'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
フェブラリーSはソリストサンダーと巻き返しへ
2022/2/18(金)
東京開催は今週で最終週。日曜には今年初のG1となるフェブラリーSが予定されており、競馬界もますます盛り上がりを増してくるところだが、今年は5戦続けて手綱を執っているソリストサンダーと挑むことになった。
前走では人気を集めながら力を発揮できなかったが、反撃となるか。また、土曜のダイヤモンドSにはヴェローチェオロに騎乗。先週はJRA通算1200勝を達成と話題は豊富。開催の節目となる今週も好結果で締めくくってほしいところだ。
●ソリストサンダーの走るポイントは
——今週はいよいよ今年初のG1となりますね。ソリストサンダーは昨年に続く出走となりますが、この一年で重賞を制すなど実績を重ねて挑むことになります。
期待をしていた前走で結果を出せませんでしたが、重賞を初めて勝ったコースに戻りますし、改めて仕切り直しといったところですね。テーマとしてはリズムよくいくことを大事にしたいですね。
——昨夏のエルムSは夏負けもあったのでしょうが、いい時との差が激しい時がありますね。見分けるポイントはありますか。
ファンの皆さんに見ていただくには難しいかもしれませんが、返し馬の雰囲気ですね。結果が出ている時はキャンターを降ろした時の行きっぷりが違います。パドックの歩きや返し馬に向かうまででは差はないのですが、返し馬の気配には差があります。終わってみれば、前走も思う節がありました。
——映像で追い切りは見られたと思いますが、そこはどうですか。
前回も追い切りの動きは良かったと思うんですよね。そこは変わらずといった感じだと思います。
——武蔵野S時は内枠とおっしゃっていた記憶があります。理想とする枠や馬場はどうですか。
枠は内の方がいいと思っていましたけど、結果が出ているのが外なんですよね。馬場に関しては湿っている方がいいんじゃないかとは思います。南部杯の時も雨はありましたが、あの時は前残りの展開でしたからね。
——明け7歳となりましたが、フェブラリーSは高齢でも好走している馬は過去にいますね。
今年は混戦といった雰囲気もありますし、この馬も前回を踏まえれば挑戦する立場ですからね。枠や馬場などは未知数ですが、チャレンジャーの立場でいい騎乗をできればと思います!
——先週は週中に雪予報があり、金曜にも凍結防止剤が入りました。今開催は2度、凍結防止剤が入った訳ですが、馬場についてはどうでしょう。
正直いえば、なかなかやり辛いですね。田んぼのような状態です。水分を含んでいても脚抜きがいい状態ではなく、脚を取られるようなコンディションでした。
——冬のダートでは時にある感じですね。土曜の重賞、ダイヤモンドS(G3)にはヴェローチェオロに乗られます。
前回の印象でいえば凄く乗り易いですし、おそらく距離も大丈夫だとは思います。しかし、距離適性は何とも未知数といいますか、3000m超になると、何が起きるか余計にわからないですからね。手探りという感覚あります。
——前走はスローでスンナリとした競馬。ただ、この血統ですし、過去の走りをみると、しっかり走り切れるか確かに未知な面はありますね。
あくまで前回だけでいえば大丈夫だと思いますが、この父の血統だけ見ると、未知な面はありますね。
——土曜の騎乗馬でいえば、バイオアートやダイナストーンなどは継続しての騎乗ですね。
バイオアートはセンスのいい馬で、新馬から優等生な内容をみせてくれました。前回は相手が強かったですし、レースは上手なので早い段階で勝ち上がれればいいですね。ダイナストーンは理想をいえば1F短い方がいいのですが、上手く操縦したいです。
——ダノンブレットは色々と条件が変わりますね。
前回は力を出し切れませんでしたが、本来なら安定して走れる馬です。ブリンカーも着け直すようですし、巻き返したいです。
——日曜のミッキーピーナッツはこの世代、関東圏では最後の新馬戦ですね。
体の大きな馬ですし、正直、素軽さがほしいので、もうひと絞り欲しいところ。相手関係はわからないので、この状態でどこまで対応してくれるか、ですね。
——ノワールドゥジェは前回がテン乗り、クロミナンスは追い切りに乗られたようですね。
ノワールドゥジェはひと叩きして状態がさらに上がってくれるといいですね。クロミナンスは追い切りでは乗り易く、いいフットワークをしていましたよ。だいぶ前に調教で乗せていただいたことがあるので、実戦でどんな走りをするか楽しみです。
●重賞で節目の勝利を達成!
——先週はクイーンCを制してJRA通算1200勝と節目の勝利でした!
1199勝になってから早めに決まって良かったです。数字が近いのはわかっていましたが、細かい数字を意識していなかったので、あとから聞いて気付きましたね。一人の力で達成できるわけではないので、周りの方々に感謝です。
——プレサージュリフトはテン乗りでのレースでした。
全体的にいえば、乗り易くておとなしいと感じましたし、フットワークにもいいものを感じました。ゲートを開く音に驚いてしまうそうで、あんな位置になるのはある程度想定していましたが、道中は落ち着いてくれていましたね。リズムは悪くなかったですし、あとは流れが落ち着いていたので、内から出てくる馬もいるのだろうと思ってはいたものの、そこも凌いでくれましたね。
——ジョッキーとしては昨年に続く連覇ですね。
過去の勝ち馬で活躍するケースも見受けられるように、十分にいい素質を持っていると思います。
——現状、課題はゲートになりますか。
ゲートの出方を見るとなかなか大きなロスなので、今後は課題になっていきそうです。ひとまずはそこになりますね。
——ルージュリナージュはデビュー3戦目での勝利でした。
前走が折り合いを欠いてしまったので気を付けていきました。上手にこなしてくれましたし、伸びもしっかりしていていました。今後は中距離くらいでしっかりコントロールできるようになればいいですね。
——ラコンタールは1番人気に支持されたものの、案外な結果でした。
気負っているといいますか、イレ込みともまた違うのですが、内でフラストレーションがこもっているような雰囲気でした。ゲートの中からそんな気配で力を出し切れなかったですね。
——イバルは距離延長が裏目でしたか?
おそらく絶好調だったんじゃないかと思います。それゆえに1400mで走ってほしかったですね。行きっぷりが良過ぎて前半でロスしてしまいました。
——スペイスフォースは初勝利です。
力のある馬ですね。自分のリズムで走れるようならば、昇級しても対応できるんじゃないかと思います。
——ロジマンボは相手が強かったですね。サクセスローレルは展開がもう少し楽なら、という流れにみえました。
ロジマンボは安定して走ってくれますね。あとは相手関係一つだと思います。サクセスローレルは前半のリズムでいければ良かったのですが、途中で動かれた分、脚を使ってしまいましたね。
——コラルノクターンは昇級とはいえ、モロさが出てしまいましたか。
う~ん、道中はリズム良くいけたのに最後はアレっという内容。こんなに負ける馬ではないですからね。
——共同通信杯のレッドモンレーヴは前半で接触があったのが堪えましたか。
前半でカットされて、ハミを取ってしまいました。そこで収まりが利く馬もいるのですが、ずっと力んでしまいましたからね。雰囲気のいい馬ですし、気性面も真面目なので仕切り直せるとは思います。
——クイーンCを勝たれたことで13年連続重賞勝利のようですね。
気付けばそんなに長くなったんだなとは思います。こちらも周りのおかげでの結果ですからね。続けていくにはこしたことはないので継続していきたいです。
——また、先週で1200勝ですが、2000勝という目標は持ち続けていますか。
さすがに強く意識しているわけではないものの、いつか到達したい、という思いは常にありますね。
——次週から関東圏は開催替わりですが、今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は2月25日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。