'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
中山金杯勝ちの好発進!3日間開催は中京と中山で騎乗
2023/1/6(金)
2023年の開催初日は接戦となった中山金杯を含む4勝。好スタートとなったが、2日後に始まる3日間開催は土曜中京メインのドライスタウトなどに騎乗する。土曜中京の乗り鞍を見ての通り、毎日のようにチャンスがある訳ではない、と当人も自らの立ち位置を把握しているようだが、昨年後半からのリズムを保っている様子だ。
ラーグルフが重賞初勝利!ジョッキーは5年ぶりの中山金杯制覇
——レース後にお話を伺う珍しいケースではありますが、まずは中山金杯(G3)をラーグルフで勝利。おめでとうございました。
ありがとうございます。一戦ごとに成長を感じさせてくれていて、正直に言えば状態面は前走の方が良かったと返し馬では感じましたね。
——厩舎サイドのコメントでも「年末になって良くなってきた」と言った声がありましたね。
立ち上げに順調さを欠くところがあったようですからね。硬さを感じたのは事実です。これは前回もお伝えしたと思いますが、成長と共にトモが良くなってきたことで位置も取れるようになったのが大きいですね。展開は色々と想定していましたが、まずはこの馬がいい位置を取ることに意識しました。そこからの流れを見て対応できればと思っていましたね。
——28日の開催から1週間ほど日数が空いた分なのか、強風の影響なのか、初日の中山芝は先行決着も目立ちましたね。
ただ、3~4コーナーの緩さは変わらないですよ。多少外を回っても大丈夫なコンディションだったと思います。
——そのコーナーではせめぎ合いもありました。2着馬が外に出ていれば、差し切られていたかもしれませんね。
手応えがあったことが大きいですね。前にいる馬も人気をしていましたし、いい目標にできました。あとは接戦を凌いでくれれば、といった気持ちでした。状態的に前走より落ちる中でも馬がよく応えてくれたと思います。
G1へ向けてドライスタウトが登場
——ということで早速、3日間開催となります。土曜は中京、日曜と月曜は中山になります。中京ではすばるSのドライスタウト、寿Sのエリオトローピオといかがでしょうか。
ドライスタウトは前走が休み明けでも、単なる休み明けと違って、順調さを欠いた中での復帰でした。それだけに状態的には物足りなさを感じたものの、勝ち切ってくれましたからね。昨年暮れに追い切りに乗せていただきましたが、帰厩当初の1本目でまだまだといったところではありました。そこから上向いてくるでしょうし、Jpn1を勝った馬としては、ここでも通用してほしいものです。
エリオトローピオは昇級後がひと息のようですが、乗せてもらった時はいい立ち回りをみせていましたし、同様の形ができれば理想です。
——日曜の中山ではマイショウチャンは東京ではもどかしい内容が続きました。
一度は進路が取れず、上手く導いてあげられませんでしたし、前走は状態的にひと息でした。未勝利を勝てる馬ではありますし、改めて仕切り直したいところです。
——朱竹賞のサイモンオリーブは未勝利を勝った際に乗られていましたね。
いいスピードをみせてくれた記憶がありました。イメージ的には平坦コースの方がいい印象なので、その分がどう出るか、といったところでしょうか。
——ポルックスSのルリアンや最終のスーパーホープは久々の騎乗です。
ルリアンはダートに行って安定していますからね。ハミに乗っかかってくるイメージがあるので上手く乗れれば。スーパーホープはもうワンパンチ足りない競馬が続いているようなので上手く導きたいです。
——月曜ではアウトパフォームは前走に続く騎乗です。
モマれ弱さがあると聞いていた割に内枠から頑張ってくれました。ただ、前の馬を抜かさないようなところもあって気難しさはありましたからね。継続して乗せていただく分、前走以上を目指したいところです。
——迎春Sのグランオフィシエは右回りになりますが、距離を延ばしてきました。
前回はブリンカーを着けたものの、もたついている印象でした。距離を延ばすことでテンの行きっぷりをカバーできればいいですね。右回りで走る回数は少ないようですが、前回の印象でいえば、そこまで気にはしていないです。
——フェアリーS(G3)はメイクアスナッチで挑まれます。
前走の感触でいえば走る気満々といった印象。距離や中山の坂が気になるタイプでした。今後、どんなタイプに成長していくのか未知な面も感じたのですが、あの内容で勝ち切ってくれるのなら、伸びしろもあるのかもしれませんね。例年、伏兵が多いレースという印象ですし、この馬も未知な面をいい方に出ればと思います。
初日は4勝でスタート
——5日のレース回顧でその他も伺うと、ローシャムパークはなかなかな勝ちっぷりでした。一つ前のレースと同じ距離でもあり、余計に目立ちましたね。
セントライト記念でもラーグルフに先着していましたからね。1枠だけが気がかりでしたが、早めに外へ出すことができたので、あとはリズムを守ることを意識しました。強かったですね。
——フットワークを見ても馬群で競馬するのか、気になっていたところでした。ウィルソンテソーロは4連勝です。
条件替わりでも難なくこなしてくれましたね。力もつけています。精神的にはまだ盛り上がりそうな嫌煙はあるのですが、そこも成長しているのでしょうね。
——メタルスピードは真っすぐ走れていない一連からも内枠は良かったですか。
ロスなく乗って前を捕まえる競馬。追ってからは相変わらず右にいきますが、展開なども向いてくれましたね。
——マイネルサハラはブリンカーの深さを変えたということでしたが。
ブリンカーが効き過ぎましたね。ひと息で走ってしまいました。たとえればミッキーカプチーノのようでした。休み明けを使ったことで期待はしていたのですが。
——新馬のデスティノはどうでしたか。
オドオドして精神的な弱さがありました。モマれずに行けたのですが、坂路でしか乗っていない分、体力的な差も最後の粘りを欠いたと言えそうです。
——3日競馬のラインナップはやや分が悪そうに感じますが、初日は幸先いいスタートですね。
まずは一勝できたことが何よりでした。毎回、毎回上手くいくとは思っていませんが、しっかり乗っていければいいですね。
——それにしてもローシャムパークのような圧倒的人気馬でも内枠といった懸念材料もありましたし、その他のレースも上手く噛み合いましたね。
やっぱり楽しく乗れているのが大きいかなと思います。どんな競技でも心持ちは重要なのかなと今では思いますね。
——昨今のスポーツ界では「人に勇気や元気を届けたい」といった声はよく聞こえますが、自分が楽しくというのはなかなかできないことですね。かつては安藤勝己さんも楽しんで競馬に乗ることの重要性を説かれていましたが。
やっぱり勝負事でもあり、シビアにいるべきとは自分でも思うのですが、ただ、自分が楽しんで乗れていれば、周りにも伝わるんじゃないかと思います。昨年も連勝をする馬に乗せてもらうケースが多く感じたのは、馬にも伝わっているんじゃないかと思います。
——馬の言葉は聞こえていますか?
聞こえていないです。でも、感じられるようになってきたんじゃないかと思います。吹っ切れた部分は自分でもあるので。
——昨年、ターニングポイントになるレースはあったかと思いますが、また同様のケースに遭った際に同じ感覚でいられれば尚、理想ですね。
そう思います。苦しい時でもいいイメージで臨めるようにいたいですね。
——ちなみに年末年始の過ごし方はどうでしたか。
変わらずしっかり飲みましたよ。そこは変わっていません(笑)。
——次週は連勝したルージュエヴァイユが愛知杯(G3)に挑みますね。今週もありがとうございました。
ありがとうございました!
※次回は1月13日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。