'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
ピクシーナイトが阪急杯回避も中山と阪神で騎乗
2023/2/24(金)
先週のフェブラリーSは期待を持って臨むも残念ながら4着。関東圏は開催替わりでもあり、土曜は心機一転といきたいところだが、今週は中山と阪神での騎乗になる。特に今週日曜は阪急杯でG1馬のピクシーナイトと初コンビとなるはずが、急遽の回避。直前だったこともあり、日曜は予定通り遠征となった。
土日で19鞍の騎乗予定
——今週は土曜が中山、日曜が阪神での騎乗。騎乗経験のある馬が多い訳ではなさそうですが、可能な範囲で伺っていければと思います。土曜のフォードテソーロは惜しい結果が続きます。
もう一歩のところまできていますからね。あとは相手次第ではないでしょうか。
——モリーダーリンは乗られていない前回でブリンカーを試すものの、折り合いを欠いていたようですね。
見た目にも行きっぷりが良かったですよね。でも、外せば行く気もなくなりそうですし、難しいところです。
——オメガギネスは新馬勝ちしての2戦目ですね。
仕上りや上積みは未知な面もあるのですが、いい馬でしたね。新馬の内容は良かったですし、使った方が良くなりそうなイメージです。
——日曜のラピッドベルはどうでしょうか。
いいスピードをみせていますし、1400m戻るのも良さそうです。
——阪急杯(G3)に出走予定だったピクシーナイトは残念ながら回避。追い切りにも騎乗はされていましたね。
出られなかったのは残念でしたが、馬は素晴らしい雰囲気でしたよ。追い切りに乗せていただいただけでも財産になりそうな感触でした。さすがに長期休養明けの感は否ませんでしたし、実戦ではどうかといったところでしたが、それでもいい馬だなと感じましたね。
伸びしろを期待したドライスタウトは4着
——先週のフェブラリーS(G1)はドライスタウトに騎乗して4着でした。
馬の状態は返し馬から良かったと思いますし、レースはイメージ通りにいけましたね。道中は横にライバルである勝ち馬がいて、ついていく形で運べましたし、直線もスムーズでしたが、反応の差は明らかでしたね。他馬にも交わされましたし、ここから成長していってほしいですね。
——まだまだ成長の余地はありそうですか。
事実として、今回は勝ち馬のみならず負けていますし、完敗ですよね。まだキャリアも浅いし、順調に成長していってくれれば……ですね。自分の中では競馬としては完璧なレースはないと思っていて、それは例えば違う位置取りだったらとか、他の人が乗っていたらどうか、という可能性もありますからね。でも、その中で今回はベストを尽くした騎乗はできたと思います。それでもこれだけ負けているので完敗だなと思いました。
——勝ち馬のレモンポップも同じく続けて乗ってきた馬でした。
1600mでもこれだけ走れているわけですし、やっぱり強い馬ですよね。厩舎や関係者には心からおめでとう、という思いはありますよ。
——フィデルは初騎乗でしたが、いかがでしたか。
ハミに乗っかかってくるようなところがあるので気を付けて欲しい、という話でしたが、やっぱりそんな走りでしたね。コース的にも小回りの方が合っているように思えました。
——オメガタキシードは3歳オープンクラスのヒヤシンスSに出走しました。
まだ背腰の弱さがありますね。追走自体も苦しかったです。
——スズハロームは一進一退といった戦歴が続きますね。
初勝利させてもらった時と違う競馬でしたが、速い時計にも対応してくれました。ただ、速い脚がもう一つ足りない印象もあります。
——マイネルクリソーラはスローペースがこたえましたか。
ペースよりも動けるところにいられなかったのが大きいですね。枠の並びが悪かったです。
——ダイヤモンドS(G3)のヴェローチェオロは休み明けからの出走でした。
体は去年のダイヤモンドSよりも張りがあったんじゃないですかね。リズム良く走れてはいたと思いますが、長い休み明けでこの距離は厳しかったです。
——テンカハルはダートで変わり身がありましたね。
芝でも乗せていただいたことはありますが、ダートの走りは良いですね。位置は後方からになってしまうので、1800mといった条件に対応できるかはどうかも、走りのリズムは良かったです。外に振られる形になったのは痛かったですが、じっくり進めれば脚は使ってくれます。
——キングサーガはレース間隔がこたえましたか。
いい時と比較するとスタートしてからの進み具合に違いがありましたね。後ろからの競馬になったものの、差し馬が来ている流れからも、ポジションは悪くないかと思いますが、外から馬が来ると気にしたりしていました。以前、詰めて使った時も進み方は悪かったですし、難しいですね。
——フォトスフィアは差し切り勝ちでした。
ゲートが上手く出られず、その後はじっくり運びました。モマれ弱さや砂を被る弱さも聞いていたのですが、自分のリズムなら手応え良く運べますね。直線もしっかり反応していました。
——サトノロワは使って良くなるかと思いましたが……。
変わってこなかったですね。気性なのか……。ブリンカーかダートを試していいかもしれません。
——コンクエストは外枠も良く、押し切れるかと思いきや、ゴール前で一気に交わされました。
前回乗せてもらった時よりも馬の調子は良かったですし、イメージとは良い意味で違いました。馬の進みが良かったですし、思った以上に気持ちよく行き過ぎましたね。
——東京開催でいえば、福永祐一騎手がJRA最後の騎乗ということで、セレモニーも行われていたようですね。
JRAの騎手であまりプライベートでも付き合いのある人はいないのですが、尊敬できる方でした。馬乗りの感覚も近いところがあって、参考にさせていただきましたし、レースを見て感じさせられるところは多々ありました。馬を降りた時も人として素晴らしいですし、そこも尊敬しています。
初めて調教師試験を受けると聞いた時は、いつかは調教師になられると思っていたとはいえ、耳にしただけで僕も鳥肌が立つ思いでしたし、驚きましたね。でも、自分なんかに早く聞かせてくれたことも嬉しかったですね。
他の媒体で話題にもあったかと思いますが、昨年も(川田)将雅や芸人さんたちとの食事会にも誘ってくれたこともありました。それも嬉しかったですね。自分はJRAの騎手と食事に行くこともあまりないので珍しい経験でしたからね……。
——こういう質問もどうか、ですが、セレモニーに参加されて、自分の時もイメージされましたか?
さすがにしますね。自分の時はどれだけスタンドに人が集まるのか……(笑)。スタンドに収まりきるのかなと。
——ご自身の時は超満員ですか(笑)。
ハハハ。でも、間違いなく僕の時はあんな大々的にはやってもらえないでしょう(笑)。そして、ユタカさんが引退する時はどんなことになるのかなとも思いました。
——今週から開催が替わりますが、1回東京開催は8勝でした。
勝ち鞍は少ないですね。結果を出すことが仕事だと思いますし、手応えがあるのに前が詰まったりという競馬などは減らしていかないといけません。今年に関しては金杯で重賞を勝たせてもらい、いいスタートを切りながらフェブラリーSは結果的に勝ち馬に乗っていなかったという悔しさもあります。
——昨年は騎手人生の中でも一番といえるくらい充実していたということでしたが、先週はなかなか悔しい結果だったと思います。
そうですね。ただ、いいことばかりが続かないものですね。でも、悔しい思いがあった時にいいイメージを保てるように、とは意識していたので。昨年の毎日杯のような落ち込みはないです。
——今週はチューリップ賞(G2)を予定しているドゥーラの追い切りにも乗られたそうですね。来週も阪神への遠征もありますが、開催替わりの今週、月も替わる次週以降も改めてですね。
ありがとうございます。
※次回は3月2日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。