'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
天皇賞・秋はカレンブーケドールに騎乗 惜敗にピリオドを打てるか
2021/10/29(金)
秋の大一番・天皇賞(秋)。今年はカレンブーケドールとのコンビで挑むことになったが、上半期のG1では3着、4着と惜敗続き。ご存じの通り、3歳時から勝ち星には見放されてしまっている。牝馬ながら天皇賞(春)でも見せ場を作ったタフネスぶりを発揮して、今度こそ勝利となるか。枠順確定後の意気込みを届けたい。
上半期より状態は上向きのカレンブーケドール
——今週も土日ともに東京競馬場での騎乗となりますが、早速ですが、天皇賞・秋にはカレンブーケドールに騎乗されます。枠順は7枠14番と外になりましたが……。
外ですね……。なかなか競馬の組み立てとして限られる形にはなりましたね。あとは一度、(国枝)先生とも話したいと思いますが、理想をいえば、もっと内が良かったです。
——追い切り映像もチェックしましたが、春と比較して状態はどうでしょうか。
先生からは「併走馬が前で誘導するので、それに並び掛ける形で」と言われていました。先生も「春とは爪の状態が違う」と言っている通り、具合の良さを感じました。気持ちもゆとりがありますし、フットワークにも素軽さを感じました。爪云々という点はあまり僕にはわからなかったのですが、春よりも状態は良いと感じましたね。
——多少冬毛が出ているようにも見えましたね。
本来、出ているのは良いことではないと思います。ただ、追い切りの感触でいえば決して悪くはない。良かったですからね。あまり気にはならないところです。
——東京コースで乗られるのは久々になりますね。
どんなレースでも安定して走ってくれますし、どんなコースでも走ってくれるので気になりませんし、マイナスとも思いません。その点、ある意味、どこがベストなのかは未知数なのが弱みともいえるかもしれません。強いていえば上り勝負にならない方がいいとは思いますけどね。
——春の天皇賞でも見せ場を作りましたが、上位で好走した馬はその後も順当に活躍していますね。
枠は外になってしまいましたけど、その中で精いっぱい騎乗したいですね。
——土曜のアルテミスS(G3)では同じ国枝厩舎のロムネヤに騎乗されます。
新馬戦はいい勝ち方をしてくれましたね。昇級にはなりますが、素質を感じていた通りの走り。ここでもやれていいと思っています。
——新馬戦は止む無くハナに立つ形だったと思います。まだキャリア2戦目、今回は控える形にはなりそうでしょうか。
おそらくそうなると思います。ハナにこだわるわけではありませんし、左回りになる点も気になりません。追い切りの動きも良くみえましたし、どれだけ終いが伸びるか楽しみです。
——土曜の新馬、ルージュヴィーヴルはどうでしょうか。
前向きさもスピードもあって、初戦から動けそうだと思いました。1400mという条件も合っていますね。兄のエクリリストワールとはタイプも馬格も違いますが、前向きは似ていますね。
——伊勢佐木特別のダノンブレット、紅葉ステークスのオールイズウェルはどうでしょうか。
ダノンブレットはこの舞台でいい勝ち方をしてくれました。もうひと段階、気持ちが入ってくると理想ですが、昇級でもやれそうですね。オールイズウェルは凄く乗り易い印象を受けました。どんな形にも対応してくれそうです。
——日曜からアオイカツマや河口湖特別のバクシンは久々の騎乗ですね。
アオイカツマは堅実な印象ですね。バクシンも昇級でメドを立てているのでチャンスのある存在だと思います。
2週連続、金子真人オーナーの勝負服でメインレースを勝利
——先週のブラジルCではグレートタイムに騎乗、前回とは展開も違いましたが、久々の勝利になりましたね。
状態の良さを感じましたが、最後まで馬がこらえてくれましたね。3~4コーナーではズブさを見せるのですが、アクションを起こせばしっかり反応してくれますね。
——バジオウは春以来のレースでしたが、実質トップハンデで4着でしたね。
最初のコーナーで内の馬から外に張り出された分、外を回らされたのは痛かったですね。そこでもう少しリラックスできれば良かったのですが、最後まで頑張ってくれました。
——ブラックパンサーはJRAでは初めてのダートになりました。
理想の競馬はできました。直線も伸びてはいるのですが、一度使って上積みに期待したいですね。
——富士ステークスのサトノウィザードはスローの上り勝負でしたが、惜しい結果でしたね。
決め手を活かす形を採りたいと思っていました。イメージ通りのレースで最後は素晴らしい脚をみせてくれましたね。多少モタれる面はありますが、こういう競馬が合っていると思います。
——期待のゴールドレガシー、アスクビクターモアなどはどうでしょうか。
ゴールドレガシーは調子も良くなっていましたが、スタートをしてリラックスさせたいところで折り合いを欠いてしまったのが痛かったです。距離も現状ではちょっと長いのかもしれませんね。ただ、このクラスではすぐに巻き返せていいと思います。
アスクビクターモアは心配していましたが、テンションの高さが出てしまいましたね。壁は作っているけど、リラックスできていない分、最後の結果につながってしまいました。フットワークは短いところの馬ではありませんし、何とかなだめていければいいのですが。
——トップリーチはひと押しに欠けていましたが、久々に乗られて結果が出ましたね。
不器用ながら脚のある馬ですからね。展開も向いてくれましたけど、接戦を制したのは馬の地力だと思います。
——ザアトムは勝ち馬のレベルが高かったですが、いかがでしょうか。
まだ仕上げきっていない面もありましたからね。使ったことで変わってきそうです。
——そして、JBCクラシックではチュウワウィザードに騎乗されます。
骨折明けの秋初戦で状態面はわかりませんが、地力の高さは示していますからね。あとは小回りコースに対応してほしいです。
——次週の京王杯2歳Sにはトウシンマカオ、アルゼンチン共和国杯にはレクセランス、マイルCSのカテドラルなどの騎乗も続くと思いますが、今週は好結果を期待しています。
ありがとうございます。
※次回は11月5日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。