'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
菊花賞・サトノフラッグ&富士S・サトノアーサーで連日の重賞騎乗!
2020/10/23(金)
無敗の3冠馬誕生に注目が集まる今年の菊花賞だが、戸崎騎手はサトノフラッグとのコンビで参戦することになった。前哨戦は2着に終わってしまったが、大本番での逆転したいもの。奇しくも土曜の富士ステークスも同じオーナーのサトノアーサーとのコンビでもあり、先週東京の勢いでサトノ軍団を勝利に導きたいところだ。
コンビ継続に感謝 サトノフラッグで菊花賞へ
——今週は菊花賞(G1)ですね。ジョッキーは過去に4度、騎乗経験のあるレースですが、今年はサトノフラッグとのコンビで挑まれますね。
まず、自分としては怪我から復帰してG1に乗せてもらえること、この馬で挑めることを関係者に感謝して臨みたいと思います。
レース自体は前走のセントライト記念がイメージ通りに運べたのですが、勝負どころでは内側にササるようなところがあったので、休み明けの分もあったと思います。追い切りに乗せていただいたところ、スイッチが入ったといいますか、一つギアが上がりそうな雰囲気、一段階上がった感じですからね。
——関西圏でのレースが初めてだったり、もちろん距離も未経験だったりしますね。
初物尽くしという点は否めませんし、未知数ではありますけど、距離やコースも問題ないんじゃないでしょうか。脚の使いどころを考えて、しっかり組み立てていきたいですね。
——菊花賞といえば、従来ならばスタンド前の折り合いが課題だったり、京都といえば、平坦・平坦と言われるものの、下り坂の巧拙が課題になりますね。
スタンド前のレース運びも今年はお客さんが少ない分、歓声も小さいので心配はないかと思います。下り坂に関しては、どちらかといえば、低い走法なので気になる面はありますけど、自分のバランスで走れている馬。体が起きて走れる方が合っているとはいえ、大丈夫じゃないでしょうか。
——今回は5枠10番に決定しました。雨が続いたにせよ例年の秋の京都より外差しに映りますが、枠順はどうでしょうか。
もう少し内の方が組み立て易いのは本音。ギリギリってところでしょうかね。外差しは目立っていましたが、流石に3000mともなると、ある程度内で回りたいですよね。
——競馬場の大規模改修により、京都での菊花賞は2023年まで離れることになりそうですね。
来年から競馬場が替わるレースが多く、どうなるか未知な面がありますね。菊花賞自体はあまり乗ったことがなく、思い入れが深いわけではありませんが、長距離戦は騎手の腕が問われるもの。なかなか乗る機会はないですし、そういった面での楽しみはあります。
——土曜は東京での騎乗。1Rのエンテレケイア、新馬のアウトオブザブルーとどうでしょうか。
エンテレケイアは前走も期待していましたが、追走が厳しかったですね。ダートに替わることで変わってきてほしいです。アウトオブザブルーはトビがゆったりとしていて広いコースは良さそう。線の細いところはありますが、いい雰囲気がありますね。
——富士ステークス(G3)にはサトノアーサーが予定。程度はわかりませんが、金曜が雨予報で今回も多少馬場はしぶりそうですね。
前走もいい勝ち方をしてくれましたし、能力を出し切れるよう頑張りたいですね。上がりが掛かってくれるようなら今回も楽しみですね。
先週は復帰後最多タイとなる土日4勝!
——先週の東京は土日にわたり、またしても雨の影響が残る馬場でしたね。クロノメーターで勝利された辺りは内側から乾いていたのかなと感じました。
そうですね。日曜の後半は内が有利でしたね。土曜は雨で外差しという感覚でしたが。クロノメーターは馬場が悪くても実績がありましたし、能力も通用すると思っていたので自信を持って乗りました。反応も良く、いい勝ち方でしたね。
——オクトーバーSのインビジブルレイズは特殊な形の流れになってしまいましたね。
外を回り過ぎてしまいましたし、その後のレース同様、前が残る展開になってしまいましたね。
——クインズヴィヴィはここまでの実績を思えば通用しそうに思いましたがどうでしょうか。
初めて乗せていただいたのですが、返し馬からテンションが高かったですね。スタートは良かったのですが、前に行くと良くなさそうでしたし、下げたところリズムも悪く、最後も伸びきれませんでした。馬は良いものがありそうですし、普通なら通用しそうなものですが、先生に聞いても「返し馬からテンションが高かった」とのこと。休み明けや初の輸送競馬が影響したのかなと思います。
——ラッシュアップは距離が厳しかったですか。
やってみたかった距離だったですし、楽しみにしていたのですが、まだ気持ちも子どもっぽいところがあったり、難しかったり、集中力が切れてしまうようです。ダラダラ走るだけで最後は飽きてしまっているようでした。
デルマクリスタルは前走でスムーズさを欠きましたし、負けられないレースだと思っていました。ミエノムガールは展開もハマったとも言えますが、芝の走り自体は良かったんです。
——白秋ステークスのビッククインバイオは枠が厳しかったですが、あの流れを思えばよく粘ったと思います。
頑張ってくれましたね。凄く具合が良く、馬の元気も良かったですね。外枠もあり、先手を主張しましたが、リラックスして走らせてあげられなかったです。同じ意味でいえば、エリスライトも我慢をきかせられず、僕では折り合いをつけられなかったですね。
——プラタナス賞のゴールドレガシーは通った場所や馬場を考えれば惜しい結果でしたね。
前走よりレースは上手くなってくれましたけど、まだ反応が鈍かったり、改善の余地がありそうです。ただ、あんな馬場でも走ってくれましたし、能力は感じます。
——そして、アパパネの娘・アカイトリノムスメで勝利されましたね。
やっぱり血統ですかね。まだまだ追い切りでも動き切れない感じがありましたが、レースを覚えてくれて、最後は良い脚。今後も成長してくれると思います。
——騎乗はありませんでしたが、デアリングタクトが制した秋華賞はどう感じられましたか。
僕はジョッキールームの奥の方でみていましたが、(松山弘平騎手は)素晴らしい騎乗でしたね。プレッシャーもあったでしょうし、その中での快挙。カッコいいと思いましたね。肝の据わった騎乗でしたし、ここのところ成績も挙げていますし、さらなる自信になるでしょうね。
——次開催からはより多くのお客様を入れての開催が発表されましたが、有観客での開催2週目はどう感じられましたか。
まだまだ少ない中ではあいますが、段々増えていってほしいですね。声も出せないのかとは思いますが、来ていただいた方が力にはなりますね。
——そして、次週は天皇賞・秋(G1)でダノンキングリー、アルテミスS(G3)でタウゼントシェーン、その翌週はJBCと騎乗がありますね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
※次回は10月30日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。