'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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オールカマーで今季重賞V3!中山最終週は期待の2歳馬と連勝目指す
2020/10/2(金)
先週のオールカマーは復帰後、初めてとなるG2勝利となった戸崎騎手。今年の重賞では6月の騎乗以降、3勝・2着2回とコンスタントに実績を残しているが、この秋も大舞台での騎乗機会が増えそう。引き続き好結果を期待したいところ。今回は騎乗馬の展望・回顧、その他の話題も踏まえ、タップリと語ってもらった。
センテリュオと初コンビで一発回答 早くも今年の重賞3勝目!
——先週はオールカマー(G2)で重賞制覇。センテリュオとは初コンビとなったわけですが、レースは少頭数ということはあったものの、前半がかなりのスロー。最後はゴール寸前での差し切りという結果でした。振り返っていただけますか。
枠も良かったですし、いい位置で競馬はしたいと思っていましたが、無理をして出していくこともないと思ったのであの位置からに。リズム良く運べましたし、折り合いにも問題なく、乗り易さを感じました。想像していた以上にスローでしたが、良く考えればそれだけ周りも動いてくるだろうという考えはありましたし、結果、展開が向きましたね。
——先週に限らずですが、特に日曜は上がりが掛かるというか、差しも決まる馬場状態。普段の秋の開催といえば、パワー寄りという感覚もありますが、今秋の中山の芝についてはどう感じましたか。
僕としては凄く良いと思います。競馬に乗っていても、位置が後ろになってしまったら、それでダメということはなく、組み立てが面白いですよね。ちょっと力が要る馬場ですね。内外の差はそこまでないと思っていますが、差しが決まることは事実だと思います。
——センテリュオは年齢的にもG1に挑戦できる機会は限られてくると思います。次戦はエリザベス女王杯(G1)ということで今年は阪神芝2200mでの施行。既に走った経験はあるようですが、コース適性はどうでしょうか。
いいんじゃないでしょうか。どちらかと言えば上がりが掛かった方が良さそうですし、最後の脚もしっかりしている。競馬も組み立てやすいタイプだと思いますよ。
——今週末の騎乗馬については、時系列順に伺っていければと思います。まず土曜の新馬コートリーアスペンは追い切りに乗られたそうですね。
コートリーアスペンは2週前の追い切りに乗せていただきましたが、いいフットワークをしていて、雰囲気の良さも感じました。
——勝浦特別のマイネルアルケミーは中山開幕週に騎乗して2着でした。
前走もいい形で競馬はできたのですが、内にささるところがありました。もう少し上手に走ってくれれば、このクラスでもやれそうですね。
——日曜1Rのリアルドキュメントは連闘、2Rのラインプリンスも同じ2歳未勝利で継続騎乗ですね。
リアルドキュメントは返し馬からいい感触はありました。競馬の形は良かったと思いますし、スピードで押し切ろうという考え。ただ、勝ち馬が強かったですね。体的にはまだゆとりがある雰囲気だったので一度使った上積みはありそう。連闘自体がどう出るかは未知数ですが、使った方が上向きそうです。ラインプリンスの前走は道中でムキになったり、ハミに乗ってくるような走り。距離自体はいいので、そこに気をつけて乗りたいです。
——サフラン賞のタウゼントシェーンは福島で新馬勝ちした馬ですね。
2戦目を楽しみにしていました。前走も悪い馬場をこなしてくれましたし、もう少し体は大きくなってほしい気もしますが、いいフットワークをしています。
——話題は少し戻りますが、今年は早くも重賞3勝となりました。ここまで今年は重賞で(3-2-2-8)の成績。昨年の6~9月の重賞が(1-1-2-11)だったことを思うと、好走率の高さも目立ちますね。
いや~それだけいい馬に乗せていただいているからですね。ただ、流れは悪くないと思いますし、逃さぬよう結果を出していきたいです。
メイサウザンアワーは期待通りの勝ちっぷり
——先週のレース回顧もお願いします。新馬のジジは追い切りにも乗られていましたが、人気以上の結果で4着。札幌に続く騎乗となったテンウォークライは先行決着となりましたが、今の馬場も向いたんじゃないでしょうか。
ジジは初めて追い切りに乗せていただいた時はいい感触だったのが、直前はもう一つ。レースに行ったら状態を持ち直してくれましたね。テンウォークライは今の中山の馬場が合いましたね。ただ、東京だとキレ負けしそうですし、ダートでも楽しみです。
——レトロフィット、レッドアネラは何度も騎乗している馬ですが、今回はどうでしたか。
レトロフィットはどうも体のバランスがいい雰囲気ではなかったです。レッドアネラはこの馬のスタイルはとれたのですが、競馬を覚えてしまっているのか、惰性で走ってしまっている雰囲気がありますね。
——九十九里特別のカンバラは3歳牝馬の昇級初戦で中山の2500m、楽な条件ではないように思いましたが、どうでしたか。
僕としてはやれると思っていました。ただ、前走みたいな形でいければよかったのですが、最初のコーナーで外に張る面があり、それを修正したところ馬が怒ってしまいましたね。その後は終始ムキになってしまいましたし、先頭に立てばハミが抜けるかと思ったのですが、力みがありました。前回は気持ち良く走れましたし、道中はフラフラするところも。そういうところでハミをイジるとまだムキになっちゃうので全体的にロスが大きかったです。力通りなら通用すると思うのですが。
——カンナSのニシノアジャストは馬場が堪えましたか。
馬場が緩くてノメってしまい、脚の溜まるところがなかったです。未勝利ではいい脚で勝っていたので力は足りると思っていましたが…。
——ラッシュアップは惜しい着差とはいえ、一連よりも可能性の感じる内容でした。
勝ち負けにこだわり過ぎず、今回は位置よりも馬のリズムを重視。多少ムキになるところは残っていたものの、こういう形で競馬ができれば徐々に良くなるでしょうね。
——メイサウザンアワーは福島よりも強さを感じる内容でしたね。
新馬の時から期待していましたし、期待通り。馬ももう一際パンとしてくれた感じでした。
——今週水曜の日本テレビ盃はデルマルーヴルと久々のコンビ。ペースは速くなりそうな気はしていましたが、それにしてもかなり速い流れ。ここ最近は交流重賞での好走が目立っていましたが、どうでしたか。
ジャパンダートダービー以来に乗せていただきましたが、馬はしっかりしていましたね。流れは忙しく感じました。1800mも久々、馬場も軽いし、ペースも速い。それでもリズム良く走ってくれはしましたが、結果、一連とは流れが違ったところが影響しましたね。直線では勝ち馬にセーフティーリードをとられてしまったのも痛かったです。
——交流重賞に乗るのは久々のことかと思います。もう大井競馬場でも交流競走に乗られていますが、感慨深さはありましたか?
さすがに大井で一度、乗せていただいたので新鮮とまでは思いませんでした。ただ、佐藤賢二先生も川島正行先生もいなくなった船橋競馬場と思うと、凄く寂しさを感じましたね。競馬場はドンドン綺麗になったりしているようですが、まだ先生方には長く活躍してほしかったです。
——交流重賞といえば、次週は東京盃でジャスティンに騎乗されます。代打という立場ではあったと思いますが、大井で交流重賞に乗るのも一年ぶりですね。
船橋に(坂井)瑠星が来ていたので、どんな馬か話は聞いたのですが、元気のいい馬だそうですね。気をつけつつ、いいメンバーも集まっているので結果を出せるよう乗りたいですね。
リハビリ期間の賜物 過去最高のビルドアップに成功
——ここからは余談となりますが、ここ最近、同世代のスポーツ選手の引退などもありましたが、プロ野球でいえば『松坂世代』の戸崎騎手、気になるスポーツニュースなどはありましたか?
野球も見るには見ますが、松坂世代は松坂さんしか知らなくて…。同じ世代という親近感はあっても、自分は周りが高校生の頃は地方競馬教養センターにいたり、騎手デビューをしたりでテレビを見てもあまり頭に入ってこなかったんです。教養センターでは、基本的には夕方の自由時間にちょっと観られるくらいでしたからね。土日は自由でしたけどね。騎手になってからはテレビも観ていたんでしょうけど、全然覚えていないですよね。厩舎作業にも毎日出ていましたからね。
——その年でプロとして出なきゃいけないとなったら、普通だったらなかなかそういう余裕はないでしょうからね。
がむしゃらでしたからね。
——以前もちょっと伺いましたけど、トレーニングとか、ここ最近は体のコンディションはいかがですか。
体つきはすごく良くなっていますね。筋量も、体重も増えてきていて、52キロで乗る時は気を付けなきゃなと思うぐらいになっているので、今までになく体重には気を付けていますね。気にしていますね。
——筋肉量は今までで一番の量ですか?
ある方ですね。今までは52でも普段から全然気にせず、当日も別に気にしなかったですけどね。今まではレースの日でも、朝ご飯を普通に食べてという感じでしたけど、今は気を付けていますね。前も言いましたけど、僕は汗取りもしたことがないので。汗取りも不安はあるので、だったら普段から気を付けておいた方が良いなという感じですね。その辺はちょっと変わってきた感じですね。
——最近はシルエットがちょっと変わった感じがしますからね。
ああ、そうですか?
——僕だけしか思っていないかもしれないですけど、僕は逆にデカくなったというより、シャープになった感じに見えましたけどね。
人に良く見せるためにやっている訳ではないので、色々な見方があると思うのですが、僕自身はやっぱり乗っている感触も良くなってきていますし、良い方向というか、前進しているなというのはありますね。
——最先端といいますか、違ったトレーニングをされているイメージがあるのですが、筋肉量も測ったりされるのですか。
いや、測っていないです。ただ、体重が増えるのも、今までは体脂肪率も結構あった方なのですが、今はもう体脂肪率が7%にいくことはないですね。前は12~3%ありましたから、本当に筋量が増えている感じですね。
——でも、単純に5%を下げるだけでもすごいですし、その高い領域で5下げるというのはなかなか簡単ではないと思いますからね。
休みがあったから出来たというのもあると思いますけどね。
——ちなみに、今も飲むには飲んでいらっしゃる訳ですよね。
はい(笑)。
——そこはしょうがないところだと思いますけど、飲んでも全然そんなにならないというのはすごいですよね。ちなみに今はどれぐらい飲まれるのですか。
基本的に変わっていないですね。ワインだったら1本くらいとか。
——健在ですね(笑)。体質面の充実振りというのも、ここへ来てというのもすごいですよね。年代が変わっても、伸びる余地があるというのは。
乗れれば、やっぱり長くは乗りたいですからね。筋力だけで乗れる訳じゃないけど、やって悪いことではないと思うので、やれることはやって、現役中はやりたいなと思いますね。最近サッカーの内田(篤人)さんが引退したじゃないですか。あの人の引退後のインタビューがあって「もう夜中にポテチを食べられる」というあのコメントを聞いた時に、やっぱりストイックにやっているんだな、わかるなと思いましたね。僕なんか(食べる気が)起こらないですからね。やっぱり幸せに感じるものは、そこは僕も一緒だなと思いましたね。
——ジョッキーは比較的、選手寿命というのは長いと思います。体調面はこれからも毎週、毎週、いいコンディションに持って行きつつという感じですかね。
ただ、体だけベストでも、やっぱり結果を残さなきゃダメな世界なので。何しても、何をやろうが結果を出せば、それは自分の色々なスタイルがあると思うので、僕はどれが正解だとは全然思わないですからね、
——もし今現役を休めるとしたら、何か食べたいという制限のない生活をしたいとすれば、どういったことになりますか。
ペヤング。ペヤングは僕の中でいつでも食べられる感じなんですよね。お腹が一杯でも、ちょっとペヤングが食べたいなみたいなすごい食べ物だなと思いますね。あの最近ある超大盛とかをね(笑)。
——ハハハ。もう10月になりますけど、そういう目標は立てられていないと思いますけど、一つでも多く勝ちたいのか、大きい所を狙っていきたいのかとか、そういった感覚としては、どういったスタンスですか。
最初に出るのは一つでも勝ちたいということですね。どちらかと言ったら、ちょっとでも多く勝ちたいというのがありますね。そこは今後も変わらないと思いますね。
——ちなみに、遠征の予定もけっこう入ったんじゃないでしょうか。
南部杯のインティとデイリー杯2歳Sのショックアクションは行かせてもらうことになりました。
——昨年以上に重賞の話題も増えそうな秋ですが、次週の毎日王冠(G2)はサトノインプレッサに騎乗されるということで、また来週もよろしくお願いします。
お願いします!
ありがとうございます!
※次回は10月9日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。