'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
天皇賞・春は2年振りのコンビ カレンブーケドールと1着目指す!
2021/4/30(金)
今週から安田記念までG1レースが続くが、天皇賞(春)にはカレンブーケドールとのコンビで挑むことになった戸崎騎手。ご存知の通り、勝ち星からは遠ざかってはいるが、実績的には現役トップクラスであることは言わずもがな。未知の距離という壁こそあるものの、ジョッキーにとってもチャンスであることには違いないだろう。パートナーにとって3歳春以来の勝利を大一番で導くことができるだろうか。
最終追い切りで久々に騎乗「枠もイイところ」
——今週はまず天皇賞・春(G1)の話題から伺いたいと思いますが、カレンブーケドールには今週の最終追い切りに騎乗されましたね。
2年ぶりに乗せてもらいました。併せ馬でしたが、厩舎からは併走馬についていく形で最後に伸ばしてほしいと言われていました。仕上がりは問題ないと思いますし、気性的に気になるようなところも感じませんでしたよ。体も以前よりスッキリとして、馬の弾みもあって良い成長を遂げていると感じました。
——既に枠順も発表されましたね。
良いところを引けましたね。やっぱり長丁場ですし、内枠の方が競馬は組み立てやすいと思います。長距離戦だけに道中はリラックスさせて走らせたいですし、最後はしっかり脚を使ってくれるイメージがありますからね。
——今年は阪神競馬場での天皇賞・春になります。ほとんどの騎手が経験していないコースですね。気になるところはありますか。
カレンブーケドールにとって京都でやるより、阪神の方が良いんじゃないかと僕は思います。コースについてはそこまで気になるところはないと言いますか、日本の競馬場ですし、勝手知るところではありますからね。例えば障害戦のように障害の箇所が違ったり、左右を回ったり、高低差が激しければ気にした方が良いのかもしれませんが。
——今年、海外で初めての競馬場を経験されました。昔行ったアスコット競馬場や特殊なハッピーバレー競馬場と比べれば、クセは少ないですね。
そう思います。ただ、天気だけは気になりますね。道悪でも走っているとはいえ、牝馬ですし、あまり経験のない斤量を背負って相当な道悪になるよりは綺麗な馬場の方が良いんじゃないかと思っています。
——実績上位の存在ではありますね。
勝ち味に遅いのは事実でしょうが、良いチャンスをいただいたと思うので、1着がほしいですね。
——土曜東京からは青葉賞が抽選で除外は残念でしたが、2Rのヴィクトリアノートは追い切りに騎乗されたそうですね。
初出走ですが、パワータイプというイメージですね。力はあると思うので、まずはどんな走りをしてくれるか楽しみにしています。
——6Rのトリストラム、7Rのフラワリングナイト、12Rのナイスプリンセスは以前も騎乗されていますね。
トリストラムは実戦に行っていいタイプだと思います。東京に替わってどんな競馬をしてくれるか、ですね。フラワリングナイトは能力を秘めていますが、前向きさが強すぎるところ。今回は初ダートでおそらく砂を被るような競馬になるはずです。そこで砂を被ることで上手く前進気勢が緩和されればと思います。ナイスプリンセスは多少展開に左右される面は否めませんが、自分のリズムで運べば脚は使える馬です。
——日曜阪神では6Rのヤンヤノカッサイ、端午Sのルーチェドーロも騎乗されましたね。
ヤンヤノカッサイは前々で競馬ができればしぶといですからね。あとは展開が向いてくれれば。ルーチェドーロは条件的には合うと思います。勝ち味に遅い面はありますが、多少展開の助けは欲しいですね。
ひと叩きした状態でもう一度見直したいスノークォーツ
——先週は久々の東京開催。開幕週の重賞、フローラS(G2)のスノークォーツは残念な結果になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
まず結果論となってしまいますが、休み明けの分が堪えましたね。仕上がりではなく、馬の元気が良過ぎて、ガス抜きができていればというテンションでした。それと、先週の馬場も合わなかったですし、体ももうひと絞りスッキリできた方が良いのかも知れません。
入れ込みというほどの気性ではなかったにせよ、一度使った状態での走りをもう一度、観てみたいと感じました。追い切りの段階から良い感触はありましたし、今回の走りが実力ではないと思います。
——先週の馬場は時計が速いのは毎年の事とは言え、以前なら「クッションが利いているけど、時計が速い」と評されることもあったと思います。それとは違いますか。
違いますね。路盤の硬さを感じる状態でした。
——こうした硬い馬場はどんなタイプが合うと思いますか。
やっぱり速い脚を持っていないと厳しいですね。柔らかい走りができるタイプなら良いと思いますが、それを見て判断するのは簡単ではないですよね。ただ、フットワークが硬いからといって背中の使い方次第でこなせるタイプもいますから、一概には言えないものです。
——今年の状態とは違うかもしれませんが、2年前の東京芝ではステイゴールドやオルフェーヴル産駒が走ったりしていましたね。あとは高速馬場といえばディープインパクト産駒でしょうか。
ディープは良いでしょうね。ステイゴールドなんかが走るのも母系の組み合わせもあるのでしょうが。だからこそ、一頭一頭、異なる難しさがあります。
——クロフネ産駒のアエロリットなんかも高速馬場が得意でしたね。
あの馬もダートを走れそうなタイプでしたが、実際やってみないとわからないところ。それでも高速決着には強かったですね。やっぱり芯の強さもあったのでしょうし、気持ちもあって、背中が使えるからああいう走りができたのかもしれません。
——少し話題は逸れましたが、先週のその他のレースではダノンヴェロシティは初めてのダートでしたね。
序盤はパラパラと砂を被る程度でしたが、急に砂を嫌がり出しましたね。ダートも決して良くはないと思いますし、少し幅は出てきていますが、非力さも残るのでもう少し体幹がしっかりしてほしいです。
——アイオライトは少々ペースが速いことを承知の上だったでしょうが、オープン特別でも通用できる走りでしたね。
元気の良い馬で走る気持ちも強いですね。前が流れていましたが、我慢するよりもついて行こうという判断。こういうレースを作った中で、速い流れの中でも頑張ってくれました。モマれ弱さがあるようで1400mだと相手次第だったりするようなのですが、条件が噛み合えば1400mでも良さそうだし、自分の形ならしぶといですね。
——ショウナンアオゾラは内枠がアダでしたね。
行くスペースがなかったです。ハンデ戦でもあり、こういう競馬になることも頭にはあったのですが……捌けませんでした。良い素質は持っているので、このクラスも通用すると思います。
——ホテルカリホルニアは未勝利時代のような走りでしたね。
そうなんですよね、JRAではどうも同じような負け方になってしまいますね。走ってくれてはいますが、今後は色々考えたいところ。展開に左右されるかもしれませんが、次はまた考えて、勝ちを目指して乗りたいです。
——トロンアゲインは未勝利戦とはいえ、想像以上にペースは遅かったものの、この距離でも対応しましたね。
乗り易いタイプですね。この距離も問題なかったですよ。
——今年の天皇賞はカレンブーケドールをはじめ牝馬の挑戦が話題。ここ最近は牝馬の活躍が目立ちますが、戸崎騎手にとって牝馬の強さ、いま何故強いのか感じるところはありますか。
いや~どちらかといえば僕は地方時代から強い牝馬に乗せていただいたことが多いので、牝馬だからといってマイナスには感じないんです。条件馬なら違ったりは感じますけどね。ただ、牝馬は気持ちの強さがありますよね。勝負根性がありますから。
——先日の香港ではラヴズオンリーユーが勝利。2年前のオークス上位3頭のうち、2頭は古馬になってからG1を勝ったことになります。カレンブーケドールも続きたいところですね。次週のNHKマイルC(G1)ではヴェイルネビュラに騎乗とのことで、またよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は5月7日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。