'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月18日時点1558勝
ダービー週は6鞍に騎乗 復帰2週目の前進と初勝利目指して
2020/5/29(金)
次なる目標は初勝利。先週、6カ月ぶりとなる実戦復帰を果たしたが、最高着順は2着に終わった。まだ完調ではないことを認めつつも、乗るからには目指すのは勝利という。今週は6鞍を予定。自ら勝ち祝いをあげられるか。
緊張の復帰戦 久しぶりの実戦に感動と復調へ手応え
——先週は晴れて久々の現場復帰。まずは実戦に戻られて心境や当日の動向を振り返られるとどうでしたか?
現在はコロナウイルスの問題もあり、自宅からも通えるということで(認定調整ルームの運用)、僕はレース当日に競馬場へ入りました。それ自体も今までなかったことですし、ただでさえ久しぶりのレース。感じが違うところはありましたね。競馬場に着いてしまえば「戻ってきたな」「久しぶりだな」とは思いましたし、調整ルームで多少時間を過ごしてから検量室へ向かったのですが、久々に会う関西のジョッキーや職員さんにも復帰については沢山声を掛けてもらいましたね。ただ、レースに至るまでの流れもどこか忘れていたこともありました(笑)。
——他のジョッキーの方々も怪我を経験されている方はいらっしゃりますが、同じ時期に怪我をして休養していた浜中俊騎手も東京での騎乗でしたね。
検量室の鞍置きの場所が近かったので、やっぱり怪我についての話はしましたね。お互い復帰できてよかったです。
——土曜日は5Rからの復帰でしたね。現場からの写真を見ると、笑顔が窺えました。
たぶん写真に映っている時は調教師の先生と話していた時ですかね。まあ、これだけ騎手も長くやってきたので緊張することもないのだろうと思っていましたが、緊張しましたよ。それは多分、内心無事に乗ってこられるかという不安もどこか感じていたからかもしれません。もちろん復帰できた、戻ってきてこられた幸せも噛み締めました。
——そんな晴れ舞台ですが、残念ながら無観客開催だったことについてはどうですか。
寂しい雰囲気でしたね。ただ、そう感じているほど、緊張が勝って余裕もなかったのは事実です(苦笑)。
——こういった話もこれから伺うことになりますが、その復帰初戦、レース内容はどうでしたか?
初戦からチャンスのある馬に乗せていただいた先生、馬主さんには本当に感謝です。正直、自分の体の動き・反応も鈍く、思った通りに乗れなかったですね。レース前にも初出走時の映像をみると、まだ競馬をわかっていないような雰囲気を感じましたが、2戦目ということで気持ちも入ってきたようですし、これくらいの距離が合っていそう。もう少し前の位置につけられればという内容でした。勝つチャンスは十分ある馬だと思います。
——続く復帰2戦目は土曜8Rのディナミーデンで2着。今年初の馬券圏内、連対でした。
道中のリズムが大事な馬だと思っていましたが、もう少し前で競馬が出来ればよかったですね。惜しいところまで行きましたが、なかなか吉田豊さんの馬(ロブラリア)とは差が縮まらなかったです。
——日曜は3鞍乗られて、調布特別のジョブックコメンでの5着が最高着順でしたね。
以前も乗せてもらっていた馬で、スタートを決めてもっと前目でいきたいと思っていたのですが、行き脚がつきませんでした。以前より脚質も変わってきているとのことでしたが、コンスタントに使われていたこともあったのか、もう少しやれて良さそうな雰囲気には感じました。
先週は5鞍乗せてもらうことができましたが、復帰に際し、気にしていたことは馬とのコンタクトでしたね。故障したのは肘でしたが、まだまだ反応の鈍さもありましたが、もっと感覚は良くなると思いますし、戻していきたいですね。ただ、1つ乗るごとに良くなった感じはありましたよ。初日を終えてからも、ダメージがあったりするのか心配になりましたが、無事、問題なかったですし、その他の箇所もトレーニングの効果があったのか、筋肉痛なんかもなかったですからね。
レース後は自ら復帰祝い 次は勝ち祝いを
——そして、今週は6鞍の騎乗になります。まず土曜最終のシセイタケルは昨夏にも乗られていましたね。
気難しさがあるイメージですね。ただ、新潟で乗せてもらった頃は条件もなかなか不向きでしたし、東京の方が走りやすいんじゃないでしょうか。昇級初戦でも上位に来ていましたし、楽しみです。
——日曜は1Rのレジイナアン、むらさき賞のスパイラルダイブもレースで乗られた経験がありますね。
レジイナアンは昔の印象ではムキになって走って、終いが甘くなってしまう感。東京になりますし、道中はリズム良くいけるよう意識したいですね。ただ、ダートなのであまり後ろからというのは避けたいですし、気をつけたいところ。スパイラルダイブは昇級して、もうワンパンチのところはありますが、センスのいい馬で東京コースは合うタイプだと思います。もうちょっと前目で運べても良さそうですね。
——復帰2週目。今週に向かって、意識すること、テーマはありますか?
感覚を戻したいことが第一ですね。その中で初勝利も意識していきたいです。やっぱりレースに乗る以上、それは基本。勝つために色々やってきているので、現状の中でベストを尽くしつつ、結果を残したいです。先週の2着も悔しかったですから。
——リハビリのもどしかしさとはまた違う悔しさを久しぶりに味わったと。
まあ、それは言えますね。ただ、先週は結果を残せなかったのですが、自分で「復帰祝い」ということで6カ月ぶりにお酒も飲みました。嬉しくなっちゃって、楽しくて飲みすぎちゃいまして・・・翌朝の月曜は久しぶりに二日酔いでした。半端なく気持ち悪かったですね。あまり残ることはないのですが、家なのに吐いたくらい(笑)。だから皆さんも生活習慣を変える時は一気じゃなく、徐々に、ですね。気をつけましょう。
——酔ったという話も今まで耳にしなかったので、意外ですし、さぞかしだったでしょうが…次は「初勝利祝い」ですね。今週は日本ダービー。2年連続2着と惜しい結果が続いていますが、今年は騎乗となりませんでした。そこに関してはどうですか?
無観客なので、また違った雰囲気にはなりそうですね。ただ、僕としては復帰できたことが第一です。もちろん乗れたらこしたことはありませんが、ダービーは来年もありますから。今はそれだけで十分ですよ。
——ちなみに、都合によりもう締め切らせていただいたのですが、先日「クイズ」を出題させていただきました。その回答も発表してもらいましょう。
まだ調整しつつ変える予定ですが、1つは腹帯。2つ目はレギンスの色。最後は手袋ですね。他にもありましたが、多分気づかれていないので、正解はその3つでいいでしょう。
——現場で見られる方はいらっしゃらないでしょうが、皆さんも写真などで確認できたかと思います。正解された方の中から抽選でプレゼントがありますが、当選者の方には後日、連絡させていただきます。次週は安田記念。引き続きよろしくお願いします!
ありがとうございました!
※次回は6月5日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。