'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
マイルCSはカテドラルに再び騎乗!
2021/11/19(金)
2番人気に支持されたエリザベス女王杯は残念ながら結果を残すことができなかったが、今週も日曜は阪神へ遠征。マイルチャンピオンシップでは前走に続きカテドラルに騎乗する。また、先日の武蔵野Sはソリストサンダーで重賞を制するなど連日、ダートで活躍。今後に繋がる結果になりそうだ。
末脚が武器のカテドラル G1でも持ち味発揮なるか
——先週のエリザベス女王杯(G1)はアカイトリノムスメで連勝を狙ったものの7着でした。初めての古馬との対戦で、短い間隔で関西圏への遠征が続いたのも初でしたが、今年の3歳馬の勢いからすると、もう少し健闘できるかと思いました。
返し馬からしっかりした印象がありましたし、前走からの短い期間でも成長したと思いましたね。これならと期待を持って臨めましたね。レースは目標にする馬が前に行くタイプでしたし、イメージ通り。多少ペースは流れたのは事実ですが、最後は苦しくなってしまいましたね。結果的には中3週で目に見えない疲れみたいなところもあったのかなとは思います。
——精神的なモロさも懸念はされていましたが、関西への遠征続きで変化はありましたか。
前回と同じような感触でしたし、体には芯も入ったような雰囲気もあり、良かったんですけどね。
——秋華賞でも4コーナーの反応は決して良くなかったと思いますが、今回と比較して、直線に向かう過程での感触はどうでしたか。
いや、あの辺りでは良い感触でしたが、勝ち馬に来られてから全く抵抗できなかったですからね。
——人気の一角で臨んだレース。近い枠にレイパパレもいて必然的に流れに乗る競馬になるとは思っていました。
目に見えない疲れとも言いましたが、前半でついていった分、消耗した部分もあったかもしれませんね。
——時計も馬場の感触はどうでしたか。
内は荒れてきていますね。全く内がダメというわけではありませんが、外が伸びてきていると思います。
——今週のマイルチャンピオンシップのカテドラルは京成杯AH(G3)で重賞初勝利を挙げてのG1挑戦です。
いいメンバーが揃いましたね。この馬としては最後の脚がいいモノを持っているので、そこを発揮できる騎乗を心掛けたいです。
——馬場という点では、前走は極端に先行有利の馬場の中、上手く立ち回れていましたね。
決して雨馬場などで荒れた馬場が良いタイプとは思いませんが、前回と比較すれば、末脚を活かしやすい馬場にはなっていて条件は良くなるのかと思います。
——以前はしっかり脚を溜め切るような競馬じゃないとなかなか噛み合わない印象でした。前回はこの馬とすれば、流れに乗った競馬で上手く立ち回っていましたね。
ただ、内枠もありましたからね。自分から競馬を作れるまでのタイプではないとは思います。乗り難しさは感じませんでしたが、できれば内枠が欲しいところです。あとは流れが向いてほしいですね。
——土曜は東京で騎乗。未勝利のルージュリナージュ、新馬のジョンソンテソーロなどはどうでしょうか。
ルージュリナージュは前走も最後は良い脚でしたが、道中はまだモタついていましたし、一度使ったことが良い方向に向いてほしいです。ジョンソンテソーロは追い切りの時計的には動けていますし、前向きさもありますが、まだ走りに雑なところがあって落ち着きがほしいところ。レース当日、どんな走りになるか、未知数な面はありますね。
——秋色ステークスのオールイズウェルは継続騎乗、東京スポーツ杯2歳Sのトーセンヴァンノはテン乗りですね。
オールイズウェルは前回も惜しい競馬をしてくれました。どんな競馬にも対応してくれる器用なタイプです。
——日曜の姫路ステークスではピアシックに引き続き乗られます。
戦歴的には1200mで結果が出ていますが、1400mでも対応できるんじゃないかと思います。後ろからいくタイプですし、流れは向いてほしいところです。
4度目のコンビでソリストサンダーが重賞初勝利!
——先週の土曜は武蔵野S(G3)でソリストサンダーが初タイトルとなりました。
夏場は調子を落としていたようですが、前走の南部杯もデキを持ち直していたようですし、さらに良くなった感はありました。
——前進気勢の良さを考慮すると、外枠というのは懸念材料でしたね。
ペースが流れてくれた分、良かったですね。前に馬を置けました。結果的に内もゴチャついていましたし、外枠も良かったように思います。
——レース後には、「先頭に立つのが早かった」という声もありましたが、3着馬に一瞬やられたかなと思いました。
実際、早かったですね。あと自分としてもそういう競馬が好きじゃないので。ただ、最後は地力でしのいでくれました。
——奥多摩Sのヴィジュネルは流れ的にも言えることですが、あのポジションでの競馬は予想外でした。
僕も予想外でした。今回はスタートも、二の脚も良かったことが一番。馬が気持ちよく走ってくれましたし、調子も良かったんだと思います。
——個人的にはオキザリス賞のドライスタウトは気になる勝ち方でしたし、戦前からこの時期のダートの1勝クラスでもあり、粒ぞろいのメンバーだと思っていたので想像以上の勝ちっぷりでした。
前回は脚抜きの良い馬場でしたが、馬場が変わっても問題なかったですね。まだ緩さもありますし、前回、砂を被った経験が活きたのか、内枠でも問題ありませんでした。
——フットワークを見ると、ワンターンの1400mはかなりあっている条件に思いました。
そうですね。マイルよりは千四の方がよさそうですし、コーナーが増えるよりはワンターンは良いと思いました。
ガンダルフは距離を短縮しての追走で置かれる部分もありましたが、流れに対応してからはしっかり走って、最後も伸びてくれましたね。ボーデンは道中のリズムが大事だと思っていました。返し馬から落ち着いていましたし、追い出してから前も楽をしていたのか、もうひと伸び届きませんでした。道中の雰囲気は良かったと思いますよ。
——オープンの室町ステークスはデュアリストで勝利しました。
外枠だったので内の出方を見ながら運べましたね。道中もリズム良く運べましたし、馬としてはここ最近の結果から巻き返せてよかったと思います。
——この秋競馬、ダートのオープンクラスで非常に活躍が目立ちますね(5戦3勝)。
そうですか?いや、全く意識はないです。芝じゃダメなのか?って話になっちゃいますからね(笑)。
——次週は芝のビッグレースであるジャパンカップ(G1)。今年はワグネリアンに騎乗されることになりましたね。
来週はワグネリアンの追い切りに乗せていただく予定です。楽しみですね。
——そして、ライアンムーア、クリスチャンデムーロ騎手も期間は違うものの、短期免許を取得が決定していますね。特にムーアさんは以前から思い入れがあるように窺えますが。
といっても、ライアンも日本語を率先して覚えようとしているわけではないですし、話すとしても通訳さんを挟まないと喋れない。色々喋ってみたいことはありますが、思うように話をしているわけではないですけどね(笑)。ライアン自体、寡黙ですし。
——短期免許を取得するジョッキーも出てきたということは日本人ジョッキーにとっては乗り馬を奪われる心配もありますね。
それはもちろん。チャンスを奪われないようにしないといけないですね。
——余談ですけど、ここのところのコンディショニングはどうですか。
良いですよ。以前と違ってグルテンフリーも厳格にやっているわけではありませんし、それでも安定しています。
——時には小麦を使ったものも口にはされていると。
そうですね。たま~にパンなんかも無性に食べたくなるので、バターをつけて食パンを食べることもありますからね。
——次週はジャパンC、その次の週にはチャンピオンズCも控えていますが、また来週もよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
※次回は11月26日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。