'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
カペラS、全日本2歳優駿 ダートの素質馬に続々騎乗
2021/12/10(金)
連覇の懸かったチャンピオンズCは残念ながら2着に終わってしまったが、今週末から来週にかけてはジョッキー自身も素質を感じている存在とのコンビで重賞に挑む戸崎騎手。不思議とここのところ、ダートの素質馬との出会いが続くが、芝・ダート問わず、人気に見合う好結果はより期待したいものだ。
チュウワウィザードは2着で連覇の夢潰える
——先週はチュウワウィザードと連覇の懸かったチャンピオンズC(G1)に挑むも2着でした。勝ち馬が強かったですし、展開面も昨年と違いましたが、どう感じられましたか。
返し馬から一度使ったことによる素軽さが出ていると感じましたし、実際に状態は良かったですね。ゲート内は隣の馬がうるさかったのですが、そんなアクシデントにも堂々としていましたし、素晴らしい精神面だったと感じました。
スタートも決めてくれて、理想をいえばもう一つ前で競馬ができればというところでしたし、去年よりもペースが遅い中で促しながらだったのですが、あの位置から他の馬よりも脚色がよく、2着に来てくれました。勝ち馬が強かったですが、地力は示してくれましたね。
——ゲートのアクシデントはドバイワールドカップでも他馬が除外になるケースもありましたし、こうなってもクリアできるんじゃないかと思いました。
それは言えますね。ただ、今回もそこまでアクシデントが長引いたわけではありませんし、他の馬にどれだけ影響があったかは未知数でしたけど。
——そして、ダートとはいえ瞬時に動くようなタイプではなく、ペースはもう少し流れた方が良かったんじゃないでしょうか。
でも、あれ以上速いと追走も苦しいかなというところもありますからね。特徴として促しながら走るタイプなので。交流重賞だとそんなことはさほどないですけど。
——今回は勝ち馬も強かったですね。
あの時はチュウワウィザードもケガをしたことが判明しましたけど、帝王賞でもいい勝ち方をしていましたし、あれくらい走られてもおかしくないとは思っていましたね。ただ、それにしても強かったです。
——今後はどうなりそうでしょうか。
選出されるならサウジもあるのでしょうが、ドバイを目指すようですね。
年長馬にヒケのとらぬ素質を感じるデュアリスト
——今週は中山で騎乗。土曜のダノンマジック、グートアウスは追い切りに乗られたそうですね。
気持ちの面からも1200mの距離には対応できそうです。以前は馬場が重いと走れなかったそうですが、今週の重いチップでも走れていたので成長しているのだと思います。グートアウスは雰囲気のある馬ですが、使いつつのタイプかもしれません。
——ロンコーネは惜しい内容が続きます。
中山も対応できると思いますし、このクラスはクリアできると思うので。
——師走ステークスのアメリカンシードは印象だけになると思いますが、触れていただけますか。
注文はつくタイプだと思います。ただ、走った時の強さは証明していると思うので力を発揮させたいです。
アランデルは展開に左右されますし、自分で競馬を作るタイプではなく、そんな競馬をすると力を出し切れないと思うんです。だからハマり待ちにはなりますが、力的には対応できると思うので。(開幕2週目の芝は?)馬場は……もう少し荒れてきた方が対応はしやすいでしょうね。プエルタデルソルは以前乗せていただいた時に7歳ながらもフレッシュさを感じました。背中もいいモノがありましたね。
——シングフォーユーは久々のコンビです。
成績を見るとムラがあるものの、このクラスを勝っていいものはあるんですけどね。基本、乗り易いのですが、急かして乗らない方がいいタイプなので東京の方が成績は安定していますね。
——カペラS(G3)には3歳のデュアリストで挑まれます。
前走は着差以上に強い内容でした。色々と課題をクリアしないといけない面はありますが、力さえ出し切ってくれればここでも通用していいんじゃないかと思います。
——3歳馬でダートの上級条件に対応するのは簡単なことじゃないように感じますが、前回も個人の印象ではもっとペースが速くなりそうなところを楽な流れに乗れたようにも感じました。
上手く条件が向いたのは事実ですけど、でも素質は感じましたね。
——枠は外の方がいいですか。
でも、内枠にも慣れて勉強していかないといけないですね。長距離輸送にも慣れていってほしいです。
——距離適性はどうなっていきそうですか。
1200mでも対応できると思いますが、そこもクリアしていってほしいところ。あとは成長次第でどんな馬になっていくか楽しみです。今回次第で1400mになるのかもしれませんけどね。
全日本2歳優駿はドライスタウトで挑戦!
——先週の中京はヤウガウで3着でしたが、当時の勝ち馬は前走で手綱をとられていました。
能力はあるけど、気性が邪魔しているそうでした。実際、走っても反応があるというより、流れでなだれ込んでいるような内容。もう少し気持ちがしっかりすれば、通用するのですが。
——サンカルパは伸びそうに見えたものの、もうひと押しがなかったですね。
ハミに乗りかかるような走り。自分でバランスがとれていないですね。良くなるのはもう少し先でしょう。追い出してからアクションが大きい割にスピードが乗ってこないですから。
——ゼログラヴィティは連勝です。
期待もしていましたし、競馬もスムーズで上手でした。今後も楽しみです。
——クラスが上がった方が競馬はしやすいなんてコメントも時にあると思います。ゼログラヴィティにとっては3勝クラスではどうなりそうですか。
道中の乗り易さは良くなるんじゃないかと思います。そこでしっかり溜めが利くかどうかはやってみないとですが、素質的には通用してほしいですね。
——ステイヤーズS(G2)のマンオブスピリットは折り合いこそつくものの、もう少し伸びがほしかったですね。
う~ん、どうもメリハリの利かない走りでした。もう少し最後に動けていいと思いますが。
——ラストサムライは外枠になるのは良いと思いましたが、なかなか変わってこないですね。
こちらもメリハリのない内容。良い走りをしている頃はもう少し違った雰囲気だったんじゃないかと思います。
——レッドランメルトはどうだったでしょう。
外枠で出していかず、ポジションを取ることよりもリズムを重視しました。流れには乗れていたのですが、前の馬が下がってきそうになったところで早めに出していったものの、最後は反応できなかったですね。
——フリューゲルホルンでも勝たれました。
トビが大きくゆったりとしたタイプ。レースも上手で長く脚を使うタイプですね。
——次週の全日本2歳優駿(Jpn1)にはドライスタウトで臨まれます。
率直に楽しみです。最初は(補欠1番手で)入らないのかと思いましたが、出られて良かったです。クリアすべき課題はあると思いますが、こなしてほしいです。
——初めての距離、コーナー4つ、ナイター、地方のダートなど条件が変わります。
距離は理想なら1400mかと思いますが、小回りですからね。コーナー4つさえこなせればというところです。枠もよほど極端じゃなければ、能力でカバーしてほしいところです。
——全日本2歳優駿といえば南関東で縁のあるレースでしょうし、過去に何度も乗られて、勝ったことのあるレース。素質的に比較してどうでしょうか。
かなり良いものを持っているでしょうし、期待しています。あとは2歳同士で力関係も未知数だったりしますし、そこがどうかですね。
——ダートでは良い出会いが続く印象ですね。昨年、2歳戦線で圧倒的な走りをみせたレモンポップも今週の阪神で復帰します(クリスチャン・デムーロ騎手騎乗)。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は12月17日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。