'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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新潟開幕週はマルチV発進&「ニュー・戸崎圭太」へ取り組むテーマとは?
2020/7/31(金)
先週もお伝えした通り、騎乗数を制限していた状態とはいえ、2場開催中の新潟は出馬ラッシュ。その結果、除外もあり土日9鞍の乗り鞍になってしまった戸崎騎手。しかし、それはここのところも同じで騎乗予定馬の除外、回避などのアクシデントがありながら、6月から2ヶ月で17勝の勝ち星は流石といえるだろう。今回は週末の騎乗馬だけでなく、現在、心がけているトレーニングのテーマなどについても語ってもらった。
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——新潟開催は2週目。先週は2勝をマークされましたが、新潟遠征自体は久々だったと思います。移動なり、久々の競馬場の感覚はどうでしたか?
例年、覚悟はしていますが、新潟といえば暑さには気をつけていました。福島の方が湿度は高いイメージではありますが、ただ1週目に関してはまだ我慢のきくレベルだったと思います。何度か話したかもしれませんが、数年前から食事も変えたことで心配はしなくて良くなったとはいえ、やっぱり南関東にいた頃と違って、暑さにも弱くなったのかもしれませんね。
——今でこそ、南関東もナイターの日程が増えたとはいえ、たとえば浦和開催だったら、あの暑さの中、週5だったりするわけじゃないですか。四六時中、乗っている頃に比べたら暑さに弱くなったといえるかもしれませんね。
それはありそうですね。南関東もナイターだと蒸し暑いじゃないですか。あれは苦手でしたね。だから、暑さといっても新潟より湿度を感じる福島の方がキツいイメージがありますね。
——今週はまだ気温もそこまで上がらなさそうですが、土曜は相変わらず騎乗予定馬の除外などもありましたね。1Rのレオテソーロは今回も追い切りに騎乗されていますね。
ダートは試したら面白いんじゃないかとずっと思っていました。状態も変わりなくきていますし、前進してほしいです。
——日曜5Rの新馬戦はアカイトリノムスメが予定。父がディープインパクト、母がアパパネという良血ですね。
注目度が高いことを感じていますし、追い切りではいい動きをしていましたね。現時点では精神的にも落ち着きがありますし、距離も将来的には長いところでも走れそう。こうした良血馬は期待が高くても順調に行くことの難しさを感じますが、無事に成長していってほしいと思います。
——7Rのベルキューティは久々の騎乗。関越ステークスのサトノワルキューレはテン乗りとなりますね。
ベルキューティは競馬センスのいいイメージはあるので、上手く立ち回れればと思います。サトノワルキューレは重賞を勝った時が強い内容でしたが、その後はひと息。競馬の組み立ても色々考えてみたいですし、おそらく人気もしないと思うので、思い切った策をとってもいいんじゃないかと今は感じています。
——土曜メインはフレッチアに騎乗予定も残念ながら除外に。ただ、アハルテケS同様、新潟日報賞は過去に2-3-1-0と馬券圏を外していないレース。相性が良かっただけに残念です。
いいイメージはありましたが、そんなに良かったとは気づかなかったですね(笑)。また来年リベンジします。
——他にも除外馬がおりましたが、ここ3週の新潟は出馬ラッシュですし、多少仕方ないですね。先週、乗られた上で新潟芝の感触はどうですか?
開幕週にしては差しがきまりますよね。まあ、前一辺倒だったりすると、それはそれで面白くない。馬場も硬すぎず程良いでしょうし、いいコンディションじゃないでしょうか。
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——その先週のレース回顧も伺うと、シャレードは差し切り。前走の内容からも、個人的には次は面白いと感じていた馬でした。
新馬の頃は1400mなどの短い距離でスピードを活かすような競馬をしていたようですが、それが変わってきているとは戦前に聞いていました。脚質的にはジワジワ伸びていく感じですが、しっかり伸びて差し切ってくれたように能力を感じさせるところ。今後もこれくらいの距離が合っていそうです。
——ヒューマニズムは追い切りに乗って、ひと叩きの上積みを感じられたと思いますが、実戦ではどうだったでしょうか。
やっぱり初戦よりは良くなっていますね。それは先行できたあたりにも感じました。ただ、まだ全体的に体力不足といいますか、もう少し時間があれば良くなりそうです。時期が時期だけに、そう言っていられないのがもどかしいところですね。
——もう少し時間があれば、良くなっていきそうな馬ですね。フーラリは追い切りでもいい動きをしているように感じましたが、先着された関西馬も手強かったですね。
返し馬で初めて芝に降ろしたところ、まだフットワークの硬さを感じましたし、体も動ききれていない様子でした。レースでも徐々にハマってくる感じでしたし、敗れはしましたが、使っていくごとに良くなってきそうです。
——スクリーンヒーロー産駒も使いつつ良くなる傾向がありますよね。コトブキテティスは関西の惜敗続きの馬との争いを制しました。
前走でも感じましたけど、馬は良くなっていますね。追い切りでも感じましたが、体も使えるようになってきています。仕上がりはギリギリといった状態でしたが、外を回りながら伸びて交わしてくれましたし、内容的には馬に助けられた勝利です。内回りの条件も良かったですね。
——父ハービンジャー、母父キングカメハメハの配合は活躍馬が多いので今後も楽しみです。トーセンリストはパトロール映像をみても、スペースがなかったですね。序盤の位置もこたえたでしょうか。
本来はハナの後ろくらいをイメージ。2列目にはいたかったのですが、出負けしてあの位置からに。ペースも上がらず、馬群も全くバラけなかったです。スタート後の位置取りがこたえました。
——新馬のチャペルレーンはどうだったでしょうか。
ゲートが開く音に驚いていましたね。ただ、競馬の形としては良かったと思います。先々につながってくる感触は受けました。
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——今週も除外などでなかなか騎乗数は確保できない不運も。ちょっと他の話題も伺いたいところ。前にも聞いていますが、改めて暑さ対策での取り組みなどはされていますか。
そこはいつも通りですかね。食事を変えたことで今は問題ないですし。
——ここのところの体質面、トレーニングの方向性はどうなっていますか?
もともと猫背なんですよね。外では気を張っているからか、そう思われませんが、椅子に座ったりしたら背中が丸まってしまうクセがあるんです。そこは直したいと思っていて、背中や腰は強くしたいと取り組んでいます。
——それは意外ですね。ただ、以前から言われてみれば騎乗の際に背中は丸い感覚は凄くありました。でも、復帰後はそこも変わってきているんじゃないですか?それは見ていて感じていました。
そう言ってもらえると、凄く嬉しいですね。やっぱり背中が丸いと、騎乗の際に肩甲骨を活かせられないですし、直していきたいと思っています。やっぱり背中が丸くて、肩甲骨を使えないと、馬を引っ張る時に腕だけになってしまう。力が伝わりづらくなってしまうと思うんです。
昔、(南関東の先輩、地方競馬歴代2位の勝利記録を持つ)佐々木竹見さんに「背筋を張るように意識する必要はないよ」とアドバイスをもらったことはあるのですが、竹見さんの場合、柔らかく乗れるところがあって、そこでバランスがとれていたと。骨格だったり、体型など人それぞれ違いますし、もちろん背中が丸くなければ良いと一概には言えませんが、色々見てきたり、感じてきた上で直すべきところだと考えています。
——ただ、そういった点は昔から指導されたりしないものですか?
教わっていたのか、僕が聞き流してしまっていたのか……。昔の映像を見直すと丸さが顕著ですからね。自己流で来てしまっていたのか、もっと若い内に気づくべきでしたが、今からでも取り組んでいきたいです。
——ジョアン・モレイラ騎手のように短期免許で来た外国人騎手でも背中のラインが綺麗な騎手はいますよね。最近でいえば、ライル・ヒューイットソン騎手もそうでした。
そうですね。ライアン(ムーア)だったり、海外のトップのような騎手はだいたいそうかなと。繰り返しになりますが、背中が張っていれば、馬が動くとは一概にはいえないと思いますが、海外のトップはその辺りも把握しつつ、落とし込めているのかと。モレイラなんかはお手本であり、目指すべきところですよね。
——しかし、トレーナーさんも競馬専門の方ではなかったと聞きます。そうした弱点も認識してくれるとは素晴らしいですね。
ありがたいことです。まだ自分にも伸びしろがあると思っていきたいですね。
——またそうした取組の経過も、時に伺っていければと思います。ちなみに、次週はレパードS(G3)と3歳のダート重賞がありますね。
ブランクチェックに乗せていただくことになりました。
——ありがとうございます。今週も健闘を祈ります!
ありがとうございます!
▲1週前追い切りを行うブランクチェック 厩舎スタッフが騎乗
※次回は8月7日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。