'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
京成杯はロジハービンと連勝狙う
2022/1/14(金)
怒涛の変則日程が終わったところで、今週から3場での開催がスタートする。その3日競馬では着差的にも僅かという2着も多かった。惜敗分も今週で挽回となるだろうか。また京成杯では同条件を勝って挑むロジハービンとのコンビ。相手関係が上がる中で前走のような差し切りを期待したい。
京成杯は好相性ハービンジャー産駒に騎乗
——今週はどちらかといえば、これから乗る馬より、乗り終えた馬の話題が多めになると思いますが、まずは展望から伺えればと思います。土曜の未勝利からジョーカーブラウンは前走に続く騎乗です。
前走は数字通り、体に余裕がありましたね。季節的に絞るのは簡単ではないかもしれませんが、叩いて良くなりそうなイメージはありましたし、体調さえ整えば未勝利は通用すると思います。
——ジョッキー的には珍しいケースですが、クローリスノキセキは夏の北海道で乗られて以来の騎乗です。
当時は芝でしたし、過去の実績からもダートになるのは良さそうですね。
——菜の花賞のロムネヤはアルテミスSで凡走したものの、新馬勝ちの中山になります。
テンションだったり、精神面がおかしくなって力を出せていませんでした。新馬勝ちのレースぶりからも前走のような走りが力通りではないと思うので巻き返してほしいです。
——テン乗りですが、カーバンクルSのダノンチェイサーはどうでしょう。
早い段階から注目されていた存在。前走もキッカケを掴んだような走りでしたし、引き続き良い走りができればと思います。
——日曜のヴァプンアートはどうでしょう。
ダートが絶対合うかはどうかですが、ワンパンチ足りない面をダートで補えればいいですね。
——サンライズSのゼログラヴィティは2連勝中です。
前走は良い勝ち方をしてくれました。前回もペースは速かったのですが、周りが強くなった方がレースはしやすくなるイメージはありますね。ただ、そこで乗り易くなるだけじゃなくてしっかり脚が溜まるといいのですが、ここまで強い内容をみせてきたところで、今回が試金石になりそうです。
——京成杯(G3)はロジハービンで挑まれます。
追い切りに乗せていただいたところ、馬は順調に来ていると感じました。未勝利は鮮やかな勝ち方でしたし、あとはどこまでやれるか、ですね。
——新馬当時は調教時計こそ出ているものの、ようやく良くなってきたという段階に感じました。そこで2着になったとはいえ、前走はグリグリ人気になったのは多少驚きました。まだキャリアも浅い3歳ですが、精神面などの課題は感じられますか。
そういったところはないのですが、走りが右に傾くといいますか、内に刺さるようなところがありますね。
——だから前走も抜け出してからの持ち方がいつもと違ったということですね。
そういうことです。ただ、前走のように馬群の内でも我慢が利くようなところはセールスポイントですし、気性的な不安は今のところないということです。
——京成杯はハービンジャー産駒との相性もいいイメージですね。
この馬もこういった条件が合いそうに感じます。あとは相手関係にどこまで対応してくれるかです。
3日競馬は惜敗続くも2勝
——先週のレースではサザンエルフは新馬勝ちとなりました。
追い切り映像をみる分には良い印象を持って臨めました。実際、レースでも乗り易いし、頭の高いフットワークは気になりましたが、コーナーの手応えもよく突き抜けてくれました。
——キントリヒは惜しいといいますか、勝ったと思いました。
僕も勝ったと思いましたね。直線を向いた時の手応えからすると、思ったほど伸びきれていなくて、そこが課題ですね。もっと楽に突き抜けるかと思いました。印象としては距離が延びれば延びるほど良さそうです。
——黒竹賞は勝ち馬がズバ抜け過ぎていましたが、カズラポニアンはどうでしたか。
現状は小回り1700mの方が合っていそうです。走りに緩急がつかず、気持ちも強いので一定スピードで流れるような条件の方が持ち味は出そうです。とはいえ、今回もスローの割に頑張ってくれていましたけどね。
——グランデマーレはモタれるイメージがありましたが、どうでしたか。
モタれますね。返し馬からそうでした。その中でも対応してくれましたし、勝ちに等しい走りはしていると思います。相手が悪かったという内容でした。
——プレミアエンブレムは上位人気馬が突出しているレースに感じましたがどうでしょうか。
乗り易い馬でしたね。良い感触でしたが、もう少し力がついてくれればもっと良くなりそうです。
——新馬のレイヴンズコーは2着でした。
大型で緩さがありますね。レースは上手に走ってくれたので、あとは使った効果でしっかりしてくれれば、もうひと押しがありそうです。
——コングールテソーロは今回も中山でしたが、着順を落としてしまいました。
距離が忙しいですね。この馬のリズムでいければまた違うのでしょうが、内枠もあって思い切って勝負を懸けにいきましたが、結果、脚が溜まっていない感じ。やっぱり東京の方が合いそうです。
——メラーキは初ダートで一変しました。
ダートは合いますし、ハナに行けたのも良かったです。距離は長い方が合っていそうですし、昇級してもこんな条件で期待したいです。
——ジャカランダレーンは中山がどうかという走りに見えました……。
乗り易い馬ですね。テンションが高くなるところがあると聞いていた割には待機場所でも落ち着いて歩けていましたし、精神面は成長しているのかもしれません。コーナーでは左に流れるところがあって、中山の場合、コーナーがずっと続くような形状だけにずっとそのような状態でしたね。その分、最後の押し込みも欠いた走りでした。
——ラペルーズは先週聞いていた話からすると、こういうこともあるのかもしれませんが、それにしても厳しい結果でした。
返し馬では成長を感じましたが、勝負所から手応えが全くなくなってしまって……。レース以外の仕草に落ち着きは感じられただけにここまで気持ちの課題が出るとは思わなかったですね。
——マイネルメサイアも惜しいレースでした。
一度使ったことで素軽くなりました。とはいえまだモタモタするところもありました。距離はもっと延びても良さそうですが、どこかで勝つチャンスがあるとは思います。
——ブーケオブアイリスのレースは思ったよりもスローになりましたね。
落ち着きましたね。この馬も先ほどの馬と重なるところはありましたが、勢いで走らせた方が良いと思います。それだけに1000mダートの方が合うかもしれません。
——ウシュバテソーロのレースもスローでしたが、その中でも最後は伸びていましたね。
早めから動かしていきたかったのですが、壁になってしまい、動けないところがありました。ただ、しっかり脚は使っていましたし、成長していると感じました。
——フェアリーS(G3)のヴァンルーラーはどうでしたか。
体調は良かったと思います。総合的にいえばもう少し力をつけてほしいですね。
——先週の段階では内枠の方が良いとの事でしたが、外枠になってしまいましたね。
やっぱり内の方がいいですね。ロスなく行った方がいいですし、トリッキーなコースと言われるだけあって、中山マイルはセンスだけで走れるコースじゃないですから。先ほどのジャカランダレーンと似ていますが、外々を回りつつ、コーナーで脚をロスしているようなところはありました。
——精神面の課題はみられませんでしたか。
そこは大丈夫でしたね。あとは徐々に力をつけていければと思います。
——次週、TCK女王盃(Jpn3)ではブランクチェックに騎乗されます。
前走が良い勝ちっぷり。段々と距離やコーナー4つの競馬にも対応していきましたし、あれならオープンに入っても通用しそうですね。
——先週はフェアプレー賞の表彰式もあったそうですね。
う~ん、特別模範騎手賞をもらったことのある立場としては、これで満足できないのは本音です。少なくとも特別模範騎手賞は取らなくちゃいけないと思いましたね。
——今年こそは、というところですね。先週の3日間開催は比較的、気候も落ち着いていたように感じましたが、今年の寒さはどうでしたか。
確かに3日間開催は比較的、暖かったかもしれませんね。でも、5日は寒かった。というより風が強かった。風が強いとこの時期はしんどいですよ。とはいえ他の人に比べたらまだ寒さは気にならない方かもしれませんし、昔よりは寒さに弱くなりましたね(笑)。南関東なんかは大井も船橋も風が強いですから。川崎も寒いイメージかな。
——時季的には開催日の雪の怖さもありますが、次週は中山最終週。通算1200勝にも迫ってきました。また来週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は1月21日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。