'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
5連勝目指しレモンポップと武蔵野Sへ!
2022/11/11(金)
先週は3勝を重ねたG1谷間週だったが、今週も引き続き連日、東京で騎乗。17鞍を予定している。中でもレモンポップは長期休養から復帰して、現在4連勝中。陣営は早々と来年のフェブラリーSも視野に入れており、初の重賞挑戦ではあるが、賞金加算はテーマだろう。他にもルージュエヴァイユなど馴染のある馬もおり、先々へ繋げたい一週間だ。
フェブラリーSへ向けてレモンポップが重賞初挑戦!
——今週はまず、武蔵野S(G3)の話題から取り上げたいと思います。レモンポップは2歳時から目立ったパフォーマンスをみせてきましたが、今回が重賞初挑戦となります。
これまでの走りからすれば、ここに入っても通用してほしい思いですね。色々課題はありますが、クリアして欲しい思いです。
——この連勝中、ペースであったり形はスムーズな競馬が続いてきたのも事実ですね。
それは事実ですね。2戦目の時は前に馬を置いて砂を被っていましたが、それでも走れていましたからね。ただ、モマれ弱さを出す馬はその状況になってみないとわからないところはあるのですが、これだけ競馬を経験していますし、どんな条件になっても対応してほしいです。
——今回はその2戦目以来の1600m戦、2週前も乾いた馬場でしたが、今週も含水率の低い馬場になりそうです。
距離も馬場も前走で一定の手応えはあったと思います。来年へ向けて、賞金を加算したいレースです。
——ラピッドベルは新馬で2着でした。
新馬戦ながら上手に走れていましたね。スタートが遅かった分もその後、カバーできていました。あとはモマれる競馬になった時にどう対応できるかがカギになりそうです。
——アドマイヤサジーは1週前追い切りに騎乗されました。
素軽い動きはしているのですが、追ってから少しモタつく面はありました。その点が実戦でどう出るか、ですね。
サイモンバロンは自己条件なら上位争いできていますし期待ですね。スぺイスフォースはこの条件で走っていますが、不器用な面があります。不器用な分、このコースが合っているともいえるので適条件で頑張ってほしいです。
——ウィルソンテソーロは連勝で昇級初戦です。
ダートにかわっていい内容をみせてくれていますし、このクラスでも、という思い。精神的に不安定な面もあるので、もしモマれる形になると厳しいことも想定はしています。
——ニシノシークレットは追い切りに乗られたようですね。
馬はまだ緩さがあって、固まってくるといいなという感触。ハミの受け方や走り方のバランスがもう少し良くなればと思います。
——日曜のダズリングスカイは新馬に続き同じ条件です。
一度使った上積みに期待したいですね。前走もしっかり走れてはいましたが、もう少し力が欲しいように感じました。
——ユートピアSのルージュエヴァイユは昇級になりますが、前走は素晴らしい脚でした。
前走のレースぶりはモタモタしていた昔のイメージと違い、自分から競馬を作っていけた感覚。休み明け2戦目がどう出るか、ではありますが、十分にこのクラスでも通用すると思います。
——フットワーク的には前走以上の多頭数、ゴチャついた際の不安も感じる面はありますが、それよりも休み明け2戦目の方が気になりますか?
そうですね。前回は自分でハミを取っていく面もあったので窮屈な形よりも、休み明け2戦目でのハミの取り方なんかが気になります。それだけ僕としては「2戦目」は気になるところです。とはいえ、前走も成長を感じましたし、2走ボケみたいなものがなければ走ってくれるのではと思います。
——オーロCのアオイクレアトールは久々の騎乗です。
以前の印象では比較的乗り易くて、綺麗な走りをするタイプ。スピードもありますね。
先週は3勝、バトルクライはオープン入り!
——先週の競馬ではファロロジーは休み明けを一度使ってどうでしたか。
状態面は上向いていましたね。ただ、特殊な馬場に脚をとられるところがあって伸びきれなかった印象です。
——アルゼンチン共和国杯(G2)のヒートオンビートは外枠、ハンデを思えば3着は健闘したのではないでしょうか。
よく頑張ってくれました。以前のような気難しさも感じませんでした。ただ、こちらの場合も馬場に脚をとられる面もありましたからね。そんな点でも、合う馬、合わない馬がある馬場だったなと先週は感じましたし、自分でも勉強になりました。
——バトルクライは2連勝でオープン入りです。
連勝は立派なのですが、正直にいえばもう少し抜いて走ってほしかったですね。前走は休み明けで精神的にもゆとりがありましたし、今回は使った分、気が入り過ぎていました。それだけハミの取り方は変わっていましたし、勝ちっぷりでいえば前走の方が良かったくらいです。
——ヒシルリアンは3着でした。
返し馬の時点で前走よりいい成長を感じましたね。まだ固まってくるのは先だとは思いますが、順調に力をつけていますね。
——レオノーレは最後まで追い比べとなりましたが、勝ち切りました。
前走はモマれる形になっていたようですし、今回はスムーズな競馬ができればと思いました。とはいえ、多少モマれる面もあり、砂を被ってフワフワするところはあったのですが、外に出してからはしっかり伸びてくれましたね。
——新馬のジュエルスはどうでしょうか。使える脚が短かったように見えました。
いいセンスはあるのですが、追ってからが浮ついてしまった分ですね。伸びきれませんでした。
——京王杯2歳S(G2)のフロムダスクは2着でした。
前走はゲートがうるさくて出遅れてしまったようですが、今回は練習してくれたようで、上手く決めてくれましたね。いいスピードがありましたし、並んでからもしぶとい形をみせてくれました。
——エピファニーは不安材料もない訳ではなかったようですが、4連勝です。
陣営からもそんな話は聞いていましたし、折り合い面もポイントでしたからね。プレッシャーはありましたが、レースが崩れないよう心掛けました。馬は我慢も利いて、上手に走ってくれましたし。直線では遊んでいるようなところもありましたが、右回りではそんなこともなかったので左回りの時はそういう面もあるのかもしれません。
——サクセスローレルは連対馬が押し切っていることを思えば、案外な結果でしたが……。
いいスタートを切ったのに大事に乗り過ぎてしまいましたね。マイルもこなせなくはないのですが、距離の不安もありましたし、慎重にいった分、楽に先行されましたから。その分、モマれ弱さも出してしまいましたし、もっと強気に乗るべきでした。
——アイスマンのラストはいい脚でした。
ゲートも我慢は利いていたのですが、最後に動いてしまいましたね。それでも道中の手応えは良くて気持ちよく走っていましたし、夏に好走してくれた時より感触は良かったです。ゲートを出て、こういう走りができたら尚良いですね。
——マイショウチャンは前回と同じ轍を踏むまいという意識は窺えました。
そうですね。ただ、疲れが出ていましたね。使い減りするようなタイプであり、前走の反動が出ていたと思います。
——次週は休養明けのドライスタウトなどに騎乗されると思います。また次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
※次回は11月18日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。