'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
さあクラシック!桜花賞はドゥーラと逆襲へ!
2023/4/7(金)
先週はダービー卿チャレンジトロフィーをインダストリアと共に勝利。かねてより能力を評価していた存在ではあったが、前走から一変の走り。ジョッキーにとっても1月以来の重賞勝利となった。「巻き返し」という点でいえば、期待したいのは日曜の桜花賞。前哨戦は追走が苦しかったにしても、大きな不利を受けて能力を出し切れなかった。逆襲へ秘策はあるのだろうか。
理想通りの枠を引いたドゥーラ
——まずは今週末の話題から伺っていきたいと思いますが、今週からクラシックが始まります。ドゥーラと共に挑む桜花賞(G1)は枠順が7枠13番に確定しましたね。
枠は内より外が良かったので、枠順の発表を見て良かったと思いましたね。前回は出し切れていない結果だったので、その内容を踏まえてしっかり臨みたいと思います。
——阪神の芝に関しては、先週日曜に実際乗られていて、傾向も感じるところはあったと思います。それでいて外が良いと言うのはテンの追走力になりますか。
そうですね。馬場は内目、前目というのはわかっていますし、テンが思った以上に遅いのは否めないとは思いますが、あれだけ遅いので外の方が自分の形で動けると思います
メンバーを見渡すと、ペースが速くなりそうな雰囲気はありませんが、外目の方が動きやすいでしょうし、この馬のリズムを崩した時にしっかり脚を使えるかはわかりませんが、なるべくいい位置をとれたらと思います。
——前走時は調教と実戦でのギャップはありましたか?今回はハミを換えるという話もありました。
基本的には乗り易い馬だと思います。ただ、これだけ乗り易いので特殊なハミじゃなくていいのかなと思いますね。馬具を替えることもいい方向に向いて欲しいです。
——阪神ジュベナイルFの内容からも走り切れば能力は上位ではないでしょうか。
前走が大きく着順を落としてしまっただけに大きなことは言えませんし、コース適性がどうか、というところはあるのですが、ポテンシャルは感じています。何とか巻き返したいです!
——土曜中山ではサティンボディスからどうでしょうか。
前走は上手くリズム良く走ってくれましたね。同じように先行してどこまで、といったところでしょうか。
——特別戦のゲンパチプライドやドグマは乗られたことがある馬ですね。
ゲンパチプライドは正直1200mになると忙しさを感じそうですね。ドグマは以前乗せてもらった時がいい感触でした。そこからどんな成長をしているか楽しみですが、雨が残る馬場も合っていそうです。
——ニュージーランドT(G2)はダノンゴーイチが入らず、桜花賞に使えなかったメイクアスナッチに継続騎乗されます。
2走前と前走で雰囲気は全然違いました。前走の走りならマイルは大丈夫ですが、もう少し力を付けて欲しいのは本音ですね。
——リトルポピーは条件が変わりますね。
気性的に走ったり走らなかったりと極端。新たな一面が出るかもしれないと思いまして、この条件を進言させていただきました。能力的にはクラスを突破していい馬だと思います。
——日曜のブラックシールドは昇級戦ですね。
クラスが上がっての力関係はカギですが、前走がいい内容でしたし、期待したいです。
中山競馬場では馬が違うインダストリア
——そして、先週のダービー卿CT(G3)はインダストリアで制されました!
もともと期待をしていた馬ですし、良かったです。ただ、東京とは走りがかなり違うなと感じさせられました。少しずつ変わってきているのでしょうが、インダストリアの精神面によるものですね。
——前走時は左手前だと精神的に難しさを出していたようですが、今回は返し馬から違ったと。
落ち着いていましたね。よくよく考えると、どうも東京だと競馬場が広々としているせいか、インダストリアも気持ちいいのか、余計に走りたがってしまうのかもしれません。イレ込むというより走りたがる感じですね。今回は返し馬から凄く落ち着いていて集中を感じました。最後に外へ張る面もなかったです。
——レースでは比較的外を主張しているように感じました。
いいところで収まってくれましたね。前の馬の後ろに入れたい考えはありましたし、外から足音も聞こえて、被される形は避けようと思ったので、外へ誘導しました。結果的には外を回っても大丈夫でしたからね。
——サンキューユウガはダートに2度目の挑戦でした。
前走はかなり緩さを感じましたが、多少良くなりましたね。砂を被ることを避けるようオーダーされていましたが、周りの方が速く叶いませんでした。ただ、砂はあまり嫌がっていなかったですね。もう少し緩さが取れればいいと思いますよ。
——大阪杯(G1)のラーグルフはどうでしたか。
いい時に乗せてもらっているだけに余計に感じますが、マイナス10キロの馬体重であったり、連戦の疲れが出ていると思いました。スタートは出たのにあれだけポジションを取れない馬ではないですからね。輸送なんかも経験がありますし、中山金杯の際も状態が良くなかった中で頑張れた馬ですから。
——サクラファシナンテは混戦メンバーですが、1番人気でした。
う~ん、勝負所から外に張るところが出て、走り切れなかった感があります。
——ブラックボイスは初コンビでした。
基本的には乗り易いタイプです。ワンペースなところもあって、速めの流れに対応はしているのですが、最後は止まっていましたね。少し距離も長いのかもしれませんが、ワンパンチに欠けそうなタイプかもしれません。
——グランドカリナンはあの追い切りを思えば物足りない結果でした。
物足りないですね。進みっぷりが悪くて……モマれ弱さはあるとはいえ、囲まれたから行きっぷりが悪かったわけではないと思います。どうも適条件を掴みかねていますね。兄がロンコーネであることは知っていますが、乗り味は全く違うんですよね。だから一概にダートとは言えないです。
——セイウンミライズは勝ち馬の持ち時計が目立っていましたが、よく頑張ってはいますね。
2走前も中山で走れていましたし、それなりにやれていいと思っていました。最初に乗せてもらった頃よりはゲートも出て、組み立てやすくなっていますね。あとは相手次第という段階じゃないでしょうか。
——先週は大井競馬時代の同僚であった真島大輔騎手の引退式が行われていましたね。南関東にいた頃の同僚は随分と現役を去ったことになりますね。
もう昔の仲間たちはかなり辞めてきていますよね。自分はまだやれていますし、今は地方競馬の際にエキストラ騎乗もできるように再開されてきたので、今度は調教師と騎手として一緒に乗る機会があればと思います!そんな話もしてくれていますし。
——しかし、先週の重賞勝利で拝見しましたが、また髪型も変わっていましたか。
色を増やしたりしましたね。皆、そうだと思いますけど、一か月に一回は行っていて色々試してくれるので。新鮮な気持ちになります(笑)。
——G1の舞台でもインタビューを期待したいところですね(笑)。今週もありがとうございました。
ありがとうございました!
※次回は4月14日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。