'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月11日時点1556勝
開催最終週は16鞍を予定!今年の東京で最多勝なるか?
2022/11/25(金)
いよいよ東京最終週。今年のジャパンCは残念ながら騎乗が叶わなかったが、2場開催かつ短期免許騎手、ジャパンC以外のエキストラで騎乗をする外国人騎手もいる中で乗り鞍は集まっている。過去のコラム通り、今年は年間100勝という目標も早々にクリアした当人。残り開催が僅かになってきた最中で位置付けの難しい時期となりそうだが、一つ一つのレースでベストを尽くす姿勢は変わらない様子。
年間勝ち星の半数を稼いだ東京開催が最終週
——今週はジョッキーの顔ぶれとしては国際色が豊かな週になりそうですが、土曜の話題から伺っていきたいと思います。土曜はセイウンガオリー、ディヴァーザウェイと新馬は追い切りに騎乗されたようですね。
セイウンガオリーは2度、追い切りに乗ったところ、1週前追いは以前よりしっかりした印象は窺えました。まだ走り方がわかっていない様子や若さが目立つなど課題はありますが、現状でどこまでやってくれるか、ですね。ディヴァーザウェイは馬格のしっかりした馬ですね。すごく大人しいところがあって、動けるのかな、という疑問もあったところ、追い切りではしっかり動けていましたよ。
——キャピタルSのココロノトウダイはどうでしょう。
前走はハミを取り過ぎているところが見受けられたので「距離は縮めていいのでは」という話は自分からしました。ここ最近、結果が出ていませんが、変わり身があればと思います。
——オブデュモンドは引き続きの騎乗となりました。
芝がダメだとは思いませんが、時計の速い馬場になると厳しい印象ですね。洋芝で時計が掛かる条件が良さそうです。
——日曜のスパークインザアイは前走で2着と来ています。
この馬のリズムに徹した競馬をさせてもらいましたが、しっかり脚は使ってくれました。メンバーや相手などが噛み合ってほしいところですが、同じ条件という点で期待です。
——ライコウノキセキは追い切りに騎乗されましたね。
直線での伸びは甘さがありましたが、それ以外の面で悪いところを感じませんでしたね。
——ベゴニア賞のシャンパンカラーは新馬勝ちした同じ舞台での2戦目です。
新馬は追い出してからモタつく面が見受けられましたし、トビがゆったりとしたタイプ。使って良くなる面で上積みがあるといいですね。
——オリエンタル賞のアラビアンナイトは久々の騎乗。急遽、騎乗することになりましたね。
テンションが上がりやすいタイプという印象で、当日になってみないとわからないタイプだと思っていましたが、最近はどうやら落ち着きがありそうですね。距離も昔とは違った路線で走っていますからね。成長もあるのかもしれません。
惜敗が多かった先週は1勝に留まる
——先週の競馬ではドライスタウトはどうでしたか。
やっぱり追い切りでの印象通り、まだまだといった状態でした。結果に関しては能力でカバーしてくれましたが、もともとのレベルの高さがあるからこそ、勝ち切ってくれたという印象です。今後はフェブラリーSが目標となるかと思いますが、状態が上がっていくといいですね。
——キングサーガは前走に続き連対したものの、相手関係でいえば、違いはありましたね。
走れてはいますが、前回と比較すると、ハミの取り方が前走の方が良かったです。短い間隔で使ったのも初めてのようでしたし、中1週の影響もあったかもしれません。
——スカプラリオは人気を集めていましたが……。
戦前、人気を集めていましたし、楽しみに乗ったのですが、ダートの方が向いていそうですね。この馬の兄弟は芝で走れていましたが、タイプが違う印象でした。
——ゲンパチプライドはペース自体が遅かったものの、追走に苦しんでいた印象でした。
ここまでコンスタントに使ってきた影響はあるのかなと思いましたね。最後はしっかり脚を伸ばしてくれましたし、このクラスは卒業できるとは思いますが。
——ヴェールアンレーヴは前走より相手関係は若干良くなったように感じますが、惜しいレースが続きます。
スタートも速くてレースも上手なのですが、もうワンパンチといったところですね。以前、中山で走った時は終始、流れるような走りになっていたのですが、当時よりしっかりしていますし、また中山でトライしてもいいのかもしれません。
——東京スポーツ杯2歳S(G2)のテンカノギジンは精神面の課題が出てしまったのでしょうか。
懸念していたのですが、やっぱりそうでしたね。後方にいたにも関わらず、後ろから来た馬に並び掛けられるとガツンと引っ掛かってリズムを崩してしまいました。
——レッドモンレーヴのレースは勝ち馬が強いんじゃないかと思っていましたが、惜しい結果でした。
僕も勝ち馬は手強いと思っていました。レッドモンレーヴも前走がいい内容でしたからね。ただ、中2週が影響したのか、前に壁が作れなかったのか、弾けっぷりはひと息だったかもしれません。それでも奥がある馬、このクラスでは留まらないと思います。
——セブンデイズのレースも相手が手強いと思いましたが、もう少しスムーズに乗れたらというところでしょうか。
そうですね。もう少しいいポジションで運べていれば、あそこまで着差はつかなかったと思います。
——今週で東京開催も最後。月並みな質問になりますが、開催替わりで意識するところはありますか。
う~ん、特にはないですね。もともと東京コースが好きですが、ずっと言っている通り、今はいい感覚で乗れているので、どこであろうと馬との感覚を感じつつ、結果が出ればと思います。
——今年は東京競馬場で60勝を挙げられています。騎手別ではルメール騎手と並んで最多タイ。2着数の差だけ、上回られています。
勝ち星的にそれが多いのかどうかはわからないですが、トップなのは良いことですね(笑)。
——たとえば2016年に65勝、2017年に70勝されていますが、当時とはまた状況も違いますし、いい成績なのではと思います。
まあ今年に関しては特に遠征することもないですからね。それが大きいと思いますが、確かに当時とは違いもありますし、自分の感覚も変わっているので、それがいい意味で変化になっているのは嬉しいところですね。
——そして、水曜日はワールドカップで日本戦もありました。
特にサッカーに詳しいわけじゃありませんが、ドイツは強豪というイメージもあったので、その相手に勝てたのは良かったですね。いや~盛り上がりました。
——日曜にも日本戦がありますね。
時間的にも競馬が終わってひと息ついたところですし、楽しみです。頑張ってほしいです!
——今週もありがとうございました。
※次回は12月2日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。