'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
オークスはプレサージュリフトと巻き返しなるか?
2022/5/20(金)
先週は並み居るリーディング上位騎手が集まる中で4勝をマーク。5月に入ってからもコンスタントに勝ち星を積み上げられている。一方、注目度の高い重賞レースではなかなか出番に恵まれていないが、今週のオークスにはプレサージュリフトと挑む。桜花賞はあらゆる条件が噛み合わなかったようだが、東京替わりで巻き返しがあるのか。当人の感触をご確認いただきたい。
末脚不発の桜花賞から反撃なるか
——先週はG1週に4勝の成績。僅かな差でさらなる勝ち星もありそうなものでしたが、騎乗予定馬について伺っていければと思います。まずは土曜の未勝利戦からドルズプライスレスやグランシャークはどうでしょうか。
ドルズプライスレスの前走はレース内容こそ上手くいったと思うのですが、追ってからがもうひと息。能力は秘めているのですが、精神的にももう少し成長できればというところかもしれません。ただ、未勝利は突破できそうな馬ですけどね。グランシャークは競馬自体が上手でも、伸びて走るようなところがあるので、体質がしっかりしてくれれば決められそうです。
——高尾特別のカフェサンドリヨンは前走で着順を上げましたね。
前が残る展開でしたが、馬自身は流れに乗ってくれたのが大きかったですね。ああいう形ならここでも崩れないのではないでしょうか。
——日曜のサンマルディライトやレイヴンズコーはいかがでしょうか。
サンマルディライトはワンペースなところもあったのであとは流れや相手次第でしょうか。レイヴンズコーは自分で競馬も作れますし、東京にはなりますが、勝機は近そうです。
——是政特別のトモジャリア、丹沢ステークスのアベックフォルスとダ2100m戦で騎乗されます。
トモジャリアは勝った時はいい内容でしたが、距離はイイとしてもテンションンの面でいえば東京になることの不安はありますね。ただ、当時と今はまた違いそうですね。アベックフォルスは前走が昇級初戦で関西圏ながら頑張ってくれただけに、ここでも前進してほしいです。
——そして、オークス(G1)にはプレサージュリフトが挑みます。
もともとゲートの悪い馬なのですが、それにしても、前走は馬場や展開も向かなかったですね。返し馬の時点から硬さも感じましたし、影響したのかもしれませんね。クイーンCの脚を使えれば、もっと走れそうなものでしたが……。
——今回は追い切りにも乗られたそうですね。
出脚は多少、硬さもあったのですが、スピードに乗ってからの走りは良かったですね。
——枠は16番に決まりましたが……。
外になっちゃいましたね。本音をいえば、今の馬場であまりこの枠が歓迎できるような馬はいないと思います……。
——勝ち鞍のある東京ではありますが、距離延長だったり、スタンド前発走など条件は変わります。
ファンの入場者数も増えるでしょうけど、今はザワザワするような環境ではないので、音がないのも影響が出辛いんですよね。もともと乗りやすいですし、精神的な面は心配していません。ただ、短距離の血統という面での距離延長は気になるところです。あとは勝った時のような脚が使えれば。ポテンシャルは高いはずなので。
先週は4勝の固め打ち
——先週のレースではヴィクトリアマイル(G1)のマジックキャッスルは残念な結果に終わってしまいました。
直線ではもう反応がなかったですし、フットワークもこじんまりしてしまっていました。昨年のいい頃の雰囲気にはなかったですね。
——青竜Sのバトルクライは3着でした。
今回はこの馬のペースで走れたことがよかったですね。リズム良くいければやれますが、距離自体はちょっと長いですね。
——ノワールドゥジェは一瞬はやったかと思う着差でした。
前回のコンディションを維持してくれていましたし、競馬は上手ですね。上手く流れに乗って、立ち回りの巧さをみせてくれました。
サイモンバロンは前回より気持ちも入っていていいポジションで運べましたし、あの位置に付けられれば自ずと似たような脚を使えれば勝負になりますね。末脚も良かったです。ウォーカーテソーロは状態の維持がポイントでしたが、馬と厩舎サイドが頑張ってくれたおかげですね。
——京王杯スプリングC(G2)のリレーションシップは6着でした。
乗り易い馬ではあるのですが、スピードに乗っていくよりはモコモコ走るような雰囲気。距離に忙しさを感じましたね。
——ヴェラアズールは3着。スムーズなら、というところでしたね。
大きな影響ではないにせよ、カットされたロスはありました。外枠だったのでポジションを取るか検討しましたが、噛みそうな雰囲気もありましたし、リズムを重視。馬場が悪い内を最後は選びましたが、パワーもありそうな走りだったのでこなしてくれるんじゃないかと思いましたよ。
キャミは包まれて追えないところはありましたが、開いてからは反応して伸びてくれましたね。
——当時の馬場を考慮すると、不必要に外を回るのもロスがありそう。外枠から内を選んだのは意図していたのか、判断だったのか、どうですか。
あれはその場の判断でした。前も流れていましたし、内も開いていましたからね。そこから直線に向いてから外に出すのもロスがありますし、前が壁になってもあとは待つだけでしたよ。
——なかなかその時の表情まで感じ取れませんでしたが、進路がなかった時の心理状態はどうでしたか。
落ち着いて臨めました。これが悪い時なら焦って無駄に脚を使っていそうですが、それだけ自分も今はいい心理状態で乗れているのかなと思います。
ベルカノアはレース映像も見ても砂を相当嫌がっていたので気になりましたが、1枠なので出たら行こうという考えでしたね。リズム良くいけました。
——同じようなペースを刻んでの押し切りでした。
砂を被った際の不安はあると思いますけど、しぶとさはありますし、噛み合えば昇級でも頑張れそうですね。
——さて、次週は日本ダービーが行われますが、残念ながら騎乗予定はないということになりました。ここまで43勝という成績ですが、こちらについてはどうでしょうか。
今年は何とか100勝には行きたいところですね。是非達成したいです。
——だいぶ前の話ですが、若手では菅原明良騎手とも話すなんてことをおっしゃっていました。ここ最近はどうですか?
競馬場ではたわいない話題ならしますよ。ただ、明良も最近いい馬に乗っているせいか、調子づいてきて僕をイジってくるようになってきたんです(笑)。僕からネタを振ってあげるんだけど、返しがだいぶエラくなってきましたね。あとは(横山)武史なんかもね。
——そうですか(笑)。昨今は若手の台頭も目立ちますが、夏競馬も目前。若さに負けずに勝ち星のペースもさらにあげてほしいですね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は5月27日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。