'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
中山牝馬Sのシングフォーユーなど連日、中山で騎乗!
2022/3/11(金)
新人騎手・調教師のデビューに沸いた先週だったが、若い力に負けじと?3連勝と存在感を発揮した。変わらず今週も土日ともに中山での騎乗となるが、さらに勝ち星を加算できるだろうか。次週以降は遠征での騎乗も続くだけに弾みをつけたいところだ。
中山3週目は土日で16鞍に騎乗!
——まず、今週ですが、中山牝馬S(G3)のシングフォーユーから伺いたいと思います。
この条件で勝ち上がってくれたように条件は悪くないのかと思います。おそらくこれが引退レースでしょうから、何とかいい結果になればとは思います。
——クラブの規定的に引退が近いですね。デビュー当初は頻繁に乗られていましたが、以前は好走するにはレースの形が問われるといった話もされていましたね。
なるべく道中は持っていきたいタイプ。それだけに忙しいペースにはなってほしくないですね。となると、東京の方が前半は落ち着きやすいので、中山より東京で結果が出ているのは納得いくものです。
——2走前は内枠で脚を溜めて立ち回って、ラストだけ脚を伸ばした感がありました。
ああいう展開になれば理想ですね。多少、走れるポイントが狭いところはありますが、あとはこの馬に運も向いて欲しいところです。
——土曜のフリューゲルホルンやシャドウファックスも騎乗されたことがあります。
フリューゲルホルンは勝った時はいい内容でした。テンションの高さがあるので、今回はどうなるか気になるところ。シャドウファックスは体を使って走れて、器用さがある馬です。あとはリズム良く運べればいいですね。
——プレシオーソは既に何度も乗られています。
気性が難しい面は否めませんが、それだけに間隔が空いているのは好材料です。中山にも実績がありますから。
——日曜の3歳未勝利ではアマゴは所属厩舎の管理馬です。ロジマンボは相手が悪いレースが続きます。
アマゴは精神面がもう少し成長してほしいところです。ロジマンボは一戦、一戦安定していますし、もうメンバー次第というところ。
——バルミュゼットは追い切りに乗られたようですね。
雰囲気も調子も良く感じました。器用さに欠ける感もありましたが、距離が延びるのはいいんじゃないでしょうか。
——ジジも距離延長です。
こちらは距離云々よりは最後の直線でもう少しファイトしてほしいところ。そこに尽きます。
——房総特別のプレミアエンブレムは前走も乗られていました。
凄く乗り易いですね。欲を言えばもう少しパンチがあればと思いました。
——東風ステークスのスマートリアン、アネモネSのビジュノワールはテン乗りですね。
スマートリアンは競馬が上手な印象ですし、このコースも走っていますね。ビジュノワールはどんな競馬にも対応できそうですが、道中のリズムがカギになりそうなタイプだとみています。
距離よりもコーナーの多さが合わなかったインダストリア
——レース回顧もお願いすると、弥生賞(G2)のインダストリアは5着でした。
馬自体は前走より良くなっていましたね。レースでは流れに上手く乗れず、他馬を気にしたり、もたれるクセがあって上手に走り切れていなかったですね。
——課題は戦前から口にされていましたが、そうした面がある中での距離延長。距離よりはコーナーが増えたことが良くなかったですか。
そうですね。様々な条件に対応しきれなかった印象があります。
——ペースは自分の印象としては思ったほどペースが流れなかったと思いました。
位置も後ろになってしまいましたし、もともと出脚も良くないところがありますからね。内枠なら内に潜り込めたのでしょうが、外を引いたことであのゲートの出方。条件も思うようにならなかったです。今後も課題や若さを解消していくことによって走れる幅は広がりそうですが、現状はコーナーが少ない方が良さそうです。
——アルビージャはこの馬にとっていい展開だったのかと思います。
位置取りはああなるとは覚悟していました。他の人気馬の出方よりも、前の馬も手強いと感じましたし、自分の動きたい時に動かしたいと思っていました。
——東京よりも条件は好転すると思いましたが、上がりが掛かる流れ。それ故に理想をいえば、時計が掛かる馬場だったら尚良いのかと思いました。
そう思います。何かと噛み合って欲しいタイプではあるのですが、馬場が渋れば尚良いですね。
——マイネルメサイアは惜しいといいますか、相手が悪かったですね。
勝ち負けを期待していましたが、相手が上でした。使う毎にテンションが上がって、その辺りはゲートにも影響したと思いますが、本来の状態であれば引き続き好勝負できるはずです。
——オーシャンS(G3)のスマートクラージュはパトロールビデオで見てもわかり辛いと感じましたが、不利があったそうですね。
一番は前半のコーナーでラチにぶつかるようなアクシデントがありました。自分も浦和(JBCレディスクラシック)でケガをした時、ああいう形だったので余計に気持ち悪さがありました。スムーズならやれそうな雰囲気でしたが……。
——ノーブルシルエットは相手が悪かったと感じました。
前回と違って乗り易く、外に張る面もありませんでした。この馬の力を発揮してくれたと思いますが、相手が悪かったです。
——レーヴドゥラプレリ、エイシンヌプリ、エピファニーで3連勝でした。
レーヴドゥラプレリは中山が合っていると感じていました。コーナーから動いていけるコーナーの方が合っていますし、早めに踏んでいってよく凌いでくれましたよ。
エイシンヌプリは競馬が上手ですね。モマれても砂を被っても我慢が利きました。
——エイシンヌプリは門別からの転入初戦。強風などもあり、走破時計は未知数ですが、感触としてはいかがですか。
時計が遅いのは気になりますが、乗った感触では器用ですからね。まだまだやれるんじゃないでしょうか。
エピファニーは折り合いが一番課題だと思っていました。スタートも上手に出て、二の脚もしっかり。スムーズに運べたものの、油断すると折り合いが難しくなりそうなところもあったのですが、何とかクリアしてくれました。緩さが残っていて、追い出してからグンと反応できませんでしたが、まだまだ良くなる余地はありそうです。
——マグマオーシャンは1番人気に支持されました。
返し馬から硬さを感じましたし、ハマりの物足りなさを感じました。レースでも能力の分、追走が叶いましたが、追い出してからはバラつくところがあって、最後にようやくハマってきた感触。体がしっかりしてくれればと思います。
——先週は新人騎手のデビューがありました。ルーキーたちの姿はどう感じられましたか。
他の人もそうですが、デビュー前の研修みたいなものがありまして、それで一度、関わったことがありました。角田大河騎手が初騎乗、初勝利をするのも納得ですし、総じてレベルが高い、上手だなと思います。
——英会話が堪能といいますか、問題ないルーキーもいるそうですが、英会話はどうなりましたか?
絶賛、滞っていますね(笑)。まあ、こればかりは過去に何度挑戦したのやらって感じですが、なかなか日常で必要としないんですよね。
——それ以外、何か最近取り組まれていることはありますか。
いや~特にはないですね。自分でコーヒーを煎れるくらいでしょうか。
——YouTubeも見たりはないですか。
ないです。色々あり過ぎて、何を見ていいか逆にわからなくなっちゃいますから。ただ、長距離移動の際にタブレットに映画をダウンロードして観るようなことは出ました。
——去年の海外を期にネットフリックスは使うようになったと仰っていましたね。遠征といえば次週のファルコンS(G3)、再来週の毎日杯(G3)とありますね。次週もよろしくお願いします!
今週もありがとうございました!
※次回は3月18日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。