'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
1月27日時点1583勝
祝・4度目のMVJ受賞!新年初日は中山金杯のラーグルフなどに騎乗
2023/1/4(水)
新年あけましておめでとうございます。旧年中は当コラムをご愛読いただきありがとうございました。本年も皆様の競馬ライフが充実するよう、ジョッキーの声を届けていきたいと考えております。なお、変則日程のため、次回の更新は3日後の金曜日を予定しております。
成長感じるラーグルフ 前走に収穫
——2022年は最後の開催日も勝ち星を重ねて計136勝。2016年以来となるMVJ受賞となりました。おめでとうございました!
ありがとうございます!MVJのポイントがトップだと言われてから自分でもポイント争いは気にするようになりましたが(笑)、無事に獲れて良かったです。今までも経験のある賞ではあったのですが、昨年、獲れたことも意義を感じるものでした。やっぱり走ってくれた馬や、関係者、支えてくれた周囲に対するありがたみを今まで以上に感じました。
——これまでも取り上げていますが、2019年の秋に落馬負傷。復帰したとはいえ、2021年は成績が上がり切らなかったわけで、そこから昨年は持ち直しての受賞でしたね。MVJのポイントでは勝利数(2位で14ポイント)、勝率(4位で12P)が順位を押し上げました。
昨年は年間100勝という目標を掲げて臨みましたが、覚悟を持って挑んだ一年でした。というのも、100勝もできないようであれば方向性を変えていかないといけないくらいに思っていました。それが出来なかったらどうなるか…と感じていたほどです。結果的にこれだけ勝たせてもらったことは驚いていますね。
——その他のレース回顧は後程伺いますが、年始の初日は中山での騎乗。中山金杯(G3)ではラーグルフに引き続き乗られますね。
走る毎に良くなっていますね。前走も東京で勝ちましたし、中山はもともと走り慣れている。中間の状態面は比較がありませんが、自分が乗せてもらう分には一戦毎の体調面に大きな隔たりは感じませんし、今の充実ぶりであれば結果を出してほしいです。
——昨夏、新潟で乗られた時はまだまだ成長しないといけないといった印象だったことを覚えています。
それが良くなってきましたね。前走も特殊な展開でしたが、トモの具合が良くなったことでスタートしてから位置をとれたことは成長した証だと思います。昔は気性的な課題もあったようですが、自分が乗せてもらう限り、そんなこともないですからね。
——他にはマイネルサハラ、メタルスピードも継続して乗られます。
マイネルサハラは一度使って良くなりそうな余地のある状態でしたからね。感触通り上向いてくれば楽しみです。メタルスピードはモタれる面があるので、そこに尽きます。
——サクセスエースは前走で久々の勝利でした。
昇級のペースにどれだけ対応できるか、といったところ。なるべくロスなく行きたいですね。
——招福Sではウィルソンテソーロの4連勝が懸かります。
ポテンシャルは高いですからね。右回りや1800mといった課題はありますが、能力的には突破してほしいところです。
——年明けからの開催からルール的に変更される点もありますが、大半のレースで斤量が増えますね。
夏場の騎乗が少し楽になりますね。もっと大変な人はいるので、こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、少なからずここ最近は体重を気にすることも増えてきたので、夏の斤量が軽くなる時は少し楽になりますね。と言っても、減量をしたりしていたわけではなく、食事などに気を付けていた程度ですが。馬に関しても、一部は慣れるまで影響はあるんじゃないかと思います。
——鞭の使用回数も制限が変わりますね。
僕はそんなに気にしませんが、ジョッキーが鞭を入れる時は無意識でやっている部分もあるでしょうし、人によってはクセでやってしまう場合はあるんじゃないかと思います。
1番人気ミッキーカプチーノはまさかの5着
——MVJ受賞という喜ばしい話題もあった一方で、ホープフルS(G1)のミッキーカプチーノは意外な負け方に感じました。
返し馬は今までよりも行きっぷりが良かったですし、テンション的にもイレ込みという程ではないものの、気持ちの入った様子でした。枠も枠ですし、大外なのでペース次第では先行してもとは思っていて、イメージ通りと言える内容でした。ただ、前が残っている中で3コーナーから手応えが怪しくなりましたね。気性的な面が出てしまったのかもしれません。
——新馬も葉牡丹賞も馬群の中を通っての競馬。モマれた方が闘争心は沸くタイプなのでしょうか。
そういう訳ではないと思います。気持ちが入っている分、集中力が途切れてしまったのかもしれません。いつもよりハミを取っていたとはいえ、許容範囲内といえる程度でしたけどね。
——時計が全てではありませんし、ペースも馬場も全く違いますが、葉牡丹賞の結果を思えば、意外な結果でしたね。インダストリアは先行決着を直線だけでまとめて交わし去る強い内容でした。
道中は折り合いが課題だと思いましたが、位置取りよりもリズム良く走らせることを重視。キレると信じて乗りました。多少まだモタれたり、ゴールしてからフワっとするようなところはありますが、強い内容でしたね。オープンに行っても楽しみです。
——モカフラワーは惜しい2着でした。
非常に乗り易い馬でした。上手くいったと思ったのですが、相手が上でしたね。
——オールザタイムは新馬勝ちとなりました。
ポテンシャルの高さはありますが、気性的な課題もあり、今後はまだまだ成長が必要だと感じました。
——せっかくなので改めて伺いますが、昨年末の時点で2023年の目標は「(まだ)ない」とのことでした。年が明けても変わらず、といったところですか?
昨年以上の137勝ですか、そこを目指していきたいです。あとは大きいところを勝てれば、ですね。
——5日の競馬が終わって、すぐに3日競馬も控えております。慌ただしいところですが、引き続きよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
※次回は1月6日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。