'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
「自分との闘い」AJCCはエピファニーと連勝なるか
2023/1/20(金)
先週、2週前と遠征が続いたが、今週は関東圏のみでの騎乗となる。レースの格、ここまでの経緯でいえば自ずとG2・アメリカジョッキーズクラブカップのエピファニーは注目。ここまで4連勝で一気の重賞挑戦となるが、通用なるか。ジョッキーとしても昨年、自らの手綱で勝利へ導いてきたパートナーとの重賞騎乗が続くだけに結果もほしいところだろう。
リズム一つで重賞でも通用のエピファニー
——今週は土日続けて中山での騎乗となりますね。まず、アメリカJCC(G2)のエピファニーはオープン昇級初戦にして重賞初挑戦となります。
能力は証明していますし、距離延長が一つのポイントになるかと思いますが、しっかり走ることができれば克服できるのと思っています。今までも折り合いが課題でありながら我慢は利いていましたが、楽な展開が続いていたのも事実です。少頭数だったり、モマれた時にどうなるか、という懸念もありますね。リズムをとることができれば、ここでも通用していいと思いますが。
——連勝時は確かに頭数が少なかったり、ペースが遅かったりという内容も目立ちました。
特殊な展開になった時にどんな精神面で走れるのか、未知な面はまだありますよね。
——フットワークを見る限り、未勝利を勝った頃よりもゆったりしているようにも感じますし、ここ最近の走りでいえば距離自体はこなしておかしくなさそうですね。
未勝利を勝った時は馬を気持ちよく走らせてあげられていなかったように思います。力んでいて追ってからも反抗している様子で。だからこじんまり見えたのかもしれません。とにかくこちらが上手くリードしてあげられること。そこに尽きます。
——中山、東京と交互に走って今度は中山の外回りコースになります。
コース自体は今のところどんな条件でも対応できるのかなと思っていますね。
——年明けから昨年、連勝してきた馬で重賞や上級条件に挑むケースが増えていますね。
本当にその通りですね。積み上げてきたものが無駄にならないよう、いい結果を残したいです!
——土曜の話題に移らせていただくとキタノワンダーやホウオウバーナードといった面々は継続騎乗です。
キタノワンダーは上手に競馬をこなしてくれました。追い出してから体が浮いてしまう面はもう少し力をつけてくれればいいですね。ホウオウバーナード能力こそあるのですが、ゲートは前回と同じような感じになるのかなと思います。そこは頭に入れておきつつ臨みたいです。
——初茜賞のキャリックアリードは前走が圧勝でした。
能力は確かですね。聞くところモマれ弱さもあるそうですが、クラスが上がっていけばそうした課題も克服していかないといけないと思います。このクラス自体は通用する存在ですよ。
——東雲賞のヤマニンガラッシアは1勝クラスを勝った後に距離を延ばしています。
忙しさを感じたので僕も進言したのですが、それ以降、乗せていただくのは初めて。トビもゆったりしていますし、合うと思いますからね。楽しみです。
——日曜のデスティノは不利もありながらしぶとく頑張っていましたが。
ただ、競馬自体は上手だったんですよね。ワンペースな印象もあったので、どれだけ変われるか、ですね。
——ウラカワノキセキは芝の3走前は仕方ないとして、その後が意外な結果が続いています。
通用していいと思うんですけどね。追い切りは多少モタついて、余裕を感じたものの、走れる態勢ではあると思います。
——若竹賞のスズハロームは前走が豪快な一方で条件が変わります。
能力自体を感じる内容でしたが、果たしてこの条件でどうなるか……やってみないとわからない面はあります。
——中山開催最後のレースとなるレーヴドゥラプレリは得意の中山になります。
以前もお伝えしたように東京よりも中山向き。あとは相手次第でしょうか。
愛知杯のルージュエヴァイユは馬場に泣く
——先週の競馬では京成杯(G3)のシャンパンカラーは6着という結果でした。
馬の状態自体は良かったと思います。ただ、ああいう競馬もできましたし、それでいてあの結果ということは、やっぱり距離は長かったと思います。馬も成長はしてくれていましたし、マイルならパフォーマンスは上げられそうです。
——サンライズSのゼログラヴィティも今回は不安がある中でのレースでした。
以前はリズムが悪いのは追い切りだけだったのですが、レースでも悪い意味で競馬を覚えてしまったのか、コーナーから急激にハミを取ってしまいますね。今までは上手く誤魔化がきいていたのがギアの上げ方が0か10といった印象で、立て直しが必要かもしれません。
——モカフラワーはスペースがなかったにしても、ペースは流れていて勝ち馬以外は追い込み馬の台頭も目立っただけに案外な結果でした。
レース内容はイメージしていた通りで、直線で追い出しが遅れたのは事実。ただ、道が開けてからも反応がひと息。疲れなのか、距離がやっぱり短いのか……予想外の走りでした。
——新馬のサクラグラシューはどうだったでしょうか。
ゲートの中の体勢が悪くて立ち上がっていました。体力的にももう少し強化したいですね。
——エエヤンは距離短縮とはいえ、前回がかなり行きたがっていただけにどうなるかと思いました。
乗り味のいい馬でしたね。夢中になって走りそうな懸念は今後もありますが、今回は段々とリズムもとれました。
——セイウンミライズはいかにも距離が延びて良さそうですね。
そう思います。ただ、コーナーの手応えは良くて勝ち馬よりむしろ良いかと思ったほど。そこから前の馬を抜かさないような気性をみせていました。その点は課題ですね。
——愛知杯(G3)のルージュエヴァイユはどうだったでしょうか。
馬場ですね。もともと重心の低い走りをするとはいえ、追い切りの走りも良くて、どうにかなるかと思ったんです。ただ、返し馬からノメっていましたし、前回は出てくれたゲートも失敗してしまいました。最後は右にかなりモタれていたのは原因がわからなかったですね。
——当初は中山でラストにズバっと伸びていたのが、ここ最近は瞬発力もみせていましたし、あまりに条件が違いましたか。
一番は馬場ですね。他にも輸送も今までより長かったですね。期待していましたし、楽しみだったのですが。
——デルマグレムリンはペースこそ速くなかったと思いますが、差し切れました。
外枠、少頭数など噛み合ったのは事実だと思いますが、ダートも合いますね。勝った時のイメージで末脚を活かしたいと考えてその通りの走りをしてくれました。
——次週は東京開催が開幕。根岸S(G3)にはレモンポップが予定しておりますが、他にもまだ発表されていない重賞での騎乗馬がいそうで楽しみですね。また、1月31日に川崎競馬場で行われる佐々木竹見カップへの出場が決定しました。
コロナもありましたし久々の開催(JRA騎手も出場は2020年以来)ですよね?久々出られて楽しみです。
——その前日には関係者のみでの開催ですが、JRA賞の表彰式もあるそうですね。ちなみに総代表、昨年、開かれた剣道道場の調子はどうでしょうか。
新たに入会してくれている子供たちもいて嬉しいですね。
——戸崎圭太総代表のファンの入門はないですか。
まあ、そこはないですね(笑)。
——剣道にご興味のある方は「川崎真道館道場」で検索していただければと思います。今週もありがとうございました。
ありがとうございました!
※次回は1月27日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。