'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
新潟2歳Sはサイードと初コンビで連覇なるか
2021/8/27(金)
先週の新潟開催は土日にわたって18鞍の騎乗、結果3勝をマーク。中にはあの落馬事故以来、初めて松永幹夫厩舎の管理馬に騎乗もしていたが、無事に最善の結果を残すことができた。夏競馬も残り2週、今週は新潟2歳Sをはじめ、一発のチャンスがある騎乗馬も控えているが、ラストスパートとなるか。注目だ。
落馬で戦線離脱のキッカケ 松永幹夫厩舎の管理馬に久々の騎乗
——先週も今週も土日ともに新潟での騎乗。先週についてはまず、NST賞のノンライセンスで、JBCレディスクラシックでの落馬事故以来となる松永幹夫厩舎の管理馬に騎乗されましたね。
自分としては迷惑をかけてしまったという思いでした。その後、騎乗させていただくタイミングはありませんでしたが、何とか結果を出せればという思いでした。
——馬にとってはオープンで初勝利でしたね。
レース映像を観ているとセンスのいいタイプだと思っていました。ポジションを獲りに行き過ぎると甘くなるとは聞いていたので気をつけていましたが、ペースも速く流れは向いてくれましたね。最後もしっかり伸びてくれました。先生は新潟には来ていなかったのですが、勝つことができて良かったです。
——今回は気になる騎乗機会でしたが、また次があった際も結果を出したいところですね。今週は新潟2歳ステークス(G3)が行われますが、昨年はテン乗りのショックアクションで勝たれたレースです。今年もテン乗りでサイードとのコンビになりますね。
1200mの新馬を勝っての2戦目になりますが、客観的には凄く良い内容で勝ったと感じました。距離が延びても大丈夫とは陣営から聞いていますし、血統的にも活躍馬が多数のきょうだい。ベルカントは非常に活躍していましたが、イベリスは1200mよりも長い距離で走っていますからね。楽しみです。
——土曜最終レースのエレボアブランシュは東京でも騎乗しましたね。
少し我が強い印象を受けましたし、ゲートもうるさいところはありましたね。それでも、ここに入ってもチャンスのある存在だと思っています。
——日曜の3歳未勝利戦、ジジは惜しい競馬が続いています。
もうワンパンチというところなんですけどね。もう走れるチャンスも少ないですし、勝ちたいところ。責任感は感じます。
——2歳新馬のトウシンマカオやデアリングヒューズは追い切りに乗られましたね。
デアリングヒューズは追い切りでもまだ上手く走り切れていないところもあって、そこがどう出るか、ですね。トウシンマカオの動きは十分良かったですし、パワーもあって体のバランスも良かったです。あとは1200mを除外になって、1600mになるのがどうか、ですね。マイルの方が良いように僕は感じていますが。
——ナーシサステソーロはここ2戦、条件や相手関係も向きましたかね。
安定して走ってくれていますね。どちらかといえば馬場が湿ったり、内枠で立ち回れればと思います。
——五頭連峰特別のアラビアンナイト、朱鷺ステークスのビッククインバイオは何度も乗られていますね。
アラビアンナイトはもともと走る素質を感じていた通り、前走は勝ち上がってくれました。新潟コースは合いそうですし、昇級してもやってくれそうですね。ビッククインバイオは久しぶりですね。イメージとしては新潟も合いそうなので、どんな走りをしてくれるか、期待しています。
2歳、3歳の素質馬で勝ち星!
——先週のその他のレース回顧ですと、21日土曜のエヒトやイズンシーラブリーはどうでしたか?
エヒトは特殊な展開になりましたね。追走も忙しい感じがありましたし、最後も苦しくなりましたが、何とか伸びてきてくれていますが、コースが合わなかったのかもしれません。イズンシーラブリーは勝ち馬が強かったとはいえ、追い切りの雰囲気からすれば、もっと走れて良いと思うのですが……。
サンカルパの一戦目はゲートを出なかったり、道中も脚をとられたりしていましたが、使った効果があったのか、追走も楽でしたね。最後は楽に伸びてきてくれました。カーディナルは乗り味のいい馬で、折り合いに気をつけるよう言われていましたが、問題なかったです。強い内容でしたし、今後も楽しみな内容でしたね。
——サトノゼノビアは危惧されていた面もあったと思います。実際にレースで乗られてどうでしたか。
前半から追走も脚をとられている感じ。今回はいいところを出してくれなかったですね。
——阿賀野川特別のマカオンドールは初コンビでしたね。
レースを観ると全体的にゆったりとした印象でした。ただ、実戦では引っかかるわけではないのですが、前向きでしたね。最後は粘りを欠いてしまいましたし、今回だけでは適性が掴み辛かったです。スタートもポンと出て、ハナにいけそうなくらいでしたからね。イメージとの違いもありました。一度使ってからどんな走りをするのか、改めて観てみたい思いです。
——今週を含め、新潟開催も残り2週。昨年がどうだったか記憶があやふやなところもありますが、昨年と違って、夏場にマスクなどの感染症対策は大変じゃないでしょうか。
ジョッキーは基本、乗る時はマスクを外していますからね。室内だけですし、そこは何とか大丈夫です。新幹線では常にマスクをしていますけど、そこは気にならないですよ。むしろしないと心配ですから。
——そして、夏の甲子園は続いています。今年もテレビ観戦はされていますか。
相変わらず楽しんでいます。ただ、本当に時代は変わったなあと思います。僕が野球やっていた頃はバント、スクイズといった小技重視。自分が野球をやっていたチームも小技ばかりやっていたのでね。今は打撃、パワー重視になってきたように思いますね。地元(栃木)の作新学院も戦い方が変わったなと感じます。それに名門校の監督もいつの間にか、若い人がやるようになっていますもんね。継投も増えたなと思います。
——騎乗予定では次週の新潟記念(G3)はショウナンバルディ、秋華賞(G1)ではアカイトリノムスメに乗られるようですね。残りの夏競馬も一勝でも多く勝てるよう祈っています。
ありがとうございます。
※次回は9月3日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。