'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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2週連続の函館遠征!エルムSでソリストサンダーに重賞初Vもたらす
2021/8/6(金)
マジックキャッスルとクイーンSに挑んだ先週の函館開催はゴール前で強襲に遭い2着。悔しい結果となったが、今週は土曜の新潟を終えると、エルムSに騎乗するため再び函館へ向かう。パートナーのソリストサンダーの前走も不利さえなければという惜しい内容だったが、陣営は違うとはいえ、先週のうっぷんを晴らす重賞勝利となるだろうか。今週は改めて期待だ。
函館コースで重賞初勝利へ!
——今週は新潟、函館での騎乗となりますね。珍しく調教を含め騎乗経験のある馬はエルムS(G3)のソリストサンダーのみですが、前走のかしわ記念では惜しい内容でした。
前走後からここを目標にすると聞いていて、楽しみにしていました。厩舎側から特に細かい指示があったわけでもなかったですし、2歳時とはいえ以前乗せていただいた印象からも走る気持ちがしっかりある印象でした。返し馬では数年ぶりだったのでさすがに成長も感じられましたし、体も立派になっていましたね。その段階ではどこまでやってくれるのかな、という印象でしたが、頑張ってくれましたね。
——かしわ記念の戦前はG1実績組が揃ったという印象はありました。ソリストサンダー自体は東京のオープンクラスを回避してスライドして向かいましたね。またがった感覚よりも走った方が良かったということですか。
実際にレースへ行ってみると思った以上に走ってくれたと思います。
——レースでは外枠からの発走で、向こう正面では不利がありましたね。最後の脚色をみると、あれがなければ……という内容にみえました。
そうですね。ああいう不利がありながらも気持ちを切らさずに走ってくれましたけどね。着差が着差だけに大きかったです。
——東京、船橋でコンビを組まれましたが、1700mコースで騎乗するのは初ですね。
競馬が上手な馬で条件は幅広く走れると思いますし、どんな競馬にも対応してくれると思います。2週連続で函館へ行くので結果がほしいですね。
直前の雨が影響したマジックキャッスル
——先週もクイーンS(G3)でマジックキャッスルに騎乗するため函館へ。惜しい2着でしたね。
残念といいますか、悔しい2着になりました。馬のデキは良さそうでしたね。もともとそんなにテンのスピードは速くないのですが、スタートからのスピードの乗りが良かったですし、二の脚もつきました。そこはデキの良さからかと思います。
——戦前の段階ではゴチャつくポジションにいるのでは、という懸念を口にされていましたが、むしろ理想的なポジションでしたね。
凄く運びやすい位置でしたね。あとはコーナーから直線に掛けての反応がひと息。そこは馬場の影響だったのかと思います。
——あくまでモニター越しですが、少し前は五稜郭タワーが背景に見えるような映像がレース時には相当な悪天候のように見えましたね。芝の塊が飛ぶのも目立ちました。
相当降ったと思います。以前、道悪も走っていますけど、直前に降るようなことはおそらくなかったと思うので、その分、堪えたのかなと思いました。近いポジションにドナアトラエンテがいましたけど、あの馬も中山牝馬ステークスで乗せていただいた際に道悪が堪えていましたし、あの馬が失速したことからも馬場の影響はあったと思います。
——位置取りやレース運びは上手くいったように見えました。あとは強いていえば1キロ重い斤量という条件もありましたね。
そうですね。そういった面を含めて手応えに影響したのかもしれません。ペースも遅くはなかったですが、前に行く馬もはっきりしていて丁度よく運べたと思いましたが。ただ、力は改めて証明できたので秋へ向けて改めて頑張ってほしいですね。
——函館で騎乗するのは2016年以来でしたね。
せっかくならば現地の食事も楽しみたかったところですが、こんな状況なので行きようがないですし、競馬以外の面での気分は上がらなかったですね。
——前日の新潟のエトワールジェンヌはダート適性を見込んだ通りの結果でしたね。初戦のペースやフットワークなどを見ると、条件が厳しいかと感じました。
忙しくなるかと思いましたが、ペースも向きましたし最後の脚も良かった。良い勝ち方でしたね。これから成長していってくれればと思いますし、距離は延びても対応できると思います。
——ジジは勝ったかと思いましたが……またも、ですね。
上手く運べて道中は随分上手くいってるなと思っていたくらいです。ただ、最後は甘さが出てしまいましたね。相手も走ってはいるのですが、直線では遊ぶような面もありました。
——新馬のソリスルクスはどうでしたか。
全体的にバランスがとれておらず、手応えは良くてもいざ追い出すと反応しきれていませんでした。精神面の幼さは出さなかっただけに体がしっかりしてきてほしいですね。
——ゴルトベルクは新潟にも対応しましたね。
相手は強かったですが、相変わらず元気が良くて、調子が良かったです。思っていたより後ろからのポジションになりましたが、良い脚をみせてくれましたし、内容は良かったと思います。平坦コースの方がいいイメージはありますが、走る気持ちがある馬でどんなコースでも対応してくれますね。
——引き続き東京オリンピックが続いていますが、チェックされたりしていますか。
馬術がメダルのチャンスもあるという活躍ぶりでしたし観ていました。惜しい結果でしたけど、近年にはなかった順位のようですごいことだと思います。他にはサッカーや野球ですね。
——厳しい暑さが続きますが、自身のコンディションはどうでしょうか。
いいですね。乗り鞍が昔より少ないのは事実ですが、コツコツやって増やしていければと思います。
——野球を仕事にしているわけじゃないので不確かな情報ですが、いま超話題のメジャーリーガーもグルテンフリーをやっているそうです。
それは知らなかったです。ジョコビッチの場合はアレルギーもあって始めたようですが、やっぱりやったら体調は良くなると僕は思いますよ。
——次週は関屋記念のサトノアーサーなどを予定されているそうですね。また来週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
※次回は8月13日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。