'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
オールカマーはヴェルトライゼンデに初騎乗!
2022/9/23(金)
3日間開催は惜敗も多く残念ながら1勝に終わってしまったが、今週は古馬G1の前哨戦であるオールカマーのヴェルトライゼンデなど計13鞍に騎乗する。開催日にまたしても台風がやってくる不穏な天気が続きそうだが、悪天候を逆手に取った騎乗にも期待したいところだ。
秋初戦、長期休養明け2戦目になるヴェルトライゼンデ
——3日間開催が終わってすぐに開催がやってくる印象ですが、今週も中山での騎乗とのこと。週末の騎乗馬について伺っていきたいと思います。まず、オールカマー(G2)ではヴェルトライゼンデに騎乗されますね。
前走は長期休養明けでも勝っていましたし、クラシックでも好走していたように能力は高そうですね。イメージとしてはワンパンチ足りないような印象があったのですが、まだ前走だけでは、休養以前との変化や成長が窺えないところもあると思いますし、成長があればより期待できそうです。
——あくまで客観的に見た印象のみになると思いますが、週末は天気も崩れそうですね。
いいんじゃないでしょうか。あとは他の馬との比較でどれだけやってくれるか、ですね。
——土曜の新馬ではホウオウプレシャスは追い切りに乗られたようですね。
ポテンシャルはあると思いますが、追い切りではまだもう一つ上がってきてもいいような雰囲気は感じました。走りがモコモコしていましたし、その中でどれだけ走れるか、期待しています。
——ヴァーンフリートの前走は惜しい内容でした。
このクラスでは上位の存在だと思います。不器用で決め手不足な面もあるので、そこをうまく組み立てたいです。
——カンナSのレイカットスルーは新馬勝ちでの2戦目です。
いい勝ち方をしてくれましたし、使ってどうなるか楽しみな面もありました。馬場もある程度ならこなしそうな感覚もあります。
——日曜のペイシャキュウは2走前に騎乗されました。
正直、距離は長そうです。2走前はすんなり行けた分、カバーがきいたのですが、モマれ弱いとも聞いていますし、展開などが向いて欲しいです。
惜敗が続いた3日間開催
——それにしても3日間開催は悪天候の危険性がありましたね。
特に日曜は雨が降ったりやんだりで厄介でした。月曜は凄く風も強かったです。
——その中で土曜のパルフュメは惜しい内容でした。
自分の競馬ができたと思います。ただ、先週お伝えした通り、線の細さもあった分、しっかりしていれば押し切れたのかなとも思います。
——エイトワンは馬群での競馬も良くなかったでしょうか。
いや、多少砂を嫌がるところはありましたけど、力を出せませんでしたね。呼吸も厳しそうでした。
——リマスタリングは3着でした。
上位2頭は強かったですね。スタートもうまく出て、いい形でしたが、どちらかといえばジリっぽいタイプです。
——ミステリーウェイは少頭数ではありましたが、惜しい結果でした。
ズブいとは聞いていたものの、スローだった割にリズム良くいけましたし、最後もしっかり反応してくれましたね。
——セブンデイズは相手関係的にも巻き返せそうでしたが。
うまくスタートを出てくれました。力みもあったものの、許容範囲内。それでも粘り切れないのは休み明けの分とコーナーが多いコースだと思います。不器用なところがありますからね。
——東京2100mや中京1900mでこそ、となりますか。
そう思いますね。
——レーヴドゥラプレリは勝ったと思いましたが。
勝った感覚はあったんですけどね。ゲートもスムーズに出てくれたものの、ポジションを出しているのに多少出していきました。それでも我慢してリズム良く運んでくれましたね。切れるタイプではないですし、スローで前が有利だった分だと思います。
——メズメライザーは前の組としては頑張っていると思います。
プレッシャーも掛けられた中でリズム良くいって踏ん張ってくれました。今後も枠の並びなど次第で好走できると思います。
——イルチルコは狭い馬群のレースになりました。
気性に課題があったようですが、長く脚を使うイメージ。それだけに動いていきたかったところですが、囲まれましたね。スムーズだったらという内容でした。
——シルバーニースはどうでしたか。
テンションが高く、体は使えているけど、非力というタイプ。レースはリズム良くいけたのですが、やはりテンションと非力な面は影響しました。あとは距離ももう少し短くて良さそうです。
——ルーラルハピネスはどうだったでしょうか。
ゲートはスタートしてから頭を上げるようなところがありましたが、二の脚でカバーしてくれました。ただ、ダラっとした脚になってしまい、ゲートの方がいいかもしれません。
——マイネルシトラスは連続好走していましたが、条件も変わりました。
馬場の影響で時計が速い分がこたえました。走れてはいますが、行きっぷりもここ2戦と違ったのは夏場も使ってきた疲れがありそうです。
——オレンジフィズはまたしても馬場が悪いタイミングでの騎乗でした。
厩舎からは行って欲しいというリクエスト。休み明けながらもしっかり走ってくれていますが、良馬場で走ってみたかったです。
——ウラカワノキセキは内枠という点が気になるところでしたが、それにしても結果が出ませんでしたね。
内枠でモマれた面もありましたが、正直、もう少し走れてもいいと思う内容でしたね……。
——ヴェルテックスは初コンビでした。
距離も短いようでしたし、馬場も合わなかった感がありますね。
——エリカキルシェは相手関係も向いたところはあったと思いますが、押し切りました。
スタートは良くリズム良くいけましたが、ペースも向いたとはいえ、最後はギリギリでした。もう少し体質がしっかりしてくれればと思います。
——コロンビアテソーロはどうでしょうか。
う~ん、反応がなかったですね……。使いつつ良くなってほしいです。
——ホウオウバリスタは行きっぷりも厳しかったものの、前走よりは見どころがありました。
いやあ、大変でしたね。能力を出し切れていない面もありましたし、いろいろやってきたことで条件も掴めてきた感覚はあります。内容の割に好走していますし、チャンスが近そうです。
——セントライト記念(G2)のラーグルフは前の馬が強かったものの、もう少し頑張れそうにも感じましたが、どうでしたか。
返し馬では前走よりも行きっぷりが良くなっているくらいでした。レース自体はいいリズム、流れに乗っていけました。4着はあってもいい雰囲気だったのですが、その辺りは成長待ちなのかなと思います。上手に走ってくれていましたけどね。緩い馬場も影響したように思います。
——報道にもありましたし、話題にもしていましたが、今年は短期免許の外国人騎手が大挙来日するようですね。
そのようですね。だから自分のチャンスも確約されている訳ではありませんし、目の前のレースで先々を考えず、一つ一つしっかりこなしていくだけだなと思います。いい意味でシンプルに捉えられています。
——秋華賞には騎乗とのことですが、まずは今週末の健闘を祈ります。
ありがとうございます。
※次回は9月30日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。