'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
先週は急遽の騎手変更 開催最終週は新潟記念のショウナンバルディなどに騎乗!
2021/9/3(金)
先週は胃腸炎で乗り替わりにも見舞われたが、好騎乗で不安を一蹴してほしい開催最終週。サマー2000シリーズ制覇の懸かるショウナンバルディなど17鞍を予定している。今週、美浦のジョッキーが新型コロナウイルスに感染が発覚したことも含め、語ってくれた。
先週土曜は胃腸炎でキャンセルも日曜に2勝
——まず今回は先週土曜の新潟競馬を急遽、騎手変更というアクシデントがありましたね。先日、話を伺った段階でも体調が大丈夫かなと思うところもあったのですが。
そうでしたか。大変お騒がせいたしました。実は胃腸炎ということで腹痛が収まらず、土曜の朝方に申し出ました。その後は整腸剤などを飲んでいて、調整ルームで静養したところ、日曜には臨めたのですが。
——専門知識はないので胃腸炎になる理由というとピンとこないところはありますが、人一倍、食生活などには気を遣われていて、コロナ禍ですので外食で暴飲暴食なんてこともないでしょうからね。原因として思い当たる節はあったのですか。
未だにわからないです。ただ、その前の週、今から2週前の競馬ですね。乗り鞍も多く気温も高くて、軽い熱中症なり脱水症状があったのかもしれません。それを引きずったまま過ごしてしまったのかなと思います。
——そう聞くと、体つきこそ筋肉質でも決して体質は強くないのかもしれないですね。もともと食生活を改善された理由も体質改善が目的でしたし。
弱いと思います。改めて自己管理はしっかりしないといけないと感じましたし、反省しています。コロナの危険も常にある時代ですから尚更です。
——今週ですが、新潟記念など土日ともに新潟での騎乗になりますね。土曜の3歳未勝利戦からズールウォリアー、レッドヴィエントなどはどうでしょうか。
ズールウォリアーは前回で初めて乗せていただいたところ、いい形で競馬はできましたし、内容には満足しているのですが、先着された2頭が強かったですね。レッドヴィエントは未勝利なら突破できる能力はあると思いますが、いかんせんこの時季に初出走という経験の浅さはあると思います。
——日曜の3歳未勝利戦ではフォクシーレディが予定しています。
堅実なのですが、もうワンパンチ足りないイメージはあります。先週の段階では芝の内側を開けることが増えていたとはいえ、馬によっては内を回っても我慢が利く馬場状態。もっと外差し傾向ならプラスになりそうですが。
——1勝クラスではニルアドミラリが昇級初戦を向かえます。
前走は体の使い方が良くなっていましたし、能力的には昇級しても通用していいもの。大柄な馬で暑い時季の方が太りづらいでしょうし、引き続き期待しています。
——両津湾特別のゴールドレガシー、雷光特別のアセンダントなどはどうでしょう。
ゴールドレガシーは以前、乗せていただいた際は荒削りなところが残っていましたからね。今は馬が良くなってきているのかなと思いますし、いい勝負を期待したいです。新潟でも勝っているわけですからね。アセンダントは夏競馬に何度か走っていた中で前走は一番状態が良かったです。前走の状態を維持できていればチャンスだと思います。
——新潟記念(G3)のショウナンバルディは初騎乗ですね。
イメージとしては堅実ですね。サマー2000シリーズも最後で勝てばチャンピオンという立場。そこも頭に入れつつ騎乗したいです。
美浦の2人のジョッキーが感染 他人事ではないコロナの脅威
——先週の競馬では新潟2歳S(G3)のサイードはどうでしたか。
相手も強かったですが、良くなるのはもっと先という印象を受けましたし、距離も長いと感じましたね。
ビッククインバイオは返し馬ではいい雰囲気を感じましたが、最後は苦しくなりましたね。自分の形で運べていたことからもプラス体重の影響はありそうでしたね。コースは合っていそうでしたが。
アラビアンナイトは先生とも話しましたが、長い輸送が堪えたようです。もともとテンションの上がりやすいところがあったとはいえ、全体的に引っかかっていましたし、消耗したブンが最後に影響してしまいました。本来の力を出し切れていないレースになりましたね。
——ナーシサステソーロは勝ったかという内容でしたね。
いつもと違い、最後にいい伸びがあったので勝てたと思いましたが、それ以上の馬がいましたね。ただ、堅実ですし、どこかでチャンスがありそうです。
——トウシンマカオは新馬勝ちを決めました。
追い切りも動けていて、期待通りですし、嬉しい内容でしたね。1200mを除外になって1600mでしたが、新馬なので距離のごまかしはきいたものの、行きっぷりの良さからはゆくゆくは距離が短い方がいいのかもしれません。
——ジジは何とか勝ち切りましたね。
本当に最後のチャンス。自厩舎の所属馬ですしホッとしています。体調は維持できていましたし、最後も我慢して我慢して追い出しました。
——今週は丸山元気騎手、その後の検査の結果で江田照男騎手が新型コロナウイルスへの感染が明らかになりました。お二人の無事を願うばかりですが、先日、体調を崩していることからも心配になりましたか。
なりましたね。コロナはすぐに発症するパターンだけではないと思いますし、もっと増えてもおかしくないというのが本音。ただ、これまでジョッキーたちから感染者が出ていなかったように、感染予防のため、色々取り組んできましたが、自分もそうですが、家族から感染するケースがありますから予断は許さないところですよね。
今までなら自分が気をつけていれば良かったところですが、今後は気をつけても家族からうつるのではなかなか対処しようがないですよね。
——まずは開催が無事にできることは何よりですが、夏競馬で長らく続いた移動も短くなりますし、次週から中山と中京開催。紫苑S(G3)はクリーンスイープ、京成杯オータムハンデキャップ(G3)はカテドラルに騎乗とのこと。引き続きよろしくお願いします。
ありがとうございます。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。