'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
1月で今年の重賞2勝目!今週は東京新聞杯など17鞍の騎乗
2023/2/3(金)
断然人気に支持された根岸Sではレモンポップが重賞初勝利。1月は遠征や重賞での騎乗が続いた中で嬉しいニュースが続いた。今週は東京での騎乗になるが、現状に甘んじず勝ち星を伸ばせるだろうか。健闘を期待したい。
インダストリアは現状で試金石の一戦に
——今週は土日で17鞍の騎乗となりますが、土曜の話題から伺っていきたいと思います。未勝利のフォードテソーロはどうでしょうか。
気性的に難しいところがありますね。それだけにリズム良く走らせたいですし、枠の並びは重要となりそうです。
——3歳1勝クラスのスクーバーは未勝利勝ちが圧巻でした。追い切りに乗られたそうで今回が初コンビになります。
いい馬でしたね。ただ、外にモタれるところがあったので、レースでどう影響するかは気になるところです。
——テレビ山梨杯のファロロジーは度々乗られてきました。
本来であれば終いは確実ですからね。いい時の走りをしてくれればと期待したいです。
——日曜のスノーパトロールやマオノアラシは続けて乗られます。
スノーパトロールは前に行けて競馬はしやすいですね。上手く運べれば、です。マオノアラシはダートの方が良いと感じたので変わって欲しいです。
——リトルポピーは現級でも好走歴があります。
勝てる力はあると思いますが、ワンパンチ足りない競馬が続いていますからね。上手くカバーしたいです。
——ラコンタールは新馬の勝ち方は鮮やかでしたが、今回はダートになります。
新馬の走りからも期待はしていたのですが、その後が意外な結果が続いていますからね。ダートに替わっていいところが出てくれるといいのですが……。
——銀蹄ステークスのラインオブフェイトや昇級初戦のダルダヌスはどうでしょうか。
ラインオブフェイトはモマれ弱い面もあるので枠や展開も重要になりますね。ダルダヌスはクラスが上がってペースに対応できるかはカギになりますが、東京なら落ち着きますからね。
——東京新聞杯(G3)のインダストリアは重賞挑戦になります。
前走は強い勝ち方でポテンシャルを確認できました。重賞になると甘くないと思いますが、これまでも連勝して重賞に臨んで壁に当たっていたので今回は通用してくれるといいなと思います。
——多少コースを選ぶタイプかと思いますが、今回は東京になりますね。
自分のイメージでは中山で走っていますが、東京でどんな走りをしてくれるか楽しみですね。右回りでは外に流れる面もあるので、そこが左回りの東京だとどうなるかはわかりませんが、東京は合って良さそうですが。
——展開的には差しが利く内容がいいですか。
そうですね。まだ体が緩くてリズムを守って走らせてあげたいと考えています。そもそも下げているわけではなくて、まだ位置を取りにいくようなタイプでもないのでああいう競馬になる面はありますね。
縁のある関係者と決めた重賞初勝利
——先週のレースではレモンポップが根岸S(G3)で重賞初勝利、おめでとうございました。
ありがとうございます。いつもよりスタートで後手を踏みましたが、二の脚も速いので思ったところにはつけられました。その後はリズム良くいけましたし、少し早めにこられた分、早く動かされたのですが、時計も詰めましたし強い内容でしたね。
——着差は詰められましたが、着差以上に強い内容だと感じました。
どこかで重賞を勝てる馬だとは思っていましたが、ベスト条件でしたし、何とか勝てて良かったです。
——田中博康厩舎も重賞初勝利でした。
僕としては沢山乗せていただいている厩舎でしたし、記念すべき初勝利は自分の手であげられたら、と思っていました。それもあって嬉しいですね。
——昨年も一躍、名を挙げた田中博康調教師ですが、戸崎さんから見てどんな手腕を感じますか?
凄く馬のことについて熱心でマジメですよね。理論的といいますか。時に考え過ぎてしまうこともあったのかもしれませんが、レースについては馬の特徴を教えてくれた上で乗り方は任せてくれるのでやり甲斐を感じます。
——当欄をご覧いただいている方であれば、御自身のJRA通算1000勝達成は近年の大きなイベントの一つだったと覚えていただいていると思いますが、その際に勝ってくれたエクリリストワールと同じ担当の助手さんでしたね。
僕より少し年上ですが、もともと大井にいて、新聞記者から厩務員になった人なんですよ。大井時代から知っていて、長い縁もあるので、色々な面から特別な一勝でしたね。
——厩舎スタッフの方も一緒に記念撮影する珍しいケースだったのはそんな理由もあったと。サウンドウォリアーは大接戦でした。
前に乗せてもらったより元気が良くて馬の雰囲気も良かったです。先行して我慢がききますし、よく凌いでくれました。
——ベジャールはスムーズだったら新味発揮となっていたのではないですか。
その通りです。適性は半信半疑でしたが、やっぱりマイルは合いそうですね。
——バルミュゼットはどうでしたか。
硬さを感じましたね。思った以上に前半でついていけませんでした。最後は伸びてくれていますが。
——メイテソーロはスローながら加速ラップで差し切るという強い内容でした。
性格がわがままで落ち着きがほしいところですが、スタートで遅れながらも盛り返してくれました。馬も前走より良くなっていましたね。
——カレンルシェルブルは勝ち馬が強かったものの、接戦の4着でした。
勝ち馬は乗せてもらっていたこともあり、素質の高さはわかっていましたが、凄く乗り易いですね。背腰も甘い面はありますが、条件次第ではもう少しやれるかもしれません。
——ジョディーズマロンは正攻法の競馬でも踏ん張りましたね。
競馬は上手でしたね。最後は差し返していましたし、このクラスでも安定して走りそうです。
——キングサーガのレースは乗ったことのある馬が人気をして先行していて、そこを差してきました。
フレッシュになって戸惑うことなく走ってくれました。追い出しを待たされるところはありましたが、いつも何かしら前に一頭いますね。
——ゲンパチプライドは惜敗続きにピリオドをうちました。
間隔を空けたことで馬が良くなっていました。前回より良化していましたよ。
ジャスリーは上手に走っていましたが、もう少し距離が短くてもいいのかもしれませんね。ラッキーコインはスタートが速いわけではないのでしょうが、挟まれる不利が痛かったです。その分、リズム良く走れましたけどね。
——今週はJRA賞授賞式がありました。
タキシードを着るのはこの表彰式くらいでしかありませんからね。また着られることを嬉しく思いました。
——火曜の川崎では佐々木竹見カップジョッキーズGPが行われました。出れば上位が多いイベントですね。
勝った馬は本当にいい時に乗せてもらいましたよ。久しぶりに参加できたことは楽しかったです。
——そして、JRA移籍してから地方競馬100勝だったようですね。
言われて知りましたし、驚きました。あの勝負服で勝つのも感慨深いですからね。
——今はルール的にエキストラ騎乗も制限されていると思いますが、交流重賞以外で地方競馬での勝利は2019年以来ですか。ここのところなかなか話題性に富んだニュースが多いですが、次週はクイーンC(G3)のミシシッピテソーロや共同通信杯(G3)のシュタールヴィントに騎乗とのこと。次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※次回は2月10日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。