからず成長を感じられたことを覚えています。
──出走馬の能力差はつきものですが、例年荒れた馬場になりやすいレースですよね。その難しさはありますか。
今年も土曜が雨という予報があるようですし、例年難しいですよね。雨中ならまだしも、乾いていたりするので、その判断も含めて、難しいレースだと思います。しかも、中山はゴチャついたりすることもありますからね。
──2年前のエポカドーロはジョッキー同様、戦列から遠ざかっていますね。
そうなんですよね。金鯱賞で出走直前まで行きながら、また立て直しとのことで…。もともと体質が弱いところもあるのでしょうが、腸捻転で一度、大きく崩れてしまった分の大変さはあると思います。ジョッキーなら復帰しようという強く意図を持てると思いますが、競走馬としては、復帰したいと思うかどうかでいえば、そうじゃないと思いますから。
──エポカドーロにも無事と復帰を期待したいところですね。ちなみに、一昨年の皐月賞も悪い馬場の中での勝利でしたが、藤原(英昭)先生ともレース前の打ち合わせはされたと思います。先生はよく馬場をチェックされている印象はあります。馬場に関しての打ち合わせも細かいですか?
藤原先生は細かいですね。熱心にチェックされていますし、当日は何度も話をしたりするくらいです。
──2年前はレース展開も難しい流れでしたし、そういう背景もあったということですね。ちなみに、藤原先生といえば、ストレイトガールの仔も今年デビューのようですね。
知っていました。子供たちにも乗せてもらいたいと思います!
──そして、先週ちょっと話題にしましたが、こうした世の中ですから、自宅でできるトレーニング、何かありますか?
色々考えたんですけど、僕もトレーナーに教えてもらって、色々なメニューに取り組んでいるので、自分から発信するのも違うのかなと(笑)。
──まあ、そうですね(笑)。復帰は近いと思いますが、もう少しの辛抱ですね。今週はここまでということで次週もよろしくお願いします。
ここまで掛かっていますからね。焦りは禁物でやっていきたいです。
※次回は4月24日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話にて取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。