'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
砂の大物候補と出会い&チャンピオンズCはチュウワウィザードと再コンビ
2020/12/4(金)
東京最終週は5勝の固め打ちとなった戸崎騎手。中でも2歳ダートの特別戦であるカトレアSのレモンポップは来年、将来も嘱望される勝ちタイムとなった。そして、今週は古馬ダートの頂点を極める争いチャンピオンズCにチュウワウィザードと挑むことに。約2年ぶりの騎乗となるが、好メンバーとなった一戦で一矢を報いたいところだ。
圧巻の勝ちタイム レモンポップが2連勝
――先週は結果こそ芳しいものではありませんでしたが、ジャパンC(G1)のミッキースワローはどうでしたか。
3冠馬が3頭という素晴らしいメンバーの中で騎乗できることを嬉しく思いながらレースに臨めました。結果は出せなかったのですが、良いレースを皆で提供できたという思いはありますし、無敗の3冠馬に引退レースのアーモンドアイと非常にレベルの高い走りでしたね。ミッキースワロー自身はやっぱりどちらかといえば中山の方が良さそうな印象は受けましたが、頑張ってくれたと思います。
――そして、カトレアSのレモンポップは1分36秒4という衝撃的な勝ちタイム。レース中は風も強かったように感じますが、新馬戦に続いての2戦目という未知数な部分もあった中で驚きの走りでした。
強かったですね。先々も楽しみです。距離の不安がありましたが、一度使ったことで悪い方に変わってくることもなく、レースも上手。馬群でも競馬はできましたが、ああいう形になってほしいなという思いでしたね。
――では、ダートでは決して歓迎材料とはいえない最内枠でしたが、むしろ歓迎していたわけですね。
そうなんですよね。レースの器用さは感じていたので先を考慮すると馬群やモマれる形を経験したかったです。距離は現状マイルくらいまででの印象で何とか長いところをこなしてほしいですが、将来性は高いと思いますし、楽しみですね。
――未来のダートの大物になりそうですが、今週はチャンピオンズC(G1)。チュウワウィザードとは久々のコンビになりますね。
1週前追い切りに乗せてもらいましたが、雰囲気は良かったですし、馬の状態も随分良さそうです。2年前に乗せていただいた際とは非常に違い、凄く成長をしましたし、パワーもつきましたね。精神的にも大人びた印象です。当時は精神面が気になっていたので、あとはレースでもしっかり走ってくれるといいですね。
――枠は11番となりましたね。これまで4着が1度のみという安定ぶりですが、起用なイメージがあります。
先行力もありますし、どこの枠でもやれそうですし、あとは上手くレースを組み立てられればというところ。少しモタつきそうなところはありますが、どんな競馬でも対応できそうなタイプなので上手く導けられればと思います。
――今週から中山開催が開幕。土曜中山はタイムトゥヘヴン、ナックイルシーブと2歳未勝利馬の前走に騎乗されましたね。
タイムトゥヘヴンは前回踏み遅れるところはあったので今回は気をつけたいところ。能力的にはやれていいと思いますし、結果を求めたいですね。ナックイルシーブはワンペースなところがあるのでダート替わりは合うんじゃないと思います。
――レイハリアは追い切りに乗られましたね。
非常に素軽い走りをする馬ですが、ちょっと硬さがあるところは気になりますね。ただ、追い切りでは動けますし、実戦でも動けそうですよ。
――葉牡丹賞のアドマイヤハレー、北総ステークスのエクリリストワールも引き続きの騎乗ですね。
アドマイヤハレーは前回が新馬からガラリ一変という内容。同じ中山ですし、今回も楽しみです。エクリリストワールはこのクラスでもやれる存在ですが、久々の分がどう出るか、ですね。
――ステイヤーズS(G2)のシルヴァンシャーはオープン入りを決めた際に騎乗されていましたが、ジワジワという脚でしたね。
そんなタイプですね。脚の使いどころ、使い方には注意したいですが、距離が延びること自体は対応できると思います。
――最終レースのフジマサリアルは追い切りに乗られたそうですね。
大きな馬ですが、いい雰囲気があって、連勝しているのもうなずけるものでした。レースも上手なタイプなんじゃないでしょうか。
東京最終週は1週5勝の固め打ち!
――先週の競馬では土曜が4勝で土日5勝。1日4勝も、土日5勝も昨年の10月以来でしたね。
まずは良い馬に乗せてもらえたことが一番なのですが、結果には率直に喜びたいといいますか、嬉しいですね。
――バジオウはコース替わりで変わってくるんじゃないかと思いました。
左回りは良かったですし、レースを使うごとに少しずつ良くなっています。まだ自分で上手くバランスをとれないので最後も手前を頻繁に替えていましたね。競馬の幅は狭いのですが、後続を離していましたし、課題が残る中でこういう勝ち方ができたことは良かったです。
――スマイルフェアリー、タイセイスラッガーと惜敗の新馬戦はどうでしたか。
スマイルフェアリーはクセがなく、いい走りをしてくれました。切れるというよりは長く脚を使いそうなタイプ。今後、中山になるのは良くなりそうです。タイセイスラッガーはまだ性格、気性、体と若さの残る現状。良くなってくれば楽しみがありそうです。
――コトブキテティスは少頭数でこれといったペースメーカーもおらず、展開が読み辛い中でのレースだったのではないでしょうか。
僕が未勝利を勝たせていただいた際にいい感触がありましたし、やれると思って挑みました。東京はどうかと思っていましたが、上にいっても走ってきそうですね。
――ピースワンパラディは青葉賞以来の騎乗でしたね。当時とは距離も違いましたし、風も強い中でいい立ち回りをみせていました。
ペースは忙しく感じましたが、最後の脚は良かったですし、今後も楽しみになる内容だったんじゃないでしょうか。追走がちょっと苦しかったのは硬い馬場の影響もありそうでしたし、まだ集中しきれていない中での結果ですからね。
――フィルムフェストは惜しい内容でした。
久々に乗せていただきましたが、パワーアップもしていましたね。最後は内からやられてしまいましたが、いい走りだったと思います。
――フェアリーリングは新馬戦が楽な勝ち方でしたが、そこからの変わり身はどうでしたか。
一度使ったこと、間隔も短い分で決していい方向には向いていなかったと思います。テンションも上がってしまい、体の緩さもあったと思います。もう少しゆったりとした間隔で使っていれば、こんなことはなかったんじゃないかと感じました。
――オーバーディリバーは前回が大きな出遅れ。今度は完勝でしたね。
今回はスムーズでしたね。追走も楽でしたし、上にいっても走ってきそうですよ。
――今週は園田の兵庫ジュニアグランプリでもルーチェドーロに騎乗されましたね。
思っていた以上に追走が苦しかったです。最後もその分、脚が溜まっているのかと思いきや、伸びもなく…。少し体が立派だった分かもしれませんね。
――最後に、敢えてこのタイミングで聞かせていただきますと、特にダート戦のコーナーで外を回る時は何頭目くらいまではOKだと感じますか。
難しいですね。その時のレースのペースとかにもよるのでね。でも、基本的には3頭目がギリギリというイメージですけどね。
――コースにもよるとは思うんですけど、外を回って特に厳しいコースはどこでしょうか。
う~ん…中京辺りはきついかもしれないですね。コーナーの角度もあるし、外目が競輪のようにバンクになっていましたよね。バンクだと外を回っては不利ということはないんでしょうけどね。でも、中京は厳しい印象がありますよ。南関東だったら結局、船橋や川崎になるのかな。
――それとここ最近の東京のダートでも度々見受けられましたが、極度に馬場が乾いていると前が残るというパターンが多いと思います。
結局、乾いている時は力がある馬じゃないと前に行けないんですよ。乾いている馬場はやっぱり力が要るので、道中追走できたとしても、結局エネルギーを消耗しているので、本当のパワーがないと直線で伸び切れないんですよね。
――単純に脚力の差が出ちゃうという感じですね。それを感じられたのは、南関東の頃からそういう感覚だった感じですか。
いや、それはJRAの方が顕著に出るかな。 競馬が面白くないから、僕はあまり好きじゃないですね。もっと寒くなる冬場だと不凍液を撒くから、変わるんですよね。それはまた違ってくるので。
――それは前も言ったと思うんですけど、やっぱりファンの人は乾いていると差しが効くと勘違いしている人が多分多いと思います。
それは逆ですね。
――G1レベルではまた当てはまり辛いところはあると思いますが、参考になりました。また次週もよろしくお願いします!
ありがとうございます。
※次回は12月11日(金)に更新予定です
※当コーナーは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点に基づき、電話で取材を行っております
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。