'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
3月13日の復帰へ向けて 自主隔離期間中の近況報告
2021/3/5(金)
先日、サウジアラビア遠征から帰国。現在は帰国翌日の2月23日から3月9日まで自宅にて自主隔離期間に入っている戸崎騎手だが、復帰は順調なら13日の中山競馬からとなる。元気なのに攻め馬にも乗らないことは初めてという騎手人生でも過去にない近況を届けてくれた。
——先週は帰国したばかりのタイミングでのお話でしたが、この1週間は怪我をしたわけでもないのにレースを傍観する立場だったと思います。この間の過ごし方はいかがでしたか。
有意義には過ごせていると思います。トレーニングも重い物を持つわけじゃないですけど、上半身と下半身に分けて1日置きにやったりしていますね。元気なのに攻め馬にも乗らないことは今まで経験がありませんが、こうして体を動かしていても在宅ではやれることも限られるので、期間明けのタイミングではさすがに多少のブランクを感じることになるでしょうね。そこは来週の水曜からそうしたトレーニングも意識していこうと思います。
——食生活などは通常通りになったと思いますが、その差は感じますか?
さすがに1週間くらい、グルテンフリーができなかったことでは影響はなかったので大差はないですね。要は根本的な体質も改善できているのでしょうし。今はコロナの問題がつきまといますが、ここ最近も風邪にすらなるようなこともなく、元気ですよ。
——とはいえ、トレーニングだけでは一日は終わらないと思います。可能な範囲内で語れるような時間の過ごし方はどうですか。
一応、英語ですかね。毎回海外に行く度に英語ができたらとは感じさせられます。今は勉強しているわけではありませんが、少しでも慣れたら良いなということで今まで吹き替えで観ていた映画を字幕で観たり。英語の競馬用語も目にしたりはしています。以前に海外へ行った時も同じように感じましたが、今回の方がもう少し覚えたいという意欲はありますね。香港やイギリスにいった時は耳に入ってくる感覚はあったんです。それが今回はサッパリでしたからね…(笑)。
——一時は英語を習われていましたよね。
ただ、トレーニングとかなら、仕事としてやらなくちゃいけないという意識はあるのですが、英語はどうしても根本的な興味がそこまでないのがね…。日本に帰ったら耳にする機会がないですから。まあ、今回は良いきっかけになればと思います。
——英語といえばサウジアラビアでは坂井瑠星騎手と行動することもあったと思います。長期海外遠征していただけあって、頼りにされましたか?
いやあ非常に頼りましたね。本当に上手いかどうかは英語自体がわからないので未知数ですが、流暢でしたよ。
——瑠星騎手は大井の坂井英光調教師・元騎手のご子息ということで、古くから面識はあったのですか?
いや、さすがになかったかな。騎手になる頃からだったと思います。ただ、彼は秀光さんと比較して、「僕の方が勝つから昔は嫌いだった」と言っていましたよ(笑)。
——子供心にお父さんのライバル関係でみていたわけですね。それにしても、同世代にしのぎを削っていたジョッキーの息子さんと海外遠征するとはなかなかレアな体験かと思います。もう40代を迎え、ベテランといっていい層ですね。そして、ここ最近は3年目の菅原明良騎手にアドバイスを求められると聞きました。
そうなんですよね。よく聞きにきてくれていますし、僕も意識して観るようにしています。実際、僕を手本にする若手って、JRAにきてからは初めてだと思います。正直自分でも上手いとは思っていないですし、皆、上手いと思う人に聞きにいくでしょうからね。だからまだまだですし、こうして聞きにきてくれることは嬉しくもあり、自分としても新たな発見があります。
——毎度の謙遜が激しいですが、菅原騎手、出世が目立つ3年目のジョッキーの中でも活躍していますね。
凄く腰が低いなと思います。乗り方は若くしてあれだけ乗れるのですから達者。あと、本人も「慌ててしまう」と言っていたのですが、そこは経験を積んで慣れていくしかないといった話はしたりしていますね。
——ここ2週のレースでいえば、前回乗っていた馬が6勝もしていましたね。乗り続けていればと思うと惜しいところですが、我慢の日々ですね。
いやいや、競馬はそんな簡単じゃないです。それだけ勝たれているということはまだまだです。
——数頭取り上げさせていただくと、ラペルーズは中山に続く連勝。中山での時計を考えると、上位人気になるのもうなずけましたが、当時のお話ではそこまで評価されていないのかなと感じました。
いや、凄く良いモノは感じたのですが、気性的に難しさがあるのかなと思いましたね。安定してレースができるようなら走っておかしくないですね。ただ、あのヒヤシンスSはタケルペガサスが(自らが乗っていた)レモンポップと接戦していたのでタケルペガサスに頑張ってほしいところでしたね。
——クリノプレミアムは強風の影響もあったかもしれませんが、ダート替わりで2連勝でしたね。
少し硬さのある捌きなのでダート適性はあるんじゃないかと思いましたね。
——中山記念のウインイクシードは金杯とは異なるペース。馬場や相手関係もあったと思いますが、よく粘り込みましたね。
今回と前回で全然違う流れだったので僕も驚きましたね。ただ、乗り味は良い馬ですが、これが2000mでこのペースだったら厳しかったかもしれませんね。ただ、しぶとい馬なので今後もチャンスがありそうですね。
——そして、今週もお休みになりますが、今年はここまで15勝という成績についてはどう感じられますか。
結果全体としては何ともわからないですが、重賞という点でいえば、勝負強さも出てきたのかなと自分でも感じます。もちろんミスも沢山ありますし、事細かにいえば一つ一つのレースで反省は多々あります。
重賞については良い結果なのかなと。怪我してずいぶんと変わったこともありますし、今後もどういうパフォーマンスができるか、またこれからは楽しみはあります。怪我しないと気づかないこともあったのでね。良かったとは言いづらいですけど、遠回りながらも感じつつ乗れているかなと思います。
——まだ2ヶ月終わったばかり。今後もその奮闘を伺えればと思います。次週はレースの話題も入ってきますし、引き続きよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
※次回は3月12日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
ここで競馬ラボからのお知らせです。久しぶりに戸崎圭太騎手への質問を募集します。質問のある方は件名に「週刊!戸崎圭太質問係」と明記の上、以下のアドレスにメールをお送りください。
keita_tosaki@keibalab.jp
質問内容は複数でも問題ありません。今回の締め切りは3月11日(木曜日)までとします。メールをいただいた方から抽選で3名様にプレゼント(内容は未定)もあります。当選者は発送を以てかえさせていただきますが、該当の方にはこちらからメールを差し上げます。沢山の質問、お待ちしております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。