'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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3場開催の再開は引き続き新潟へ 関屋記念はサトノアーサーと再コンビ
2020/8/14(金)
東西所属の人馬がひしめく2場開催中の新潟もつかの間。今週から例年同様、小倉を含めた3場開催に戻る夏競馬。先週は残念ながら未勝利に終わったが、今週は怪我からの復帰後、最多となる土日14鞍の騎乗予定。夏本番、新潟でも巻き返しの狼煙を上げるか。
今週から3場開催!土日新潟で14鞍に騎乗
——今週の予定を見ていたら、土曜日は朝から4鞍連続。結果的に4鞍目の騎乗予定は日曜日に回っていましたけど、今週から乗鞍を増やしたのだな、と思っていました。
そういう訳じゃなくて、ここ最近いつも除外が多かったんですよね。
——直近の3週も出馬ラッシュでしたし、かなり見受けられましたね。3場開催に戻る今週末の騎乗馬からよろしくお願いします。時系列順に伺っていくと、土曜(2歳未勝利)のスペシャルドラマは新馬で乗る予定だったと思いますが、どんなイメージを持たれていますか。
追い切りの時は跳びがユッタリとしている馬で良いフットワークはしていました。レースでは初めて乗りますけど、楽しみではありますね。ただ、福島の時は馬場が悪かったですよね。道悪はどうなのかな、という疑問符はありましたが、僕のイメージでは新潟の外回りより福島の方が良いタイプかなと思いますけどね。
▲2018年のエプソムCではサトノアーサーと勝利
——(3歳未勝利の)ツキマデトドケは追い切りで乗られていますね。
この馬には何度か追い切りに乗せていただいていまして、センスが良さそうなイメージです。未勝利は卒業できて良さそうな馬ですが、なかなかレースに行くと難しいですね。ちょっと揉まれたりすると、弱さが出ちゃったりするんですよね。乗った感触としては良い馬ですが、そこは頑張ってほしいです。
——(3歳未勝利の)チャオコーリーは福島に続いての騎乗になります。
この馬はきちんと道中でリラックスさせて、スムーズに走らせることが出来れば、未勝利は卒業出来る馬ですね。
——(村上特別の)イザラも前走に続いての騎乗。東京、中山と不良馬場に見舞われていますね。
本当は先週1400を使う予定でしたよね?(1600の)距離がポイントといいますか、外回りで直線の長いところが鍵ですかね。馬場も綺麗な方が良さそうです。
——(上越Sの)メイプルグレイトは「縁のある厩舎」。厩舎スタッフから状態面などは伺ったりしていますか。
いや、まだ聞いていないです。この馬も本来乗る予定があって、除外になったということですね。能力はあると思いますし、楽しみです。
——日曜日(3歳未勝利)のドリームメッセージはいかがでしょうか。前走は惜しい競馬でした。
前走も作戦として早めに仕掛けて、粘り込みたいなと思っていました。結果、勝ち馬に上手く乗られて差されてしまいましたね。後で振り返れば、仕掛けが早過ぎたのかなと思うので、その辺も工夫して乗りたいところ。レース映像を観ていても、交わしそうで交わさないというところがあって、それを踏まえて工夫したいと思っていたのですが、今回は距離も延びますから、そこが課題ですかね。
おそらく昔とタイプが違って距離が延びるのは一概に良くなさそうなので。ただ、未勝利を卒業出来る力はありますからね。
——(3歳以上1勝クラスの)ミュアウッズは追い切りに乗られていました。
大きな馬ですね。600kgくらいありそうな大型ながら素軽い走りはしていて、いい意味で大きさを感じさせないですね。
——(浦佐特別の)オーバーディリバーはいかがでしょうか。
前走、といっても間隔は空いていますが、勝たせてもらった時も強い勝ち方をしましたので、クラスが上がっても良い勝負が出来るんじゃないかと思いました。久々ですけど、楽しみですね。ちょっとテンションが高い馬なので、休み明けが良い方に向くのか、どちらか、ですかね。気が入り過ぎちゃうとあまり良くないですけど、ボケッとするタイプではないと思うので。
——関屋記念(G3)のサトノアーサーはエプソムCを制し、毎日王冠以来のコンビですね。
重賞を勝っているように、力は通用すると思うので、上手く勝利に導きたいなと思っています。どの条件でも堅実に走るのがセールスポイントですね。
——重賞を勝った時は道悪。いま見る限りは、週末の新潟はまた雨予報ですね。
悪い方が周りは苦にする分、走りやすいでしょうね。それと道中もちょっと力みやすいのでなるべくリラックスさせたいですね。その中で良いポジションで出来るだけ走らせて、最後脚を使わせるというレースですよね。
しかし、先週の新潟は不良馬場になったのが久々らしいですよね。新潟は水捌けも良いですし、あまりそうやって大量に降ることがなかったのかもしれません。自分でも新潟でああいう馬場というのは、あまりイメージがないなという感じでしたよね。
——全く雨がないわけじゃないでしょうけど、言われてみれば納得するところもあり、意外ですね。
バッと降ることはあるけど、大体1回で収まったりするんですかね?先週は降ったり止んだりしながら、ずっと降り続けていた感じでした。
——進路取りというか、そこら辺の読みに関してはどうでしたか。
難しかったですね。馬場が悪いので、あまりテンに急かしても、そこでエネルギーを使っちゃう心配もあるし、結局、道悪が上手な馬でないと走り辛いのかなというくらいの馬場になっちゃった感じですよね。
レパードSのブランクチェックは課題を克服し3着
——先週の回顧もお願いします。(2歳新馬2着の)レッドベルオーブに関してはどうでしたか。
結果から言うと、取りこぼしになってしまいました。初めて乗りましたけど、返し馬から感触も良くて、走る雰囲気。馬場が乾いた方が良かったとは思いますけど、上手く4コーナーのところで外に出せていれば、もう少し良いリズムで行けていれば勝てたはず。もったいないレースをしてしまったという感じでしたね。
——本来は1週前の1800mにも予定していたと記憶します。距離適性はいかがでしたか。
距離が長い分には対応できる馬ですね。
——(ダリア賞5着の)アスコルターレは他の人気馬共々、意外な結果でした。新馬の勝ち時計からすれば、もう少し走ってもいいんじゃないかと思いました。
新馬戦の映像を観て、良い勝ち方をしていたので、(勝ち時計も良くて)楽しみにはしていました。正直、返し馬の時点では少し走りが詰まっている感じがしたんですよね。レースに行ったら、フットワークも良くなるのかなと思っていたんですけど、いざレースに行ってからも詰まった走りで、進みも良くなかった感じですね。出遅れていた訳ではないですし、行ければ前に行っても良いなと思っていたくらいなので、スタートからちょっとスピードに乗っていけなかった感じですね。
——馬場の問題か気性的な問題か、状態面なのでしょうか。
馬場だけではないと思いますけどね。気性的に後ろ向きというか、気性の悪さを出している雰囲気もないのはないんですけど、道中なんかはステッキで肩ムチを入れても、反応がなくて進まない感じで、ちょっと原因は分からないですね……。新馬戦のフットワークがどうだったのか、ちょっと(松山)弘平君に聞いてみたいですけどね。
——以前も気になりましたけど、普段は松山騎手を「弘平君」と呼ぶんですね。
あまり接点がないので……。僕は地方から来ているから、なかなかそのさじ加減は難しいところが (笑)。北村君も友一君と言うし、福永さんはユーイチさんですけど。同じ歳でも「さん」付をする人もいますからね。
——非常に脱線しましたが、(佐渡S4着の)スパイラルダイブは結果的に序盤が……という感じですかね。
自分から出ていく馬ではないんですけど、スタートして前をカットされたので、それで勢いがつかなくなっちゃいましたね。それからある程度付いていってくれれば良いんですけど、そこもなかなか付いていくのもやっとでという感じだったので。
——(2歳新馬4着の)ヴィルヘルムはいかがだったでしょうか。
全体的に使った方が良くなるのかなという感じはしましたね。それでも躍動感があるような走りで、どう成長していくのか楽しみな馬ではありますね。
——(驀進特別9着の)ファストアズエバーは内枠になったのが勿体なかったですし、もともと気難しいことで有名な馬のようですね。
スタートで僕の鐙が外れてしまいました。勢いをつけられなくて、千直だけにそれが敗因ですね。ただ、気性は随分落ち着いたみたいで、西田(雄一郎騎手)さんにもレース前に話を聞いたんですけど「返し馬からだいぶ落ち着いてきた」と言っていて、落ち着いていましたね。
——レパードS(G3)のブランクチェック(3着)は先週、お話を伺ってから、翌日に枠順を見たら、これは大丈夫かという感じだったんですけど、どうでしたか。
窮屈になるレースではなかったので、この馬のフットワークを邪魔するような感じでは行かずに、リズム良くは行けたので、内枠でもそこは問題なかったですね。馬場も速すぎてしまうとどうか、ですけど、上手いこと収まってくれたと思います。距離は大丈夫でしたね。
——不良馬場過ぎて、内を回らないと厳しい条件だったかなという感じはしますけども、相手次第でこなせる感じではありますかね。砂を被るのは全然問題ないですか。
それは問題ないですね。競馬を組み立てることは出来るんですけど、やっぱりフットワークが少し大きい分、ペースが遅くなって窮屈になると、ちょっと行きっぷりが悪くなるタイプではありますね。
——そうなるとコース次第ではあると思いますし、あまり小回り過ぎると良くないのかもしれないですけど、ゆくゆくは地方交流なんかに行けたら、割とやりやすい感じですか。
イメージは湧きますかね。
——先週の最後の(3歳以上1勝クラス3着の)オルトルートはいかがだったでしょうか。
この馬は馬場が悪いとイマイチなイメージがあったんですけど……。返し馬で乗った感じでは悪い雰囲気は良かったので、あまりそういう先入観は持たずに行きました。前半は急がせればもう一つ前のポジションを取れたんですけど、あまりここで慌てさせてエネルギーを使うのも、と思い、そのまま行きましたけど、最後はシッカリ脚を使ってくれているので、良い形では競馬が出来たかなと思いますけどね。良馬場だったら、あそこでポジションを取りに行っても良いのかなと思ったんですけどね。
——1~2着馬は前のレースでも強いレースをしていて、相手が強そうだ大変そうだなという感じはしていました。
——先週の新潟は気温的には湿度は高かったようなのですけど、いかがでしたか。
やっぱり苦しい感じでしたね。暑いというよりも酸素が薄いというか……。僕はまだ雨より晴れの方が好きなので、雨が降ってジメッとするよりは。
——この夏の新潟というのは、馬もそうですけど、人の顔ぶれもなかなか変わった内容だったと思いますけど、それに関してはどうですか。
ジョッキールームなんかでは普段いない若い子たちもいたりだとか、夏以外でもあまり会わないジョッキーが自然と普通にいるというのが何か新鮮な感じでしたけどね。
——ジョッキー同士でそれがレースに影響する部分というのはあったりしますか。関西勢が混じったりすると、ちょっと違うとかそういったことはありますか。
いや、特にそういう面ではないと思いますけどね。ただ、関西馬に(ボコボコ)勝たれているというのが目立ってしまっているというのはありますかね。
——この3週間、ご自身としては振り返っていただくとどうですか。
結果が出ていないので、情けないなという感じですね。どこまで盛り返せるか分からないですけど、1週1週、1レース1レース、結果を求めて、丁寧に乗っていきたいという気持ちですかね。
——そういうことを感じられるということは一時のケガの感じを気にするよりも、そういった方に向いて行けるというところはある訳ですか。
まあ、でも、もうケガのことは言っていられない時期だと思うので、結果が全てのことですからね。
——次週以降の予定で伺うと、復帰後、初めてとなる北海道での騎乗となりそうですね。
はい、札幌2歳S(G3)に乗せていただく予定です。
——そして、本来は今週からお客さんを入れての競馬だということで、一言コメントを伺っていましたが、残念ながら、結局は無観客になってしまいました。
来られる予定だったファンの方も待ち遠しかったと思うんですけど、こういう状況なので、我慢していただきたいというところですかね。僕らも楽しみではあったんですけど、最善の策かと思いますけどね。
——当面の観戦は画面越しということになりそうですが、また来週もよろしくお願いします。
お願いします。
※次回は8月21日(金)に更新予定です!
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。