'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
最終週は20鞍の騎乗!古巣・南関東の門戸開放に対する思いは?
2022/6/24(金)
長らく続いた東京開催も最終週。最も勝ち星を挙げた2回東京から一転して3回東京は惜敗の多い開催になってしまったが、騎乗数の多い最終週は挽回となるだろうか。また、ジョッキーとしても「歴史的」と称した南関東2冠のJRAへの開放についても、過去に大井に所属していた立場を踏まえつつ語ってもらった。
東京開催最終日は11鞍の騎乗!勝ち星量産なるか
——今週は土曜が9鞍、日曜が11鞍の騎乗ですね。土曜の騎乗馬から伺っていきたいと思いますが、土曜のグートアウスは久々の騎乗です。
中間に乗っていないので変化はわかりませんが、以前の印象でいえば、成長できそうな余地も感じていただけに変わったところを感じられるといいですが……。
——最終のラコンタールは4戦連続で東京コースに臨みます。
新馬の勝ち方であれば1勝クラスは突破できる存在。ただ、気性面といいますか、その後は精神面の不安定さが出てしまっています。当日になってみないとわからないものの、地力を信じたいですね。
——日曜のダノンアマレットやグランベルナデットは追い切りに乗られたと思います。
ダノンアマレットはワンターンの舞台はいいと思います。ただ、一つ一つの動作に鈍さがあって、距離短縮が決して合っているとも言えないところ。それでいてディープインパクト産駒らしい非力な面もあるので、現状は色々噛み合ってほしいものです。グランベルナデットは追い切りで能力は感じました。ただ、精神的な面でいえば気が入ってこないといいな、という印象。スライドした分で影響がないといいのですが。
——トモジャワールドやノワールドゥジェは騎乗して勝たれた経験があります。
トモジャワールドの未勝利戦はいい勝ち方ができましたね。ここでも楽しみです。ノワールドゥジェは競馬が上手な馬で、思った以上に相手関係の変化に対応してくれています。
——甲州街道Sのガンダルフは初ダートです。
力のある馬で対応できるのでは、と思います。ただ、ダートがイイかと言われたら絶対的にそうは感じませんし、ダメという訳でもなく、適性は未知数な面もあるのが本音です。
——パラダイスSのリレーションシップは2走前より相手関係は楽になるはずです。
僕が乗せていただいた時はスピード負けしている感。ハンデ戦ですが、リステッドになる分で対応できればと思います。
東京ダービー&羽田盃のJpn1化 元・地方競馬関係者の立場からもコメント
——先週のレースについて伺うと、新馬のノイジーアプローチはどうだったでしょうか。
まだ初戦というコンディションでした。ただ、良いモノはありそうですし、使いつつ素質を出してくれそうです。
——スレイプニルSのエブリワンブラックはこの相手関係でもやれると思いましたが。
休み明けの分、動き切れなかったです。素質的には劣らないと思いますし、条件も合っていたと思いますが。
——未勝利戦を圧勝したウィズグレイスはどうでしたか。
どうも体が伸びたままでタメがきかなかったです。状態的には比較がないのでわからない面もあるのですが、決して元気があったようには思えなかったです。
——多摩川Sのワンスカイは距離が課題でしょうか。
気は勝っているというイメージですね。一瞬のいい脚は使ってくれましたし、このクラスでもやれると思います。
——ユニコーンS(G3)のバトルクライは先週伺ったお話の印象よりは健闘したのではないでしょうか。
一度1600mを使ったことで慣れを感じましたね。直線でもいい感触で走ってくれて、前走からの上積みは感じましたね。
——ミスということでもなく、直線は全くスペースがなかったのではないですか。
なかったですね。ただ、あれだけ追い出しが遅れたからこそ、最後は勢いがあったと思います。前回も手応えほど伸びきれていないですから。もう少し伸びていいなと思っていました。
——その辺りは秘めた適性面の差でしょうか。
現状はこの距離もこなせてはいますが、そう思います。ただ、体もまだまだ固まっていませんし、今後は楽しみですね。
——コングールテソーロは6歳ながら1勝クラスを突破しました。
以前乗せてもらった時よりも状態が良くて、いい時に乗せてもらいましたね。これだけ惜敗続きだったのに強い内容でしたし、改めて馬の体調面は重要だなと感じさせられたものです。
——先週の東京ですが、芝・ダートの馬場状態はどうでしたか。
芝は特に馬場の内側は皆嫌がるので、その分、外に振られるので距離ロスが大きくなりますね。おそらく今週も同じ傾向じゃないでしょうか。ダートは良馬場の割に時計が速かったですね。
——そして、今週は2024年以降から3歳ダートの3冠競走を創設、南関東の羽田盃や東京ダービー、ジャパンダートダービーがJRAと他地区に開放されることが発表されました。元・大井競馬所属だった立場としてもどう感じられましたか。
歴史的な改革だなと思いました。それと、地方競馬側はよく門を開いたなと思ったのも本音です。
JRAとしては3歳ダートの番組が手薄だったことは事実でしょうが、地方競馬、特に南関東にとっては重要な羽田盃と東京ダービーですからね……。今でも知った顔の多い南関東勢の皆のことを思うと、正直にいえば勝てるチャンスが難しくなりますからね。今でこそ交流重賞で活躍する地方馬もいるとはいえ、どちらが勝っているかといえば、JRAですから。
——大きな改革をすると否定的な意見があることは否めないものの、それにしても思い切った変更でしたね。ただ、長期的にみればプラスに出ることもありそうですね。
強い馬づくりということがコンセプトにあるようなので、そこは賛成ではありますけどね。
——ジョッキーとしては羽田盃3勝目、東京ダービー5勝目というチャンスも出てきました。
それは言えますけどね。過去は過去ですし、乗れるかどうかもわかりませんから。ただ、もし機会があれば頑張りたいです。
——次週からは福島開催になりますが、久々に栗東トレセンへも行かれるそうで、その辺りも伺えればと思います。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
ここで競馬ラボからのお知らせです。
「週刊!戸崎圭太」のコラムでは読者の皆様からジョッキーへの質問を募集しております。
受け付けは件名に「戸崎圭太騎手への質問」と明記の上、「お名前(ペンネーム)・競馬ラボにご登録のID(メールアドレス)・質問内容(複数OK)・競馬ラボへのご意見&ご感想&ご要望」を明記の上、以下にメールでお送りください。
keita_tosaki@keibalab.jp
今回の締め切りは少しだけ延長して6月26日(日)まで。質問をいただいた方の中から抽選で3名様に、戸崎圭太騎手・JRA通算1200勝の除菌スプレーセットをプレゼントいたします。
応募者多数の場合は抽選になります。当選者の発表は当選の方へのメールでご連絡させていただきます。ふるってご応募ください!
※次回は7月1日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。