'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
待望のG1勝ちはまた秋にリベンジ ラジオNIKKEI賞はスペシャルドラマと再コンビ
2021/7/2(金)
この1週間はカレンブーケドール、チュウワウィザードと前走成績の良い馬で芝・ダートのG1に臨むも、いずれも馬券圏外に終わってしまった。久々のG1制覇はお預けとなったが、福島・新潟と続く夏競馬で着実に基盤を固めていきたいところだろう。今週の重賞・ラジオNIKKEI賞は過去に2勝の実績、今年も好相性を発揮できるか。開催替わりを機に心機一転、期待したい。
国内では久々に崩れたチュウワウィザードの敗因とは
——この1週間は水曜の帝王賞、日曜の宝塚記念(G1)とビッグレースが続きました。今回はまず、帝王賞のチュウワウィザードから振り返っていただけますか。
海外帰りでどんな競馬をしてくれるか、楽しみにしていましたが、残念な結果でしたね。追い切り映像をみても、実際に跨っても馬のデキは良かったのかと思います。スタートしてからもゲートも二の足も良く、スタンド前での位置取り自体は思うようにいけたと感じたほど。ただ、1~2コーナーから終始促していかないといけなかったり、3~4コーナーでも置かれるようなところがありました。最後は地力の差で盛り返してくれましたが、良い頃に比べると気持ちの乗りがひと息で、本来の走りではなかったですね。
——東京は雨が続いていたこともあり、脚抜きのいい馬場にもなりました。先週の時点でも懸念していたことですが、やはりひと叩きした方が良いのでしょうか。
やっぱりそれはありそうです。もともとそういう傾向もありましたからね。決してペースが速いわけではなく、行く馬が主張した分、バテているものであって、勝負どころの反応が良くないタイプとはいえ、道中の追走から物足りなかったですから。ただ、それ以外にも色々な理由が重なったこともあると思います。
——もともと反応が悪くなる傾向があるとはいえ、最後のコーナーはレース映像を見るだけではなぜ位置が下がったのかわかり辛い部分がありましたが、どんな流れだったんですか。
やっぱり手応えがなくなっているんですよね。そこで周りの手応えは良いので、競馬は普通であればそういった時に主張できないものです。周りから観たら、なぜ下げたと思われるかもしれませんが、手応えがないのに主張していたら事故にも繋がるのでどうしてもああいう形になりました。内からはマルシュロレーヌが主張して、外からはミューチャリーも来ていて、一度下げざるを得なかったですね。それに右回りはどうも走りが流れる印象もありますね。
——ありえない想定ですけど、日本のコースでいえば東京ダ2100mは走りやすそうですね。
イメージは湧きますね。
——一方、宝塚記念(G1)のカレンブーケドールはどうだったでしょうか。
レースに臨む以前、9R辺りから「枠がもっと内が良かったな」と感じていましたし、その通りの結果になってしまいました。ポジションを獲り辛い競馬でしたし、道中からはリズム良くいけたものの、枠の差が大きかったですね。
福島替わりはプラス 持続力を活かしたいスペシャルドラマ
——今週から福島開催。ラジオNIKKEI賞(G3)にはスペシャルドラマと挑まれます。
まず、ハンデには恵まれた印象ですね。乗せてもらったのは一度のみですが、東京より福島の方が合う印象ですね。
——見るからに大柄ですが、前走のプリンシパルSを観ても外を回りながらバテていない走り。長く脚を使うコースの方が合いそうですね。
トビもゆったりしているので不器用なところはありそうなので、あまりゴチャつかない形がいいですね。理想をいえばペースが流れてほしいです。
——昇級になりますが、カウンターエアはどうでしょうか。
中山よりも福島の方が合う印象がありますね。展開に左右される面は否めませんが、良い走りができればと思います。
——先週のその他のレース回顧では、花のみちSのオーロラテソーロは乗り替わりでの勝利になりました。
凄く乗りやすい馬でしたね。外を回りましたが、リズムを崩すことなく反応もしっかりしていて、1200mでも対応できると感じました。もともと同じレースに乗って観ていた印象もありましたし、レースまで新聞も見直したりして、どんなレースになるかはある程度イメージできましたが、良いタイミングで乗せていただきました。
——タイセイエクセルも先行押し切りという形でしたね。
少し進みが良くないとは聞いていたものの、再びブリンカーを試した効果もあってか、流れに乗れましたね。モマれる競馬になった場合の不安はまだありそうですが、良い内容でした。
——新馬で急遽騎乗となったローマンネイチャーはどうでしたか。例年、素質馬が集まるといわれる新馬戦で、最後は追い込んできました。
やっぱりアクシデントの影響か、馬が興奮した様子でした。ゲートの中でもあまり見ることのない仕草をしていました。乗り味は走ってきそうですし、スムーズに出られていられたらと思いますが。
——他馬に乗りかかられるという珍しいアクシデントだったようですね。
やっぱり2歳馬だけあって、常識で考え辛いことをしますからね。急遽、声を掛けてもらい、結果を出せなかったのは残念ですし、その現場にはいませんでしたが、改めて特に新馬戦は気を引き締めて臨まないといけないと感じさせられました。
——江の島Sのカントルはどうでしたか。
う~ん、馬場の影響ですかね。良いところが出せずに終わってしまいました。
——日野特別のレディバグは強い内容といいますか、好時計勝ち。世代の上位争いをしてきただけある内容でしたね。
レースセンスは良いですし、斤量も軽く感じたので良い勝負になると思っていました。実際乗ってみると、あまり凄みは感じないものの、最後の反応、伸びは素晴らしかったです。
——ペースは速めだったと思いますが、道中は多少促すようにも映りました。その上で今後の条件はどう感じますか。
手応えはペースの分もあったと思います。ただ、ワンターンがいいタイプだと思いましたね。距離が延びるよりもコーナー4つだとどうかな。やってみないと、というところはあります。
——新馬のアスクビクターモアは3着でした。
期待はしていたので結果を出せなかったのが残念です。思いの他、スタートも速く、行きっぷりも良かったですね。ペースも遅かったのもありますが、もう少し道中でリラックスして走らせてあげられたら良かったです。距離がダメだとは思いませんし、もっとやれていいはずですが。
——3週間になりますが、今週から福島開催ですね。
一時は地震の影響でやれるかどうかという心配もありましたね。無観客という点は仕方ないものの、やれることが何よりです。春の開催がなかったこともあり、おそらく良い馬場コンディションだと思いますし、熱いレースができればと思います。
——次週もよろしくお願いします。今週もありがとうございました。
ありがとうございました!
※次回は7月9日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。