'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ヴィクトリアマイルは昨年3着マジックキャッスルと再コンビ
2022/5/13(金)
今週は日曜がヴィクトリアマイル、土曜は京王杯スプリングCなど土日で16鞍に騎乗するが、中ではヴィクトリアMでは昨年3着となったマジックキャッスルに久々騎乗することになる。また、本来であれば同厩でありアカイトリノムスメの鞍上にいたはずだが、残念ながら引退、繁殖入りが発表されたこともあり、エピソードも振り返ってもらった。
持ち前の乗り易さを活かしたいマジックキャッスル
——今週も東京開催での騎乗となりますが、早速、土曜の騎乗馬から伺っていければと思います。セラフィナイトは上位争いが続いていますが、いかがでしょうか。
乗り易い馬ではあるのですが、時計が速くなったり、瞬発力勝負になると分が悪いところがありますね。かといって体が伸びて走るタイプだけにあまり馬場が悪くなるのも良くないんです。惜しい内容は続いているので上手くカバーできればと思いますが…。
——京王杯スプリングC(G2)のリレーションシップは初騎乗です。
戦歴からも条件は合いそうな印象。天気予報からすると、道悪になりそうですし、上手く立ち回れればと思います。
——日曜の未勝利戦ではウォーカーテソーロ、サイモンバロンはそろそろ勝ち星の期待が高まります。
ウォーカーテソーロはテンションが上がらないかという心配もあるのですが、もう安定していますし、勝機は近いと僕も思っています。サイモンバロンは出脚がつかないのは否めないと思いますが、使いつつ良くなりそうですし、終いはしっかりしていますからね。
——テレ玉杯のノワールドゥジェは昇級初戦です。
2度乗せてもらっていますが、前回は状態の良さを感じました。それを維持できていればと思いますが、馬場に関しては速すぎても、渋りすぎても良くない印象。競馬は上手いので昇級からでも、と思いますが。
——ヴィクトリアマイル(G1)のマジックキャッスルは久々のコンビです。
追い切りに乗せていただいたところ、ここ最近の成績が下降していただけに気持ちよく走っていたことは好感です。ただ、少しフットワークに硬さも感じたのは事実ですね。
——爪のコンディションが悪かったりで一連の安定感を欠いてしまったそうですが、馬場に関してはどうでしょうか。
ハッキリ言えばあまり悪くなるのは良くないですね。
——週末は雨の影響が残りそうですが、その中で強調できるこの馬の特性はどこになりますか。
乗りやすさについては不安なく乗れます。あとは馬場が乾いてくれて、内枠から立ち回れれば理想です。ここ最近が成績を落としてしまっているだけに、何とかキッカケを掴みたいですね!
成長の余地を残していたアカイトリノムスメ
——今年のヴィクトリアマイルはマジックキャッスルに騎乗されるわけですが、本来であれば同じ国枝栄厩舎管理だったアカイトリノムスメが出走していて、騎乗していた可能性があったはずです。残念ながら競走馬登録の抹消が発表されてしまいました。
阪神牝馬Sからヴィクトリアマイルと本来であれば出ていたと思いますし、アカイトリノムスメと共にという意識もありましたね。ああいう事故が起きてしまったことは本当に残念です。自分としてもやれることはなかったのか、対処のしようがあったのではと振り返っていたものです。
——他のジョッキーも乗っていた馬ではありますが、昨今、乗り替わりが多い最中でもあります。クセを知っていてもアクシデントが起きたわけですが、もし他の騎手が乗っていたらさらにアクシデントがあったのではないでしょうか。
その辺りはわかりませんけど、馬場入りの際に跳ねる馬なので、なるべく壁に近づけないよう、という意識は持っていました。それに馬場を蹴ってもなんてことのないケースはこの馬に限らず多々みるので、それだけ打ちどころが悪かったのか、タイミングが悪かったのか、残念でなりません。
——アカイトリノムスメの鞍上として挑んだレースは5回、あとは除外になったのが阪神牝馬でした。印象に残るレースはどれになりますか。
やっぱり秋華賞ですね。あとは2戦目の未勝利も驚かされましたね。半信半疑だった中で、あれだけ新馬から変わるものだと感じました。
——伸びしろもまだあっただけに推しいです。
間違いなくそれはありました。マトモだったらどこまで上に行けたのかなと思います。
——母の成長力を受け継いでいましたね。
この兄弟を沢山乗せていただいていましたし、国枝先生にはこの馬に限らず、沢山乗せていただいていたので、秋華賞を勝てた時はようやくお返しできた、という思いがありました。
——引き上げてきた際の振る舞いはそういう思いがあったということですね。
先生の厩舎でG1では初勝利でしたからね。今後は繁殖入りするということですが、またその子供に乗る機会があればと思います。そのためにもしっかり騎乗を続けていきたいですね。
トウシンマカオは今後、短距離路線の可能性
——先週のレース回顧に移らせていただくと、NHKマイルC(G1)は流石に相手強化された面もあったとはいえ、見せ場のある内容だったのではないでしょうか。
レース前から先生とも話してスピードを活かした競馬をしようという意見で一致しました。ハナには立てましたし、リズム良くいけたのですが、最後は残り200mで止まってしまいましたね。
——前走は馬場や斤量などの条件面が厳しいところもあったと思いますが、今回は相手関係や距離という課題もありましたし、それを思えば距離次第ではまだまだ上積みがあるのではないですか。
やってみないとわからないところもありますが、短距離の適性があるのではないのかなとも感じましたね。完成度の高いタイプではあるものの、今後に期待したいですね。
——エコロファルコンはレースを延期した影響が出ましたか。
普通ならあそこまで負ける馬ではないですからね。そうとしか思えない結果でした。
——ルチアはまさかの最内枠でした。
最内でどうかと思いましたが、上手く外に出せました。それだけにモマれた場合がどうなのか、前走を踏まえても自分にはわかりませんが、ミルコの馬が内々を立ち回っていたのでやられてしまいましたね。
——プリンシパルSのグランディアはどうでしょうか。
返し馬からバネの良さは感じました。折り合いに気を付けつつ立ち回って、最後は伸びるだけというところ。ただ、上に弾むような走りで緩さが影響してしまいましたね。もう少し成長できればいい面が出てきそうです。
——ロンコーネはどうでしたか。
デキは8分といいますか、いい頃よりはピリっとしませんでした。ただ、クラスが上がったこともあり、道中が忙しかったです。これなら距離を延ばしても良さそうですね。
——アイアムイチリュウは3着でした。
スムーズさを欠いてしまったことが痛かったです。強いて言えば中山の方が向きそうですが、今の1勝クラスだけに勝ちたかったところです。
——クラウンシューターで勝ち星を挙げられました。
スムーズで馬も気持ちよく走れていました。勝負所での手応えもよく最後もしっかり伸びていましたね。
——かしわ記念(Jpn1)のソリストサンダーは近走の充実ぶりは勝ち馬が突出しているように感じていましたが、惜しい内容でした。
競馬としては思うような形に近かったです。ただ、勝ち馬の勢いが優っていましたね。
——これまで外枠で成績を挙げていたり、脚抜きのいい馬場ではなく、今の船橋は馬場が重いなんて声も聞こえてきました。今までの話を総合すると、逆の条件でも頑張りました。
暑さに弱いといいますか、当日のデキに多少左右されるものの、それだけ安定していますよね。今回も海外帰りという中でもよく頑張ってくれたと思います。
——先週の東京競馬場はずいぶん来場者数も変わったようですし、今後も増える見込みのようですが、雰囲気はどうですか。
やっぱり盛り上がっているなと感じますね。ただ、パドックでも声を出しちゃいけないようにお願いしているせいか、馬への影響はそこまで内容に感じます。
——少し前から感じていましたが、髪も伸びていて驚くファンの方もいらっしゃるかと思います。
そうなんですよ…(笑)。人生の中で一度くらいは伸ばしてもいいかなと思っているんです。
——相変わらず「美容関係」には飽くなき向上心といったところですね。
向上心というか、深い意味はないんですけど。去年の冬くらいから伸ばしています。最近、調節はしましたけど、ゆくゆくは色も試してみようかなとも思っているくらいですよ。
——その新しい姿を晴れ舞台で披露できればいいですね(笑)。また次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は5月20日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。