'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
新馬勝ちのデインバランス、3連勝中レモンポップなどに騎乗!
2022/10/28(金)
土日通じて東京での騎乗となった先週は日曜の4連勝を含む5勝をマーク。節目の通算1300勝まで、リーチを掛けた。今週は天皇賞・秋の騎乗こそ叶わなかったが、騎乗経験のあるパートナーも多い様子。節目のVと先々に繋がる結果を期待したいところだ。
4連勝が懸かるレモンポップ
——早速ですが、今週は土曜日の騎乗馬から伺っていきたいと思います。土曜の新馬は追い切りでイグザルトと併せたようですね。
トビが大きくてゆったりとしたタイプ。まだ緩さがある点は否めず、実戦に行ってどうか、ですが、気性的に気になるところはありませんでしたし背中は悪くないですよ。
——ウォーカーテソーロ、ブルーゲートと1勝クラスの馬たちはどうでしょうか。
ウォーカーテソーロはこの条件で走っていますから期待しています。前走はスピードがある分、福島にも対応できると思って進言したのですが、緩さもあって対応できなかったです。改めてこのコースで見直したいです。ブルーゲートは東京コースじゃなければもっとやれそうですが、いいモノはありますよ。
——アオイシンゴは8歳馬ですが、昇級初戦になります。
基本的に乗り易くてレースも上手ですからね。昇級でも頑張ってほしいです。
——アルテミスS(G3)のデインバランスは新潟で新馬勝ち、2戦目で重賞挑戦となります。
元気のいい馬で一度使ったことで精神面がどう向いてくるか、心配な面もあるのですが、新馬戦は「届かないかな」と思うところから差し切ってくれたように強い内容でした。まだ手探りな面はありますが、いい方に成長してほしいです。
——新馬の時も話題にしましたが、先週勝ったルージュエヴァイユの妹ですね。
当時は似てないと思いましたが、追い出してすぐに反応しないあたりは似ているのかなと今となっては思いますね。常々言っているように、新馬後の2歳馬、3歳馬はどう変わってくるかわからない面もあります。それでも新馬も良い勝ち方だったので、今回はいい方に出てほしいです。
——日曜の未勝利戦からキングダラスはどうでしょうか。
新馬もいい競馬はしてくれましたが、一度使った方がいい感触でしたね。上積みが期待できそうです。
——ヴェールアンレーヴの前走はなかなか混戦だなと思いましたが、馬体重的に成長分があるとしても、絞れそうな余地もありそうですね。
前走は成長してパワーアップした感触はありました。それでも追い出してからの反応は休み明けといった面もありましたし、伸びきって走ってしまう点は課題ですが、上位に来てくれましたから期待したいです。
——本栖湖特別のジャスティンヴェルやレジェンドトレーナーCのレーヴドゥラプレリはどうでしょうか。
ジャスティンヴェルは乗り易いタイプではあるものの、体が緩くて背腰がまだ甘い点もありました。成長してほしいですね。レーヴドゥラプレリは折り合いがカギになりますね。中山の方がいいタイプですが、良いところを見せられたらと思います。
——ペルセウスSのレモンポップはどうでしょうか。
これまでのパフォーマンスを思えば、今回も勝ってほしいです。ハンデも背負っていますが、休み明けも苦にしませんし、今までの成績からすれば、それだけ期待したいところです。
——2歳時は出色の走破時計でしたが、この連勝はどうしても楽な展開を勝ち切った面はあると思います。そこはどうでしょうか。
それは間違いないと思います。モマれた時にどうか、というところもあるのですが、普通にクリアできる可能性もありますからね。
——秋嶺Sのケイサンフリーゼは昇級初戦です。
前走はいいスピードをみせてくれましたし、ダート馬ながらパワーよりスピードというタイプです。どちらかといえば脚抜きのいいダートが合いそうなだけに馬場状態は気がかりです。
先週は一気に5勝!節目の勝利へリーチ
——先週の競馬ではディアマンテブルー、ジャスリーの新馬はどうでしたか。
ディアマンテブルーは思ったよりも実戦では上手に走ってくれました。ただ、追い出してからの反応は背腰の成長が伴っていない雰囲気ですね。もう少しシッカリしてきて欲しいです。ジャスリーは砂を被って嫌がる面は課題ですが、ラストはいい脚でしたよ。
——トモジャリアはハナも示唆されていただけに外から主張されたのが誤算でしたか。
理想はハナに行きたかったですね。ただ、あそこで主張してもペースもより厳しくなったでしょうからね。あの形でも競馬はできていますし、このクラスでもやれる手応えはありました。
——富士S(G3)のピースワンパラディはスタートでの不利が大きかったですね。
勢いがつきませんでしたし、流れに乗れていればもっと上の着順もあったんじゃないかと思います。
——ハイハローは少数精鋭のメンツのレースでしたが、どうだったでしょうか。
以前と比較してもテンションの高さが目立ちました。もともとゲートを出るタイプではないとしても、もっと流れに乗れたと思いますし、馬場の硬さも気になりました。
——フェーレンベルクやダズリングスカイといった新馬はどうでしたか。
フェーレンベルクは4コーナーの手応えは良かったのですが、追ってからがもう一つでしたね。ダズリングスカイはまだ緩さが目立ちました。使いつつ解消できればと思います。
——メイクアスナッチは少頭数の一戦でしたね。
けっこうムキになって走っていたので距離はギリギリといった印象。勝ち切ってくれてよかったです。
——キャリックアリードは未勝利勝ちの内容からすれば昇級でもやれそうなものですが、相手関係も与しやすいように映ったとはいえ強かったです。
砂を被るのが良くないようでしたが、映像を見てもいい印象で臨みました。強かったですし、今後も無事に行ってほしいです。
——ルージュエヴァイユはスローながらこれまでよりも瞬発力が際立つ内容でした。
ああいう勝ち方ができたのは成長の証だったと思います。今までならばあれだけの速い上がりは使えていなかったのではと思います。
——スタート直後には挟まれる不利。少頭数が良かった面はありますか。
もともとゲートは遅めのタイプですからね。それにフットワーク的にも大味な競馬になるタイプかと思います。
——来年は京都の外回りコースに戻るはずのエリザベス女王杯を期待したくなる存在でしょうか。
いい方向に成長していってほしいですね。
——ラーグルフも同じ3歳ですが、勝ち上がりました。
ゲートはスムーズで徐々に成長を感じました。ペースは速くて特殊な流れでしたが、最後の脚はあるので自信を持って挑めました。使うたびに重心も良くなってきていますね。
——グレートタイムやジョンソンテソーロはどうだったでしょうか。
グレートタイムは展開こそ理想的でしたが、ひと伸びがなかったですね。ジョンソンテソーロはどうも気性の問題ですね。浮ついた走りで全く力を出せていません。少し条件を変えて良さそうです。
——次週、盛岡のJBCではスプリントでスマートダンディーに乗られますね。
1200mだと忙しいのかなとも思うのですが、乗り易さのあるタイプですからね。上手く器用さを活かしたいです。
——戸崎さんといえば、今年上半期から剣道道場の「総代表」に就任されたことはお知らせの通りですが、このところの活動はどうでしょうか。
月曜日は顔を出しています。あくまで「総代表」という立場で、子供たちと一緒に活動したり、剣道の技術ではありませんが、自分なりに伝えられることを教えています。おそらく皆も競馬の騎手であることは知らないんじゃないかなと思いますね。知っていても競馬がわかっていなかったり。その中でも自分で人に何かを伝えることも勉強になりますね。
——道場の詳細などはホームページやSNS等、ご確認いただければと思います。そして、JRA通算1300勝にあと1勝ですね。理想をいえば、人が多い日曜の後半に達成できていればよかったのかなと思いますが(笑)。
ハハハ、さすがにそこまで計算して出来てはいなかったですね(笑)。そんな余裕はなかったです。
——そこをアピールすべきかどうか、ですが、先週終了時点で美浦リーディングではトップに立ちました。以前は「関東だけのトップはあまり意味がないんじゃないか」的なことをおっしゃっていましたが。
当時はおごりがあったのでしょうね。今も正直に言えば、順位などよりも馬との感覚が良くなっていることを実感することの方がやり甲斐や意義を感じています。でも、周りが凄くそのことを言ってくれますし、応援してくれています。期待してくれることには意気に感じるので「何とか獲ろう」という意欲は今、芽生えてきています!
——次週はアルゼンチン共和国杯(G2)のヒートオンビートなどに騎乗とのこと。次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※次回は11月4日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。