'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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40代初勝利へ 七夕賞など福島で11鞍に騎乗!
2020/7/10(金)
不惑を迎え、より洗練された騎手人生へ。先日7月8日に40歳の誕生日を迎えた戸崎騎手。ご存知の通り、昨秋に落馬事故で長期にわたる戦線離脱を経たが、怪我を踏まえた上で迎える新たな年代に対して期する思いもあるという。6月からは順調に勝ち星を重ねている中、挑む福島2週目。新たな戸崎圭太の姿を画面越しにご注目いただきたい。
7月8日が40歳のバースデー!20代、30代とも違う心構えで
——まず、今週7月8日は40歳の誕生日ということでおめでとうございました!誕生日当日、水曜のトレセンでは声を掛けられたんじゃないですか?
いやいや、一言もないですよ。僕も期待というか、言われるとも思っていなかったですけどね。ファンの方からは幾らかプレゼントをいただきまして、ありがとうございました。
——しかし、30代から40代に変わる訳ですが、一つ歳を重ねるのともまた違いますね。
感慨深かったというか、今までは思ったことがなかった感覚はありました。ケガもあって、今の状況からかもしれないですけど、40代になるということで、色々考えたりはしましたね。
——昔、自分がイメージしていた40代になりましたか。
あまりそういったビジョンは考えていなかったので、これで40歳を迎えるのか、という感じでしたけどね。ただ、色々経験してきて、これからの40代はシンプルに生きていこうかとは思ったりしていますね。
主に仕事のことですが、20代は自分でもがむしゃらに競馬に乗っていた感じがあって、30代は色々考えて乗っていつつも、色々迷ったり、上手くいかなかったり、スッキリしない感じでした。そうやって考えた時に、経験をしているからですけど、もう少しシンプルに、無駄なものは省いていって良いのかなとは感じていて、そんな40代にしても良いのかなとは思っていますね。
今から省いていく作業をしていかないと、シンプルになっていかないと思うので、徐々にそういうものを削ぎ落して、さらに極めて行ければ良いかなと思っているんです。必然的に仕事のことになってしまうんですけどね。詳しく周りに説明するものでもないような気はしますけどね……。
——先ほどもおっしゃっていましたけど、ケガもあったので、仕事に関してはある意味、リセットされているところもある訳ですからね。
——40代の1週目となる福島競馬ですけど、まずは、重賞・七夕賞(G3)はパッシングスルーに乗られますね。今回は追い切り映像を観たところ調教にも乗られていましたね。
追い切りでは初めて乗せていただきました。レースでは乗りやすいのですけど、随分行きたがるな、というところはありましたね。全体的な動き自体は悪くなく、素軽い動きはしていましたけどね。ここ最近はダートにも使っていましたが、ダートはむしろ合うと思っていました。とはいえ、古馬の重賞ですし、決して勝ち負けするには容易ではないのですが。
——先週の芝を見ている感じだと、水分は含んでいるものの、内が有利。流れによっては差しもきくという印象を受けたのですが、いかがでしたか。
土曜日は内の傾向が強かったですが、日曜日は変わりましたね。パッシングスルーにとってはあまり降り過ぎると良くないのですが。
——54キロというハンデですね。
重賞を勝っていますから、やっぱり軽くはならないですね。相手もこれまでの同世代の牝馬と違って揃った感はありますし、どこまでやってくれるか。頑張ってほしいですね。
——その他のレースで、騎乗したことのある馬や追い切りに騎乗した馬についても伺いたいと思います。
土曜日1Rのレオテソーロはパワーもスピードも兼ね備えている印象。ダートも良さそうですが、前走は芝の道悪に対応。週末も雨予報ですし、良い勝負ができるんじゃないかなと思っています。2Rのゴルトベルクは追い切りの感触は良かったですね。素軽い動きで、反応も良かったですね。
——日曜5Rの新馬戦のグランスエーニョには追い切りに騎乗されていましたね。
今週より先週の方が動きは良かった印象もありますが、大きな馬で、綺麗な馬場でやりたいタイプでしょうか。ユッタリとした跳びはしていますね。
8Rのルヴェルソーは展開的に左右される部分があるかもしれないですね。ただ、追って良いタイプ。安定して走れそうな感じはしています。
▲グランスエーニョの1週前追い切りに騎乗
約1年ぶりの福島で2勝 ラジオNIKKEI賞は惜しくも3着
——先週の回顧もおねがいします。ラジオNIKKEI賞(G3)で3着のディープキングはスタートで隣の馬に寄られたのが大きかった気がしました。
あそこで勢いがつかなかった感じでしたね。ただ、馬はすごく立派な馬でしたね。(全兄のサトノ)キングダムも晩成型だったので……。いや、晩成といっても、最初も走っていましたけど、どこか後々良くなってきそうなように感じていたので、楽しみはありますね。
コーナーでは若干脚を取られていましたね。そこは勝負処でもあったのですが、敢えてあまり慌てずに乗りました。直線になると、また走れるようになって伸びてきてくれたので。先週は特殊な馬場というか、上滑りするような馬場だったので、走り辛い馬は走り辛かったですね。
——その他のレースはどうでしたか。期待値でいえば、先週日曜の中では新馬のタウゼントシェーンがいま話題の厩舎ですし、担当スタッフの方もダービー馬と同じで気になりました。
12Rのサトノブレイズは息を入れられない競馬でしたね。外から来られて、馬も力んでいるようなところもありました。新馬のタウゼントシェーンはレース前から「期待の大きい馬」だということは耳にしました。小柄ですけど、素質は感じますね。どちらかと言えば、良馬場の方がもっと良い脚は使えそうです。距離は血統的には短いところになるのかもしれませんが、フットワークや気性的にも、今のところはそんなイメージはないですけどね。前から言うように、初戦というのは馬も分からなく走っていますからね。2戦目で分かってくるのかなと思っているので。
——先週土曜の騎乗馬はどうでしょう。
12Rのシネマトグラフはジャンプスタート気味になってしまいました……。それでも押し切れるかなと思っていたんですけど、やっぱり馬場が乾いている方が良いのかなという気はしましたね。勝ちたかった馬ではありますけどね。
松島特別のダノンポピーはゲートを上手く出ていけずに、その後も二の脚がつかなかったので、後ろからになってしまいました。前から我の強い馬なのですけど、そこが強くなっているイメージで、道中も気持ち良く走っている感じではなかったですね。攻め馬とは違いましたね……。レースに行ってからの方がテンションも上がって、体に力を入れ過ぎて走っているようなところがあったので、気性的な課題はあると感じましたね。
2歳新馬のバクシンはスタートでどうも周りを気にしてか、ブレーキを掛けるようなところがありました。そこから集中しきれずに終わってしまった感じでした。東京を除外されて、福島に使うことになりましたが、能力はあると思うので。外枠だったり、周りに揉まれない形で行ければ、力を出せると思いますけどね。
こちらも新馬のラインオブフェイトは申し訳ないですが、「やっぱりダートだな」という感じでしたね。スタートを出てくれて、その後のスピードの乗り方がイマイチ。スピード負けというか、ダートの方が良い印象は受けましたね。
リングアベルは勝った馬が強かったですね。イメージ通りのレースはしてくれたので、福島で勝てれば良いなと思っていますけどね。おそらく来週使うはずです。
——安達太良Sで3着のエクリリストワールは3着。ぺースがかなり遅かったですね。
もう少し前の位置で競馬ができるかと思っていたんですけど、並び的にあの位置になってしまって……。昔よりも折り合いも付いて、上手に競馬ができるようになったのですけど、力を出し切れていない感じでしたね。ただ、東京でやりたかった競馬が福島でできたので、今までのレース振りからいくと、最後の脚は一番良かった感じだったので。
——正直、あの形になったら伸びてくるのは厳しいのかなと思ったんですけどね。
僕はイメージ通りだったので、良かったんですけどね。
——3歳未勝利を制したステラドーロは、小倉の時も良馬場ではありますが、荒れた馬場で走っていたので、開幕週の重馬場だったら走ってもいいのかなと思っていました。
前走はとは違ったインパクトを受けたレースでした。終始良い手応えで、最後の脚も素晴らしい脚。強い勝ち方ができたのかなと思っています。印象にはなかったレース振りだったので、正直驚きましたけどね。
——久々の福島遠征ということに関してはいかがでしたか。
遠征もそうですが、僕自身が電車だったり、新幹線に全然乗っていなかったので、そんな面で久し振り感はありましたけどね。こういう状況なので、人も少ないイメージでしたし、外で食事をすることもないので、いつもの福島の金曜日の外食はお預けだなと思っていますけどね。福島も駅周辺の様子しかわかりませんが、普段よりちょっとは人が少なかったのかなと。何とも言えないですけどね。
——ちなみに、復帰後は手袋の色をちょくちょく変えたりされたりしていたと思いますが、ここ最近は落ち着きましたね。
赤や青と派手な色だったので、なるべく勝負服に合わせたいと思ったのですが、止めました(笑)。今はちょうど良いのがあったので、グレーの同じ手袋を使っています。
——レギンスも一時はされたりしていましたね。
何か良いのがあればなと思っているんですけど、今のところは特にないので止めていますね。どうしても合っていないというか……。やっぱり無難なカラーは皆が着けているので、周りと同じところは行きたくないのでと思っているんですけど、そうするとやっぱりないんですよね。僕の靴がネイビーと赤なので、結局、それに合わせるのも難しいんですよね。靴自体を買い換える訳にもいきませんから。
——また来週もよろしくお願いします。
ありがとうございます。
——バースデー勝利をあげないといけないですね。
そうですけど、そこは意識していないですけどね(笑)。
——次週は早いもので福島開催も最終週。引き続きよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。