'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
中山開幕週はミッキーカプチーノなどに騎乗!
2022/12/2(金)
今週から中山へ舞台が替わり、年内最終開催が始まることになる。残り9日間となった開催でもあり、少しでも多く実りのある騎乗を目指してほしいところだが、新たな目標も・・・?葉牡丹賞に挑むミッキーカプチーノやオープン入りを狙うゼログラヴィティなどと挑む開幕週、好騎乗を期待したい。
ミッキーカプチーノは年末を見据えた2戦目へ
——今週から中山への開催替わりとなりますね。初日の葉牡丹賞ではミッキーカプチーノに騎乗されます。ローテーション的にも暮れのホープフルSが見据えているのでは、と感じるところですが。
新馬がいい走りでしたが、結果をみても、負かした相手達が続々と走っているので、レベルが高かったのだなとさらに感じるところです。新馬の際も使って上積みがありそうな雰囲気もありましたからね。その分でも期待しています。
——調教時計的にも前走以上のタイムですが、エピファネイア産駒といえば、気性面はどうでしょうか。
返し馬でもヤンチャなところは見受けられて、その辺りがどうかという面はありましたが、走り出せば問題はなかったです。新馬後の2戦目は慎重に捉えないといけませんが、現時点では大きな心配はないのかなと思います。
——中山に替わる面はどうでしょうか。
その辺りもクリアしていってほしいですね。パワーもある馬ですし。
——楽しみな一戦ですね。土曜のホウオウプレシャスは新馬でも騎乗されました。
新馬は体にも余裕を感じました。間隔は空いていますが、一度使った分で動けるのではと思います。
——新馬のリラスカイは当週の追い切りに騎乗されてます。
牝馬らしい雰囲気の馬ですね。スピードがあるタイプです。
——ステイヤーズS(G2)のディバインフォースは急遽、騎乗が決まりました。
このレースを勝っている馬ですからね。ある程度、競馬のパターンは決まっているのかと思いますし、今の時点では終いを活かす競馬ができればと考えています。
——エテルナメンテは2走前に騎乗されていました。
スピードがある馬ですね。馬場がどんな状態かわかりませんが、持ち味を活かせればいいですね。
——日曜のホウオウバーナードも追い切りに騎乗されたそうですね。
体を使えて走れる印象ですね。追い切りでは終いの伸びがもう少しほしい内容でしたが、フットワークの良さを活かしてほしいです。
——セイウンハルカニは久々に乗られます。
勝たせていただいた当時は直線では頭が高くて沈んでいかないところがありました。その点で成長があればと思います。
——南総ステークスのゼログラヴィティはお馴染みになってきましたが、中山での経験も豊富ですね。
前走は状態的に物足りなさを感じましたが、それでも走ってくれましたね。その点、今回は良くなっている印象でしたね。あとひと押しに期待です。
——市川Sのセイルオンセイラーは乗られていなかった前回が案外な結果でしたが、2走ぶりの騎乗です。
福島の時はスムーズな競馬でしたが、前回はモマれたのが良くなかったのか、意外な結果でした。それでも、そういった面もこなしてほしいですね。
——ラピスラズリSのスティクスは久々に乗られます。
いいスピードがありますね。当時は1400mでしたが、1200mが向いているイメージです。
——ミステリーウェイは昇級初戦になります。
2走前は上手な立ち回りでしたね。直線で浮ついてしまう面はありますが、その辺りが良くなれば、このクラスでもやれるのではと思います。
想定外の「トップ」に立つ可能性!?
——先週のレース回顧もお願いします。グランオフィシエはペースが速かったとはいえ、序盤はついていけない面もみられましたが、最後は盛り返しましたね。
ここ最近のレースぶりからもブリンカーを着けたようですが、効果のほどは比較がない分、あまりわかりませんでした。ただ、最後は伸びてきていましたし、先生も「内容は良かった」とおっしゃっていましたね。復調は感じられたと思いますし、条件次第ではもっとやれそうです。
——ゴールドレッグスは速い流れを先行して圧勝した勝ち馬は別格。流れが向いた面はあるのでしょうが、馬券圏内に入りましたね。
2~3着馬は相当後ろから運んでいましたし、ハマったのは事実でしょうが、ラストはいい脚でしたね。
——シャンパンカラーは連勝となりました。
体の緩さはまだまだ感じられますが、一度使ったことで気持ちは杯っていました。先行できて、ペースもこの馬向きでしたね。
——オーエンズテソーロは持ち時計だけでいえば、1番人気になるのは驚きでしたが、10着でした。
乗った感触で言えば1勝クラスは勝てる馬だと思いますが、とにかくテンションが高かったですね。高いながらもレースには参加したものの、最後は粘れませんでした。
——ココロノトウダイは距離短縮で巻き返しました。
ただ、距離は良かったのですが、直線でかなり狭くなっていましたからね。そこが勿体なかったです。前回が悪かったと思いませんが、状態的にも良さそうだったのでもったいなかったです。
——先週土曜は前残り傾向を感じましたが、先行して詰め切れなかったレーヴリアンは距離が長かったですか。
それはありそうですね。ただ、すごく乗り易くてどんな競馬でもできそうな印象です。
——カトレアSのプラーヴィは4着でした。
スタートしてから芝の部分で多少モタついていましたが、その後はリズム良くいけました。現状は追ってから浮ついてしまう面が課題ですね。
——先週は新馬で3頭に騎乗されました。
ライコウノキセキは芝にいって硬さを感じましたね。4コーナーではいい雰囲気だったのですが、追ってから甘くなりましたね。ディヴァーザウェイは先行できたけど、終いで甘くなりました。使いつつ良くなって欲しいです。セイウンガオリーは序盤から追走が苦しかったです。ダートの方が良いかもしれませんね。
——先週は騎乗がなかったジャパンCで敬愛するライアン・ムーア騎手がヴェラアズールで勝利されました。感じられるところはありましたか。
はい!いや~感動しましたね。非常にカッコイイ競馬でしたね。外国人騎手は「レースをしている」という感覚を感じさせられます。特にライアンはそうですが。
スキがないといいますか、馬がひるんでいるかどうか、ではなくて、馬を動かしてきますからね。ゴチャついてはいましたけど、道があるかどうか、ではなく、冷静かつ瞬時の決断力なども素晴らしいと思いました。今年は馬群が狭かっただけに余計に腕が際立ちましたね。レース後の仕草もカッコいいですね。クールで。
——どちらかと言えばオーバーアクションよりムーア騎手のような冷静な方が好きですか。
地方競馬時代からも石崎隆之さんを尊敬していたように、自分としてはそういうタイプになりたいのですが、どこかおちゃらけてしまうのでしょうね(笑)。でも、クールでスマートな騎手になりたいです。
——競馬のあとはワールドカップでは日本の2戦目が終わり、今晩といいますか、明朝に3戦目が行われますね。今回はリアルタイムで観戦されるのでしょうか。
いや、時間が時間なので今回はしないです。開催前日ですし、自分は睡眠時間も8時間とるよう決めているので。日曜の夜中なら起きていたかもしれませんが、あくまで仕事が優先ですね。頑張ってほしいですが。
——話題は変わり、先週はリーディング云々の話はさせていただき、あまり思いはないとのことでしたが、MVJではトップであることはご存知でしたか?獲れるなら狙った方が良さそうですが……。
マジですか!?それは知らなかったです。まあ、トップになるのは良いことですから獲れるなら獲りたいですが。
——4部門の総合ポイントで争われますし、まだまだ争いは続きますが、各部門でコンスタントに稼いでいますね。
まあ、でも、騎乗数が多いからね。自分は。もし、獲れたとしても自分らしくていいんじゃないですか?G1や重賞も大して勝っていないけど、コツコツやってトップに行くというのは。
——是非、表彰式の晴れ舞台に上がって欲しいものですが、今年は170勝以上した年には及ばないものの、勝率をキープできていますし、特別戦の勝ち数が多いので賞金がいいですよね。
感覚がいい、という話は度々させてもらっていますけど、自分も気持ちよく、楽しく乗れているからか、馬も感じ取ってくれるのかなと感じる面はありますよね。
——年明けも遠征の予定がありますし、怪我からの復帰、そこからの改善を踏まえて、ステップアップしてきて、お手馬といえるような存在も出てきたのは来年へ向けて楽しみですね。今週もありがとうございました!
ありがとうございます。
※次回は12月9日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。