'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ホープフルSはミッキーカプチーノと大外枠から戴冠狙う!
2022/12/27(火)
絶対的に不利と言われる外枠だったとはいえ、有馬記念は残念な結果になってしまったが、ジョッキーにとっては上位人気馬が目されているパートナーと挑むのがホープフルS。ここまで2戦2勝、前走では同じコースで好時計勝ちを決めてきており、期待が高まるもの。G1制覇へ手応えのほどを語ってもらった。
開催進んだ馬場も克服可能なミッキーカプチーノ
——年内最後の開催日ですが、ホープフルS(G1)にはミッキーカプチーノと挑まれますね。
ポテンシャルはわかっているので、ここでも通用してほしいですね。枠は外でもいいとは思っていました。さすがに大外はかなり外だとは思いますが、それでもクリアしてほしいところです。
——日曜の中山は外差し一辺倒とは言わないものの、箇所によっては芝も荒れてきたのではないでしょうか。
短い間隔でのレースになりますが、パワーもあるのでこなしてくれそうですね。
——その辺りはダート血統という背景もあるのかもしれませんね。父エピファネイアの産駒は今年、数多く乗ってきました。
乗り易さよりは走ることに意欲の強い血統なのかなと感じます。キャリアを重ねるごとにその面が強くなり過ぎないといいですね。この馬に関しては、母系がダート血統でもあるので、その傾向が出てこなければ、という意識もあります。他にいえば口向きの難しさだったり、重心ももう少し起きてほしいといった課題もまだまだあると思います。
——重賞を勝ってきた馬や追い切りでも動いている馬が多かったり、路線は違いますが、朝日杯FSより粒ぞろいのメンバーとなりそうです。
これまでのポテンシャルを出してくれれば、と思いますし、ここでは走った馬は先々も活躍していますからね。何とかいい走りを期待しています!
——28日のその他の馬ではスピーディブレイクは東京から中山に変わります。
スタートの遅さは否めないと思います。多少展開に左右される面はあると思いますが、末脚を活かしたいです。
——ビヨンドザシーンは休み明けですが、以前に勝たれた馬です。
ハナに行って勝った実績はありますが、前回はモマれたことでフワッとしていました。状態はわかりませんが、その点も踏まえて乗りたいですね。
——最終レースのカウントダウンSではインダストリアに乗られます。
この条件で強い勝ち方をしてきましたからね。こちらも休み明けではあり、コンディションは未知数ですが、期待しています。
土曜は一気に5勝でMVJへ大きく前進
——先週はチャンスこそあるかと思っていましたが、土日で5勝とは驚きました。サイモンギフトは大接戦を凌ぎましたね。
一度、使ってガス抜きはできたのでしょうね。モタれる面は変わらずでもあり、追い辛さはありますが、よく凌いでくれました。正直、交わされたとは思いましたけど。
——フェーレンベルクは距離があった方がいいのでしょうか。
う~ん、忙しかったですね。距離があった方が乗り易いと思います。
オックスリップはセンスのいい馬でしたね。現時点では素直で乗り易いです。ただ、マイルで切れ味を活かす競馬も向いているかもしれませんね。
オメガギネスは返し馬からいい感触でしたね。1枠だったので砂を被ったり、モマれた際の不安もあったのですが、多少嫌がるところはあったものの、対応してくれました。能力は高いですね。
——マニバドラは1200mの距離があってそうですね。
1000mも走っていたくらいスピードがありますね。リズム良く走っていましたし、距離も合っていそうでした。申し分ない内容でした。
——グレイトフルSのヴェローナシチーは惜しい結果でした。
耳を絞ったり、スムーズに行かないことがあると戦前聞いていましたが、全く問題なかったです。スタート、道中、概ね大丈夫でしたね。2コーナーで来られた点で反応はしていましたけど、リズム良くこなせたと思います。ただ、最後は追ってから耳を絞っていましたね。それがなくても勝ち馬は強かったと思いますが。
——ニシノスーベニアは先行決着の中で追い込んできていました。
けっこう掛かるイメージがあって大事に乗り過ぎましたね。ただ、芝よりダートの方が合うのかもしれません。芝でも頑張ってくれてはいますが。
——スズハロームはなかなか大味な勝ちっぷりでしたね。
追い切りの感触では極端な競馬をした方が良いのかな、という思いもありましたが、出遅れたことで期せずしてそうなりましたね。ただ、前半は本当に進む様子がなく、今後はどういう競馬をとればいいのか、難しさも感じました。
——新馬のプリュネルウィンクはいかがでしたか。
アタマが高くて、もう少しスピードも欲しい印象でしたね。
——セイウンハルカニは間隔を開けた方がいいのでしょうか。
終わってから聞くと詰めて使うと良くないようですね。返し馬から硬さもあって雰囲気も前走と違いました。
——フェアウェルSのレーヴリアンは4着でした。
芝のスタートで置かれるところがありました。1200mでもダートスタートの方が良さそうですが、あとは相手や流れ次第というところですね。
——有馬記念(G1)のブレークアップはフットワークを見ても故障したのかと思いました……。
思ったレースはできましたが、3コーナーではバランスを崩してしまい、故障したのかと思いました。聞く限り、問題はなかったようですが、道中から持っていけないといいますが、促しつつでした。これまでそんなところはなかったですからね。そんな手応えだからこそ3コーナーの馬場が荒れた部分で我慢が利かなかったのかもしれません。荒れてはいますけど、避けて通るほど荒れているわけではないですからね。
——中央競馬は28日が最後ですが、地方競馬は続きます。過去に所属していた大井競馬の後輩である山崎良騎手の引退が発表されました。
報告は受けていました。今までも続けるか、続けないかという経緯の中で何とか頑張ってきていました。いよいよ区切りをつけた訳で、今後の人生も今までの経験を活かして頑張ってほしいです。
——以前、当欄のインタビューにも答えてくれましたが、同じ厩舎の所属だった間柄ですね。
そういった縁があった存在ですからね。自分はあまり深く関わる後輩は少ないのですが、いいアドバイスができたのかはわかりませんが、次の人生も考えているようなので、上手くいってほしいです。
——今回はここまでとなりますが、引き続きこの一年を振り返った話をお願いしたいと思います。
※次回は12月28日(水)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。