'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月18日時点1558勝
オールカマー勝者センテリュオとエリザベス女王杯へ!
2020/11/13(金)
今週から阪神開催での秋のG1が始まるが、エリザベス女王杯ではセンテリュオとのコンビで挑むことに。初コンビとなったオールカマーではマクリが決まり、牡馬を退けての重賞初制覇。その勢いで重賞連勝・G1初制覇となるか。先週は2勝で勝利数もベスト20傑入り、レース回顧と併せてご覧いただきたい。
センテリュオは牡馬を退けた脚でG1初制覇へ
——今週は木曜に栗東トレセンにも赴かれたそうですが、日曜が阪神、土曜が東京での騎乗になりますね。まず、エリザベス女王杯(G1)にはセンテリュオと挑まれることになりましたね。オールカマーを制して、昨年に続く出走となります。
前哨戦で重賞初勝利を挙げての挑戦ですし、勢いはあり、比較はつきませんが、力を付けての挑戦じゃないでしょうか。去年とコースは違いますが、4着という結果でしたし、前回を乗った上ではコースも京都でやるよりどちらかと言えば良いんじゃないかと感じるところです。
——去年はスローで先行しての競馬。今年はどうなりそうでしょうか。
前進気勢があって自分から競馬を作れるタイプではないので、基本的には後方からになりそうだなと思います。それだけにペースは上がってほしいですよね。先週の阪神をみていると、馬場が速い時計が出るのは気がかりですが、枠もどちらかといえば、内だと尚良いです。
——週末の予報を見ると、今週は晴れそうで良馬場が見込めそう。過去の成績をみると、良馬場のほうが走れそうですね。
ただ、時計が出すぎるとどうかという懸念もあるので、時計の掛かる良馬場が一番合うかもしれませんね。メンバーを見ると、枠の並びが出揃わないことには展開もなんとも言えないところですが、枠順確定前でいえば先行有利の流れになりそう。ただ、枠次第でその辺りもかわってくるのでね。G1に限らずですが、色々と条件や展開は噛み合ってほしいところはありますが、上位争いをできる力はあると思うので期待しています!
——土曜の東京では2歳未勝利のフーラリは新潟で乗られて、新馬のタイムトゥヘヴン、ホウオウマルゴーと追い切りにも乗られたそうですね。
フーラリはマイルもこなせると思いますし、スタートが上手ではないので内回りの新潟1400mから東京に替わるのは良いと思います。タイムトゥヘヴンは雰囲気のある馬でポテンシャルは高そう。どんな走りをしてくれるか楽しみです。ホウオウマルゴーはまだ上がり目がありそうな態勢だと思いますが、背中の良いところはありますね。
理想通りのレース運びでラストドラフトは距離を克服
——先週の競馬では、アルゼンチン共和国杯(G2)のラストドラフトは2着でしたね。戦前は馬の気を損なわないように、ということでしたが、理想通りのレース運びだったでしょうか。
負けてしまったのは悔しいところですが、レース自体はリズム良く運べました。枠は内で乗りやすかったですし、引っ張ったりすると嫌気をさしたりしそうなタイプに思えただけに、流れ的にも緩急がついたりすることもなく、淡々と流れてくれたことも合ったと思います。最後の直線は内側がかなり荒れているだけに、そこを避けて通れましたね。
——マッスルビーチは良馬場と左回りのワンターン、条件は合ったように思えました。
とても乗りやすくてスムーズにはいけました。最後は伸びているんですけど、どうもジリっぽいですね。距離を詰めたほうが切れ味は活きるかもしれません。
——ヴィルヘルムはペースが流れたほうがいいタイプかなと思いましたが、スローでしたね。
ただ、ペースを作れる位置にはいたので、ペース云々と言えた立場ではないのですが、それよりもムキになって走っているのが気になりますね。折り合いを欠いているのではなく、もう少しリラックスして走ってほしいです。
——デルマクリスタルは昇級して即1番人気は驚きました。
昇級したにしても、ペースが速かったですし、昇級とペースの違いが余計にこたえましたね。脚を溜めて伸びるという感じがなかったです。このクラスなら中山の方がペースは流れて、そこで脚を溜めておいて、終いを活かす形が合いそうです。
——フェアリーリングの時計は目立ちませんが、勝ちっぷりは目立ちましたね。
フットワークが良くて新馬ながらに大人びたレースぶり。強い内容でしたし、距離ももう少しあって良さそうです。
——オーバーディリバーは落馬寸前の出遅れとアクシデント。よく2着まできましたね。
スタートして落ちたと思いましたね。隣の馬にぶつかって、バランスを崩してしまったのですが、なんとか馬が起きてくれて直せましたけど、鐙も外れました。道中はリズム良く活かせることだけに注意して、最後は良い脚を作ってくれましたし、普段はこんなことはないのでちゃんと走れれば力は上位だと思います。
——少し薄手でフットワークもトビがゆったりしていますが、芝ではどうですか。
う~ん、確かに走れないこともないかもしれませんね。
——京王杯2歳S(G2)のレガトゥスはどうだったでしょうか。
フットワークは長いところで気持ちが短いところというタイプですね。心身が噛み合ってくれればいいのですが、競馬の慣れも必要そうです。短いところで競馬を教えていけるようならいいんじゃないでしょうか。お姉さん(スカイグルーヴ)と似た雰囲気は感じました。
——2歳新馬のスーパービーム、レモンポップとどうでしょう。特にレモンポップは時計も速かったですね。
スーパービームはいいところはありそうですが、もう少し距離があって良さそうです。レモンポップは追い切りからいい感じでしたが、強い競馬でした。距離が延びるとどうかですが、現状は選択肢を広げるためにもこなしてほしいですね。
——残念ながら失格となってしまいましたが、ソーヴァリアントのレースぶり自体はどうでしたか。
一度使って気持ちも入ってレースはしやすかったですね。届かなさそうな位置から届いてくれて、力を感じさせる内容でした。
次週はマイルCSでヴァンドギャルドに騎乗!
——次週のマイルチャンピオンシップ(G1)はヴァンドギャルドに騎乗とのこと。木曜はその追い切りに向かわれましたね。
やっぱり重賞を勝つだけあって良いモノを感じましたよ。ただ、調教では大人しくて問題ないそうですが、レースに行くとテンションの課題が出てくるらしいんですよね。そこが上手くいってほしいです。
——この秋もG1は続きます。騎乗予定もあるようですが、G1に対して期するものはありますか?
正直どのレースでも勝ちたいですし、それはG1でも変わらないのですが、一つ勝つことの重みは前とは違いますね。前は一つ勝てば、すぐ次という気持ちでしたけど、今は冷静にいられますし、ありがたさもより感じますからね。それが結果を残す上で良いのかどうかはさておき、焦りがあった以前とは違った心境で挑めていると思います。年を重ねたからなのかということもあるのかもしれないすけどね。一つ勝つことの難しさも凄く、ひしひしと感じでいます。
——どのレースにも全力投球とはいえ、G1ともなれば、より楽しみも増えてくると思いますが、そんな際、日頃もレースのイメージはされると思います。生活の中で騎手であることを意識したりすることはありますか。
あ~ありますね。自転車なんかには乗ったりしないので車を乗る時はまずそうですし、たとえば階段に登る時もつま先立ちだったり。
——このところ1日二桁の騎乗数も増えてきて、不慣れなところもあるんじゃないですか。
やっぱり休養する前と比べると、まだ疲れが残るイメージですね。そこは数乗ることを何度もこなしていかないといけないかと思います。
——以前は数多く乗るのが当たり前でしたし、復帰に向けて体を作っても、数乗るには乗っていかないといけないわけですね。そういえば、大谷翔平選手もグルテンフリーを始めたなんて記事を目にしました。
それは知らなかったです。ここ最近、(大井の笹川)翼も始めたそうで「調子がいい」と言っていましたし、一般の方にも勧めたそうで、評判が良かったそうですよ。ただ、やるには奥さんが食事を作ったり、一緒にやってくれる人がいないと大変ですよね。大谷選手も僕らとは食べる量も違うでしょうし、続けられるのが凄いですね。
——今でもやっていて不自由はありますか?
いやいやありますよ!美味しいものは大体(グルテンが)入ってるじゃないですか。ラーメンやパン、揚げ物もそうですよね。自分は体に良いと思っているからやっているだけで本当なら食べたいものを食べたいですよ。とはいえ、減量している人の方がもっと大変だと思いますが……。
——最後に、先日から競馬場の来場者数も制限が一部緩和されましたね。変化はありますか?
いや、まだ増えてはいるものの、皆さん静かにしているのであまり馬には影響がないですね。声を上げずにジッとみたり、カメラを使う人は写真を撮る程度ですし、不思議な感覚もありますけど。
——次週は3日間開催になりますが、東スポ杯ではタイトルホルダーに騎乗とのこと。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
※次回は11月20日(金)に更新予定です
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。