'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
夏の福島リーディングへ 勝ち星加算したい3週目
2022/7/15(金)
2週を終えた福島開催は8勝でトップをひた走る状態だが、重賞の行われない開催後半もさらなる勝ち星を期待したいところ。また、先日募った読者からの質問にも回答。夏競馬でもタップリと語ってもらった。
福島3週目は16鞍の騎乗!
——今週も総代表は福島での騎乗ということで土曜の話題から伺っていきたいと思います。まず土曜のモントブレッチアは距離延長になりますね。
東京での前走では忙しさを感じました。勝てるところには近づいていると思いますし、延びるのはいい方に出そうです。
——ヤングローゼスは追い切りに乗られたそうですね。
1週前の時点ではもの足りなさも感じたのですが、今週は別の馬に乗せてもらって、併せ馬を見て「いい動きをしているな」と感じました。性格は大人しいタイプで、ペース的には忙しくならない方が良さそうです。
——南相馬特別のヴァーンフリートが3頭併せでそのヤングローゼスと併せていた馬ですね。
長く脚を使えるイメージですね。ただ、馬場は乾いた方がいいタイプのように感じるので天気予報は気がかりです。
——日曜のエレボアブランシュは久々の騎乗です。当時は芝を走っていました。
実績の通り、過去の印象からはダートで走っても不思議ではないところ。あとはコーナー4つがどうか、といったところです。
——郡山特別のエテルナメンテはテン乗り。追い切りに乗られたそうですね。
いいスピードは持っていますね。天気の移り変わりはわかりませんが、道悪でも大丈夫かと思います。
——ピュアブラッドは久々のコンビですが、こちらも追い切りにも乗られたようですね。
福島でも勝っていますし、このクラスでも力は足りると思います。ただ、追い切りだと凄い行きっぷりですね。レースとのギャップに驚きましたよ。それでも東京の2100mを走っているように競馬場とはテンションが違うタイプなのでしょう。
先週は圧勝したゴッドファーザーなど4勝をマーク
——既に始まっていたこととはいえ、先週は(剣道道場の)総代表就任が公になったばかりですが、反響はどうでしょうか。
さすがに即・入会希望ということはなかったようですけど、HPなども多数見ていただいたようで何よりです。
——「剣道もやるんだ」「趣味はゴルフじゃないのか」という声も聞こえてきそうですが。
HPに自分の写真があるのですが、剣道をやったのはあくまで一瞬でして。周りからも言われまして、近々、道着を着た写真は差し替える予定です。実際、僕はやっていないので……(笑)。
——あくまで団体の顔ということですね。レース回顧も伺うと、コスモノアゼットは引っ掛かるくらいのイメージでしたが、スタートで挟まれた割にひと息でした。
ゲートは出る時、出ない時とあるようですが、出は良くなかったし、ぶつかったのもありましたね。ただ、折り合いが難しいくらいだと思ったのがもっと持っていきたかったくらいで忙しかったです。体も緩さが残っていました。
——七夕賞(G3)のモズナガレボシはどうだったでしょう。
それまでに観た映像と返し馬の感触からも少しハマり待ちのタイプかなと感じました。位置を取りにいかず、敢えて溜めていきました。結果的には緩むところのないペースで先行した馬が押し切っていましたし、イメージしていた展開にもならず、もう少し早めに動いていけばよかったですね。
——ペースも緩むところがなく、隊列も変化がないまま、力のある馬が押し切っていましたね。ペイシャキュウはどうだったでしょうか。
外枠が良かったと思います。力は出し切れました。
——エリオトローピオは外枠と考えればよく内に潜り込めたレースでしたね。
返し馬でも雰囲気の良さを感じました。外3番手くらいか内に行くか、考えましたけど、外を回していいタイプでもないと思ったので内を狙いました。センスがあって競馬も上手ですし、逃げ馬を射程圏に入れる形で理想的なレース運びだったと思います。
——トランシルヴァニアは速い流れを長く脚を使って押し切りました。
前が少し厳しいペースだと思いましたし、いい位置で競馬ができました。小回りコースは合っていますね。
——ノーブルトラップや静内農業高等学校生産のライトブラーヴ、バンドネオンといった新馬はどうでしたか。
ノーブルトラップは全体的に緩さが残っていて、もう少し力を付けて欲しいです。ゲートで立ち上がっていましたし、集中力も出してほしいですね。ライトブラーヴはまだ小柄ですし、しっかりしてほしいところはありますが、いいセンスは感じました。バンドネオンは気性が難しいのは追い切り同様でしたが、背中は悪くないモノがあるだけに、どこかで変わって欲しいです。
——デアリングヒューズは3戦連続2着となりました。
スタートが決まらなかったのが一番の要因です。ペースが落ち着いたところで追い上げましたが、そこで脚を使った分の差もありますね。
——パウオレはどうだったでしょうか。
勝ちっぷりが凄かったですし、期待していたのですが……。まず、かなりスピードがあってスタートからポンと出ていくタイプかと思いきや、行きっぷりがひと息。テンのロスは挽回できたのですが、そこでの追走も思ったほど進んでいかなかったです。
——前走はイレ込みが目立ったそうですね。
強いていえば、その前走を踏まえてソフトな調整にした分、落ち着いてしまったのが堪えたのかと思います。
——阿武隈Sのシュバルツカイザーはどうでしょうか。
距離だったり、道中での折り合い、適性条件より距離が長いなどあるとは思いますが、結果論では硬さを感じました。骨折の影響じゃないかと思います。追い切りの印象では、あんなに負ける馬ではないと思いますからね。今後も気になるポイントじゃないかと思います。
——レッドラディエンスは2着でした。
いい馬ですね。少し緩さはありましたが、ペース的にはもっと攻めた乗り方で良かったです。
——一方、ヤマニンガラッシアは展開が向きましたが。
流れは向きましたね。ただ、もう少し進みがいい馬だと思っていましたし、これなら距離が延びても対応できるんじゃないでしょうか。
——そして、先週に乗られた中ではゴッドファーザーが一番目立った勝ち方でしたね。
楽しみな勝ち方ですね。ただ、気持ちのオンとオフがどちらか過ぎるように感じました。
——ただし、関東馬の関西デビューで中1週のローテで勝った点は2歳としては珍しいです。
確かにそれは言えますね。そうしたローテの影響も感じなかったです。タイプ的にはコーナー4つで切れるというよりは長く脚を使う方向性だと思います。
——最後に今週も読者からの質問があります。質問内容はここではシンプルに書かせていただきますが、「気分が落ち込んだときの切り替え方法を教えてください」という内容です。
落ち込んだことを気にしないことです。常に同じ位置に持っていけることを大事にしています。
——平常心であろうと思うことは、逆に平常心じゃないことになりますね。
そうですね。ただ、自分が思うのは自分が心掛けていることでも人によっては正解ではないことがあります。もし、アドバイスする時があればそれが良いかどうかは正解ではないし、他にも色々な解決法があったり、人によって合う・合わないはあることは絶対あると思います。
——続いて「私は仕事のキャリアアップを目指しているのですが、大井からJRAへの移籍に何度もチャレンジされていたかと思います。その間、どのように気持ちを奮い立たせていらっしゃったのでしょうか」という質問です。
当時でいえばあまり落ち込むことはなかったですね。僕の場合は日々の騎乗もあったので、ちょっと境遇は違ったかもしれません。それに一度決めた場合はやり遂げようという思いがもともとありましたし、あまり苦ではなかったです。
——「パドックで乗られている時、集中した表情のことが多いように思います。観客の様子は気になりますか?」という意見はいかがでしょうか。
気になりますね。ただ、パドックだと跨った馬で感じ取ることもあるので、そこも感じながら、という状態です。
——その点でいえば「カメラで撮影しているのですが、『自分が撮られてるな』と気づくことはありますか?」という声もありました。
ありますね。ただ、自分が撮られていると思ったら、自分が通り過ぎてもカメラの位置が変わってなくて、それがユタカ(武豊)さんだったり、(藤田)菜七子だったり。結果的に恥ずかしいことはあります。
——「SNSの開設予定はありますか?」という質問にはどうでしょうか。
ないです!でも、道場でブログも始まる予定ですし、そちらのHPやSNSを見ていただきたいです。
——次週で福島もラスト。再来週からは2場開催の新潟も始まったり、短期免許を取得するジョッキーも出てきますが、さらなる勝ち星量産となることを祈ります。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は7月22日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。