'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
リーディング確定的に安ど 最終週もラストスパートへ!
2022/9/2(金)
先週は怒涛の固め打ちでリーディングをほぼ手中に収める大活躍。3年振りに夏の新潟で頂点へと輝けそうだ。この勢いで夏競馬および新潟開催の最終週も締めくくりたいもの、土日18鞍の中から注目どころについて語ってもらった。
今週も複数勝利の期待大
——先週は土日で8勝(10連対)ということで一気にリーディング争いはトップに立ちましたね。
ええ、やっぱり勝つことはいつでも気分はいいものです。流れにも乗れていたように思いますし、馬もよく頑張ってくれたおかげだと思います。
——いつも通り、騎乗馬予定から伺っていきたいと思いますが、土曜の新馬リチャは追い切りに乗られたようですね。
気持ちはありますが、まだ体質的に頼りないところは否めないですね。使いつつかなと思います。
——古町Sのガンダルフは前走に続いてダートです。
初ダートでも何の問題もなく走ってくれました。4つコーナーでワンパンチ足りないところをカバーできればと思いますが、芝でもダートでも安定して走ってくれるタイプです。
——日曜のコレオグラフィーは新馬で不利を受けていましたね。
前回については不利に尽きますね。あれが無ければという内容でした。ただ、まだ体が緩くてモサモサしているのも事実。あまり時計が速くても、逆に馬場が緩すぎても合わないタイプかと思います。
——新馬のテンカノギジンはメインレースと同じオーナー、厩舎です。
2週前に乗せてもらいましたが、まだモタついていました。ただ、ポテンシャルは良さそうでしたよ。そこから上向いてくれればと思います。
——ドリームアジェンダは前走が2着と惜しかったです。
競馬も上手で乗り易い印象。前走のような走りをみせてくれたら再び勝負になりそうです。
——アーレンダールは前走が最内枠でも克服しましたね。
モマれ弱いと聞いていましたが、モマれながらも対応してくれました。あれならどんなレースでもできそうですし、地力もありますよ。
——飯豊特別のカフェサンドリヨンはお馴染みの存在です。
もうワンパンチなんですけどね。それでもスタートも安定してきましたし、リズム良く運べればというところ。ある程度の道悪ならこなせそうです。
——新潟記念(G3)はアサマノイタズラが出走を見送ってココロノトウダイになりましたね。
初めて乗せていただきますが、能力はあると思いますし、楽しみです。おそらく今年最後の新潟での騎乗になりそうですし、いい結果であれば何よりです。
土日8勝にも結果=一過性のものではない感覚
——先週のレースについても伺っていきます。新潟2歳S(G3)のキタウイングは連闘での重賞制覇でした。
夏場の連闘という条件の中でよく頑張ってくれたと思います。先生とも「急かさずゆったり運んで最後に脚を使う競馬ができれば」と言っていたのですが、そのような形になりました。ゲートを待たされたことで馬がボヤっとしていて、余計にゲートは遅かったと思いますが、リズムよく運べました。
——あれだけゲートが遅かったのは待たされた分もあった訳ですね。
ただ、出す気もなかったです。ハミの取り方は一つ間違えると気が入りそうでしたから。だから前走の競馬でも終いを活かすような競馬をしていたのは今回に繋がったと思いますよ。
——外回りコースなのでどれだけ差があるかわかりませんが、道中は内目を活かした競馬でしたね。
僕は周りほど内がダメだと思っていませんでした。それに後方からだとあれだけ馬群が外に振れたら余計に外も回らされますからね。この馬に限らずですが、そこまで内が悪くないと思っていたので、馬によっては思い切ってインをつきやすい週でもありましたし、外に持ち出せないような展開や脚色の馬でも内を選びやすかったです。
——内回りならともかく外回りコースなら確かに同じような箇所が悪化しやすい訳じゃないですよね。
そう思います。それに新潟は夏場というのもあるとはいえ、他場に比べたらそこまで馬場が悪くならないですから。ただ、内が悪くないという考えが会っているかどうかは何とも。あくまで自分はそう思っているだけですけどね。
——マイネルシトラスは戦前からコース適性について課題に挙げていましたし、勝ち馬は前走で超がつくハイペースを逃げていた相手。その中で2着に健闘しましたね。
相手が強かったですね。ただ、この内容なら1200mでも悪くないなと印象は変わってきました。中山に替わればなおさら良さそうですよ。
——ルークズネストは課題がある中でのレースでした。
結果、中途半端な競馬になってしまいました。前に壁を作れなかったですし、イメージ的にはハミを浮かせて、ゆったり走らせてあげたいと思っていましたし、ダラダラとした走りにさせてしまい、同じ負けるにしても今後に繋がらない内容になってしまったことが申し訳ないです。ゲートも良くなくて、ハミを取り過ぎてしまうところもあって、乗り難しいのですが、どこまで脚を使えるか、試したかったです。
——アトリビュートはどうでしたか。
乗り易いですが、追ってからがジリジリというタイプでしたね。ただ、先生も言っていましたが、小倉よりも持っていける新潟の方がいいです。
——モントブレッチアは少頭数の一戦でした。
頭数は少ないものの、手強そうな相手もいましたね。競馬は上手でしたし、強い内容。1800mもこなしてくれました。
——ライラスターは差せていい流れでしたが……。
返し馬では硬さを感じましたが、ほぐせるよう努めました。比較がないのでわかりませんが、スタートを出ていい雰囲気。それが追ってからの反応がなかったです。状態も良くなかったのかなと思います。
——エコロアイは新馬としてはペースもそれなりでしたが、押し切りましたね。
追い切りも動いていたそうですし、スタートも出てくれたのでスピードを活かす競馬ができましたよ。
——同じく新馬のジュンブライトはどうでしたか。
追い切りからはもう少し踏ん張れそうでしたが、返し馬で芝に入った時に「ん?」という感触でした。もしかすると、ダートという選択肢が最適なのかもしれません。
——ウィルソンテソーロは距離を危惧されていましたが、禅僧とはレース間隔や調整面も変化があったのではないでしょうか。
その通りでしたね。厩舎も大事に扱ってくれたそうで、テンションが上がらないよう努めてくれたそうです。メンコの効果もあったようで、冷静に走れたことが勝因だと思います。
——それにしても走破時計、ラストの上がりだけで突き放す圧巻の内容でした。
でも、馬自体はいい素質を感じていました。もちろんダートも良かったとは思いますけどね。
——ゴールドレガシーは新潟コースが合わないのでしょうか。勝ってはいるとはいえ、適性に疑問を感じるところはありました。
どうしてもテンで置かれてしまいますからね。広いコースの方が合いそうです。
——この一年でブリンカーを外したりと試行錯誤はしていますね。
気性的にムラな面は否めないのですが、ペース的には落ち着いて、持っていきたいタイプですね。
——メズメライザーはテン乗りでしたね。
スタートが良かったのですが、少々忙しくも感じました。ただ、砂を嫌がるところもあったそうなので、馬の地力に期待しました。最後は何とか凌いでくれましたね。
——デインバランスは新馬勝ちでした。
返し馬では物見をしてビクビク、オドオドといった雰囲気。内枠で馬群はどうかなと思いました。ただ、初動こそ鈍かったものに、エンジンがかかってからはいい伸びでした。
——ルージュエヴァイユの下で、共通点は感じたりしましたか。
姉はパワーがありますが、こちらは切れという感じでちょっと違いますね。
——メタルスピードの方はどうでしょうか。
道中はいい感じだったので追い出してからはノメっていましたね。背中はいいモノを持っているのですが。
——それにしても道中から口が切れていたようでしたね。
ハミが当たったりとかではなく、おそらく自分で間違えて噛んでしまったのかなと。けっこう切れていたようですね。
——ネイチャーセラピーはフットワーク的に新潟がどうかと思いましたが、差し切りでした。
大きな馬で先生からもワンペースな面があると聞いていました。前につけられたら良かったのですが、スタートと二の脚をみると、切り替えました。ズブいというよりはトビが大きくて不器用という感。距離が延びても対応できそうです。
——少し昔ながらの素材の勝負服でしたね。
素材的に今の勝負服より暑いんですよね。夏場には着辛い素材です(笑)。
——エマヌエーレは新馬に続いてスタートの速さが目立ちました。
力はあって乗り味も良かったです。自分で競馬が作れますし、最後まで脚色も良かったです。
——先週で夏のリーディングも当確となりましたが、福島に続くリーディングでしたね。剣道道場・川崎真道館の「総代表」に就任されてから好調なんて声も聞こえてきそうです。
いやいや、いいタイミングでそうなっただけです。でも、総代表ということで責任感という意識は変わってきたかな(笑)。
——川崎真道館のブログにもありましたが、トレセンでも剣道の話題をされることも出てきたと。
そうなんです。今までにはなかったような交流もできたりしましたね。
——リーディングに関しては早ければ土曜にも確定しそうですね。
いつも最終週の最後までどっちが上だなんて話になり易いので、そういう意味では自然体で臨めることは何よりです。ただ、結果が出ているから調子がいい訳ではなくて、自分としては感覚がずっといいです。
——今思えば、2年前の新潟は特に苦戦しましたね。
あの時は怪我が治ったようであっても、腕の影響があったのでしょうね。自分の腕として扱いきれていなかったのだと今は思います。
——この調子で秋競馬も健闘なるよう期待しています!
ありがとうございます。
※次回は9月9日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。