'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
最終週の東京は19鞍に騎乗!
2023/6/23(金)
今週をもってひと段落となる東京開催。次週からは福島~新潟を拠点としていく予定とのことが、最終週だけに気持ちよく締めくくってほしいものだ。
テン乗り多めの東京最終週
——今週は土曜が8鞍、日曜が11鞍の騎乗予定となりますね。土曜の話題から伺っていきたいと思います。メモリーグラスは惜敗が続きますね。
惜しい競馬が続いているだけにどうにかしたいところですね。馬場は水分を含んでも対応してくれていましたし、1200m以下になると忙しくなるイメージなので勝ち上がれるといいのですが。
——モリーダーリンも素質を評価されながら、なかなか結果が伴いません。
期待していただけにもどかしいところですね。ただ、集中力であったり、安定感に欠けてしまう面は否めないですね。ブリンカーも試したようですが、その時は逆に力んでしまったようですからね。その馬具を着けた時の感覚もわかっていれば、もっと知れることはあったと思いますが、素質はあるものの、精神面が難しい印象です。
——ロジルーラーは追い切りに乗られたようですね。
体の大きな馬という印象です。背中もいいところはあるので、まずはいい走りをしてほしいです。
——清里特別のモナルヒはテンションが高かった中での好走でしたね。
かなりテンションが高くて、これで走れるのかなという程でした。それまではレースでも集中し切れていなかったそうですし、あまりイジらずに気持ちよく走ることを意識させました。そんな気性だけにアテになるかは未知数……ですね。
——江の島Sのデコラシオンはどうでしょう。
中山で勝たせてもらいましたが、当時の方が条件は向くのかなと思いますね。
——日曜にブレイディヴェーグも追い切りに乗られたうちの一頭です。
2週前と当該週に乗せてもらいました。2週前は緩さと重さがありましたが、着実に素軽くなっていますね。完成するのは先だと思いますが、1勝クラスなら対応してほしいです。
——甲州街道Sのサトノルフィアンは前走が初騎乗でした。
昇級でどこまでやれるか、ですね。前回のように前目でしぶとさを見せて欲しいです。
——パラダイスSのストーンリッジは久々に乗られます。
競馬は上手な印象でした。ハミを下側でとり過ぎる面はありましたし、起きて走れるようになればいいですね。もちろんだいぶ前の話なので、今回どう変わっているか楽しみです。
メイショウモズは低評価を覆す走り しかし…!?
——先週のユニコーンS(G3)はメイショウモズで4着。かなり大味な内容でしたね。
体は立派でフットワークはいいものを感じました。ただ、輸送してテンションが高いのか、「自由過ぎる」という表現を使わせてもらったのですが、わがままといいますか、やりたいことをやっているという感じでしたね。今までは普通の競馬をしていただけに比較がつきませんが、走っていてもハミを取ったり取らなかったり、でした。それでこれだけ走っているだけに驚かされました。
——そんな気性だけに大外枠というのもマイナスなのかなと思いましたが、どうでしょうか。
それはありますね。大外枠は経験のある馬なら関係ないでしょうけど、若い馬にはスペースがある分、ロスの大きい競馬になってしまうこともあります。たとえば大井の時はコースからスタンドが近いので、大外枠からラチの外へ出てしまったり、Uターンして逆走しまうこともよくありました。
——ヴェルトハイムは3着でしたね。
厩舎からは能力を感じているものの、走り切れていないと耳にしていました。掛かって後方からになってしまうこともあったそうで、先入観なく乗ってほしい、という話でしたね。内枠もあってポジションはいいところで走れましたが、周りの馬を気にする面もあって左に構えながら走っていましたね。狭いところを割って走ってくれましたし、広いところに出てからも伸びていました。スタッフも納得してくれたようで、まずはメドが立って良かったと思います。
——オメガキャプテンは惜しい競馬が続いていた中で勝ち切れました。
前走もいい走りをしていましたからね。併せ馬になってしぶとい走りをしてくれました。
——エーリチェは3歳ながら初出走でした。
追い切りではいい動きだったのですが、非力感がありましたね。思っていたほどの走りができませんでした。
——アクションプランは前回がモマれる形。今回は外枠でした。
スタートが決まったのが勝因でしたね。力を出し切れました。今後は色々な形に対応して、力を出せるようになって欲しいです。
——ヘラルドバローズは勝ったかと思いましたが……。
初ブリンカーで好スタート、外枠と噛み合ったと思います。走り方からもこういったコースが合いますね。
——エルパソはどうでしたか。
初めて乗せていただいたところ、すごく大人しい印象でしたね。(三浦)皇成にも話は聞いていたところ、スタートも速くて距離が短くなるのはプラスなのかと思っていたら、返し馬から大人しくてイメージと違いましたね。
——新馬のピューロマジックどうでしたか。
追い切りでは気持ちもあってグイグイと行きっぷりも良かったのですが、砂も嫌がっていましたし、非力な面が目立ちましたね。
——マイショウチャンは遂に勝ち上がりました。
ペースも楽だったとはいえ、道中もスムーズでした。馬場も脚抜きは良かったものの、段々と時計を詰めてくれています。これだけ勝ち切れずにいながら乗せてもらい続けたことに感謝です。
——グシチャンノソラは栗東で追って、東京に挑む珍しいケースでした。
もっとやれて良さそうなのですが……。楽な展開だった割に追ってからワンペースでしたね。今後は距離が長くなるよりは短い方が何とかこなせそうですし、距離短縮に対応してほしいです。
——次週からは福島での騎乗になります。もう長年、経験している流れだと思いますが、夏競馬に期する面や意気込んでいることはありますか?
いや~特には……ただ、新馬戦ではいい馬に巡り合えたらとは思いますね。来年へ向けても。
——ここのところトレセンでの調教騎乗が増えているようですが、トレセンの中での移動に電動バイクを新調されたそうですね。
前に使っていたバイクが壊れてしまったんですよね。それでマネージャーが薦めてくれて、買いました。
——次週からは調教もまた早い時間帯になって大変かと思いますが、夏競馬も引き続きよろしくお願いいたします。今夏は札幌へ乗りに行く機会もあるかと思いますが、今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
※次回は6月30日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。