'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ダービーは無念の除外 コンビを組んできた昇級初戦馬に期待
2022/5/27(金)
今週は日本ダービー。当欄でも予てからお伝えしている通り、戸崎騎手もダービーにかけては拘りを見せているが、残念ながら騎乗機会を得ることができなかった。その悔しさはまた一年後に借りを返してほしいところだが、将来性を感じる期待馬という意味では他にも見受けられる今週のラインナップだ。競馬番組的にも締めくくりの1週間、夏や秋へ向けて繋がるような騎乗を期待しだい。
レモンポップ&バジオウ 田中博康厩舎と注目レースへ
——今週も土曜の騎乗馬から伺っていければと思いますが、ピカケはデビュー2戦目。所属厩舎の管理馬ということもあり、追い切りには騎乗されたようですね。
追い切りでは小柄で硬さもいくらか感じましたね。ディープ産駒らしいバネもありましたが、どうやら金曜は雨とのことで馬格的にも心配な面はあります。
——ファロロジー、マイネルメサイアと3歳1勝クラスながらこちらも騎乗されたことがあります。
ファロロジーは以前、東京で乗せていただいた時は相手が悪かったという内容でした。いいイメージはあるので、その時くらい走ればチャンスかと思います。マイネルメサイアは本音を言えば東京ではない方が理想ですが、相手なりにやれそうな器用さもありますからね。馬場はしぶって大丈夫だと思います。
——富嶽賞のラインオブフェイト、葉山特別のアオイシンゴとどうでしょう。
ラインオブフェイトは追い切りでは昔よりしっかりした印象を受けました。スピードに乗ってからのバランスがもう少し良くなるようだと良いのかなと思います。あとはモマれ弱いらしいので、条件次第ですね。アオイシンゴは体が浮いてきてしまう面があるので沈んで走れるようだといいのですが。
——欅ステークスにはレモンポップが挑みます。
期待しています!前走でワンランク状態を上げてくれた感があるので、ここに入ってどんな走りをしてくれるか楽しみですね。
——ここ2戦、乗られた際はどうも展開的に楽だった部分は否めないと思います。2歳時のパフォーマンスを思えば、順調であればかなり上に行きそうな素質を感じましたが、展開が速くなった場合はどうでしょう。
その点も前回でコンディションを上げてきてくれたおかげで対応できるんじゃないかと思います。あとはあの雰囲気を続けて欲しいですね。
——日曜から薫風Sのオーバーディリバーはどうでしょうか。
以前、乗せていただいた頃は緩さがあったので、その点が成長してくれているといいですね。
——目黒記念(G2)のバジオウも何度も乗られてきました。
一番は距離が課題になると思います。重賞にもなるのでどんなレースができるか、というところですね。
——フットワークはゆったりとしたタイプ。それでも距離は課題ですか。
アタマの高い走りですし、手前もコロコロ変えるところがありますからね。アタマが高いなりに体を使えているからこそ、これだけの成績を残しているとも言えますが。
あとは休み明けで勝ち切ってくれましたが、いつも期待以上に走ってくれるところもありますし、競馬は組み立てやすいタイプなのでその強みを活かしたいです。
——前回は展開的に絶好なポジションで立ち回れたとすれば、昇級してこのハンデは少々見込まれたようにも感じました。
でも、前回の休み明けにしても、土曜のレモンポップにしても厩舎サイド(田中博康厩舎)がよく仕上げてくれるからこそ、安定した走りができるんだと思います。今回は一度使った上積みを厩舎の仕上げにも期待したいですね。
桜花賞から巻き返したプレサージュリフト
——先週のオークス(G1)、プレサージュリフトは人気以上の走りをみせてくれましたね。
頑張ってくれたと思います。スタートはジャンプするような形。それでも上手く流れに乗れましたね。最後は止まってしまいましたが、見せ場は作ってくれました。
——桜花賞から厩舎サイドもフットワークの硬さなりを課題にしていたと思います。
その点は返し馬で長めに乗ったり、スピードに乗せて伸ばし気味に調整させた分、良かったのかもしれません。それだけじゃないと思いますけどね。ただ、最後はジリジリとした脚になってしまいましたし、距離の課題は出たのかなと思います。
——一瞬はいい伸び。ただ、最後は止まってしまいましたね。
クイーンCの勝ち方は素晴らしかったですし、あの脚があればヒケをとらないですからね。距離の面もあって当時ほど伸びやかなフットワークではなかったですけれど、まだ背腰の甘さもありますし、成長してくれれば伸びしろがありそうです。
——アベックフォルスは軽ハンデではあったものの、こちらも低評価を覆しました。
馬の状態も柔らかみがありましたし、ペースも流れてくれて、いいポジションで追走できたのが良かったです。
——トモジャリアは2着、このコースでも好走しました。
道中はマジメに走ってしまう分、リラックスできるといいのですが、直線もジリっぽいながらも健闘してくれました。安定はしているものの、勝負所では渋くもなるので、小回りも難しい分がありますからね。
——レイヴンズコーは1400mも合っている勝ち方でしたね。
馬の成長が大きかったです。しっかりハミを取れるようになっていましたし、トモの状態も良くなっていたそうです。その分、短くなっても対応できましたし、勝てて良かったです。
——カフェサンドリヨンはまたしても2着でしたね。
リズム良くいけました。ハナでも戸惑うことなく走れていましたし、いい手応えだったんですけどね。
——ストーリアは初コンビでしたが、手前も替えずに勝ち切りましたね。
トビがゆったりとした馬で、前目で運びたいと考えていた通りの競馬はできました。追い出してからバランスがハマらず、もう少し体質が良くなって欲しいところはありますが、それでも勝ってくれましたし、体が固まってくれれば楽しみですね。
——先週の東京の芝はどうでしたか。
やっぱり例年の春よりはちょっと時計が掛かりそうですね。内も決してダメではありませんが、外の方がいいコンディションですね。数年前のダービーなんかは相当な高速馬場で前残りでしたから。
——最後に今年はダービーの騎乗が叶いませんでしたね。
騎乗馬がいない中で、結果的に抽選は漏れてしまいましたが、声を掛けていただいたことはありがたかったです。じっくり観戦させてもらおうと思います。
——来週から2歳戦も始まります。また来年へ向けて、ですね。
はい、改めて頑張ります!
※次回は6月3日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。