'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
夏競馬へ向けて再加速へ 東京最終週は好ラインナップ!
2020/6/26(金)
福島・夏競馬へ向けてラストスパート。5月23日の復帰、6月6日の初勝利以降、着実にピッチを上げてきた感のある戸崎騎手。東京開催最終週も乗り鞍こそ少ないものの、好勝負が期待できる騎乗馬が揃った感。例年好成績を残している福島開催へ向けても弾みをつけたい一週間だ。
先週に続き除外の不運も少数精鋭の東京最終週
——今週で東京開催も最終週。先週のエクリリストワールにもいえることですが、今週も騎乗予定だった馬の除外が多いですね…。土日で9鞍の予定となりますが、まずは今週末の騎乗馬の話題からお願いできればと思います。
開催最終週ではありますが、開催途中から復帰したこともあり、どこかまだ終わりという感覚はないんですよね。それに最終週だからといって、一つ一つ、丁寧に乗って成績が伴えばというところ。それはいつも変わらないことなのですけどね。今週は新馬でも調教に乗せていただいた馬が良い動きをしていただけに除外は残念ですが、与えられたところでしっかり乗っていきたいですね。ちなみに、先週除外になったエクリリストワールは次週の福島(安達太良S)で乗せていただくことになりました。
まず、土曜6Rのキララは良い走りを見せながら、最後に交わされる惜しい競馬。ただ、今の未勝利に入ったら力は上でしょうね。追い切りにも乗せていただいたところ、力も、気持ちも感じました。いい勝負ができると思います。
日曜4Rのプモリテソーロは追い切りに乗せていただいたら、正直気難しさを感じましたね。成績を見てもらったらわかりますが、力は足りる馬だと思いますし、作戦を練って挑んでいきたいところです。日野特別のニュートンテソーロは前走が強い内容でしたし、クラスが上がってもやれる手応えは感じています。
江の島特別のボッケリーニは新馬戦で乗せていただきましたね。その後もしっかり走って成績を積み重ねてきましたし、レースを見ていても成長を感じますね。パラダイスSのアルーシャは調教を含め、テン乗りにはなりますが、リズム良く運べれば良い脚を持っている印象です。末脚を引き出したいですね。
——日曜の新馬も重賞勝ち馬の兄弟という血統でしたし、残念なところでした。キララは所属の田島俊明厩舎の管理馬。復帰後はレースで騎乗する馬に限らず、自厩舎の追い切りに乗られていますね。以前よりも自厩舎づいてきたというか。
そうなんですよね。乗った方が感覚も戻りやすいでしょうからね。今でも空いた時間があれば、調教でも乗せてもらうようにしていました。
——東京の芝は先週からDコース替わり。コーナー以外、芝の塊が頻繁に飛ぶようなことは見受けられなかったのですが、馬場のコンディションはどうですか?
馬場は荒れてはいますけど、最後の直線はそこまで柔らかくはないですかね。コーナーはやっぱり緩さがある印象です。どちらかといえば内を回った方が良さそうですね。
先週は久々コンビで勝利 復帰後のメンタル面を自己評価
——先週はビッククインバイオで1勝。久しぶりのコンビだったと思いますが、こちらはどうでしょう。
新馬の時から乗せていただいてセンスのいい走りをしている馬でした。以降もいいレースはしていましたが、前より気持ちも入っていて、馬も体質面はしっかりしてきた感。東京なら1400mの方がいいですね。
——ユニコーンS(G3)はかなりハイレベルな争いだったと思います。メイショウベンガルはダート2戦目でしたが、どうだったしょうか。
返し馬からも初ダートの前走で楽に勝ったのがわかる乗り味でした。いい馬だなと思いましたし、その中でどれだけやれるか、という感触でしたね。レース自体はリズム良くいけたと思いますし、4コーナーでは手応えも良く、「ヨシっ」というところはあったのですが、そこからの反応がひと息。理由としてはダートでの経験も浅いですし、一番は距離が長いようですね。もう少し短い距離でスピードを活かすような競馬が良さそうです。
——その他のレースはどうでしたか。
新馬のブリングトゥライフはまだ走ってくるには早かったですかね。乗った雰囲気はハービンジャーらしく、しっかりしたものはあるのですが、速い脚が無くてギアがまだまだ変わってきませんでした。良いものがありそうなので、間隔を開けてどう変わってくるか期待したいですね。
ムーンダイアローグは後方からの競馬になるだろうと思っていましたし、展開に左右される印象はありました。未勝利戦も残りわずかではありますが、道中でもう少し前進気勢がほしいところですね。
バンディエラは以前乗せていただいた時は行きっぷりが足りず、出していかないといけない気配だったのですが、変わってきていましたね。結果的にハイペースに巻き込まれてしまいましたが、よく粘っていますし、もう少しなだめて乗ってあげられたら良かったですね。クラスにメドが立つ内容だったとは思います。
パラノイドは思ったよりも進んでいってくれなかったですね。追い切りではもう少し反応もしていましたし、芝だとしてもあそこまで流れに乗れないとは思わなかったのですが…。
ベルラガッツォはもう少し距離は詰めた方が良さそうですね。未勝利戦も後が無くなってきていて、条件も限られますが、前々で運ぶような競馬が良さそうなタイプですね。今回は外枠でしたし、馬も外に張っていましたし、コーナーで不利もありました。スタートは決めてくれたんですけどね。最後は集中力も切れている様子だったので、条件替わりと馬具、ブリンカーを着けて、変わり身があって良さそうです。
リングアベルは頑張ってはいるのですが、どうももう一つギアがあって良さそうなところが変わってこないように思えました。それは先生も言っていたのですが、改めて期待したいところです。
——ここからは話題を変えさせていただくと、先日、大井の笹川翼騎手が地方競馬通算900勝とのこと。大井競馬出身の騎手としては最速での達成だそうです。
それは素晴らしいですね。以前は誰だったんですか?
——戸崎圭太騎手だそうです。ちょっと意外に感じました。
ああ、そうだったんですね。自分でも知らなかった(笑)。「翼、オレを抜くとは何やってんだ」って感じですね・・・それは冗談として、同じ時期のレースには乗っていないんですけど、今はトレーナーが同じなんですよ。
——それは初耳です。繁田健一さんや真島大輔さんといい、南関東勢は御用達のトレーナーですね。
もう何人もやってもらっていますからね。応援している後輩ですし、腕を上げていることも感じます。大井を背負うジョッキーになってほしいですね。
——先週も同じような話題をさせていただきました。復帰後、これが6週目の競馬となります。復帰後、初勝利が6月6日で、6月の成績でいえば29戦6勝。勝率20.7%です。ここまで精神的な面ではどうですか。
怪我をする前に比べると、ムキになって乗っている感じはしないですね。休む前よりも気づけていること、見えていることがあるのかなと思いますし、今のまま行ければ休養した経験が良い方に出てくれそうな感もあります。
——あくまで自分の感覚ですが、内容のいいレースが増えている、勝負強さを感じていました。
ええ、体質的にも不安なところが良くなってきましたし、これならレースで勝負していけるという感覚はありますね。
——そして、次週からは福島開催。例年、相性のいい開催ではありますね。
福島は独特なコース形態ですからね。ただ、自分もいい意味でリセットをして、考え直して、レースを組み立てていきたいです。これまでは力の違う馬ばかりに乗せていただいた結果。過去は過去ですからね。ただ、休んだことで福島も同じ久々でも、どこか忘れているような感覚もあるので、いい意味でフレッシュな感じで挑めそうです。
——今後は移動時間も長くなるでしょうが、引き続きよろしくお願いします。
移動でもウイルスの予防もしっかりして臨みたいと思います。
※次回は7月3日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。