'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
ソングラインと秋の始動戦・毎日王冠へ!
2023/10/6(金)
いよいよ開幕する秋の東京開催。秋の東京の開幕週と言えば、素質馬が集う毎日王冠はお馴染み。今年はG1を共に制したソングラインとのコンビで臨む。予てより秋はアメリカ遠征を表明しており、次戦へ向けても弾みをつけたい一戦である。なお、戸崎騎手より上半期のG1・2勝を記念して製作したソングラインのTシャツを読者プレゼントとして提供していただいている。締め切りは間近、プレゼントページからご応募を忘れずに。
春より進歩が窺えるソングライン
——今週から東京開催がスタートします。何といっても注目は毎日王冠(G2)のソングラインだと思います。秋初戦ということで、非常に楽しみな一戦ですが、今回も3週続けて追い切りに乗られたようですね。
毎日王冠1週前追い切り、ソングラインに騎乗した戸崎騎手
本当にこの夏を上手く過ごしてきてくれたのでしょうね。週中の報道にもなっているかと思いますが、春よりも良くなっているように感じます。既に一線級で走れているようにガラっと変わっている訳ではありませんが、とにかく余計なことをしないですし、集中力も研ぎ澄まされたのではないかと思います。つまり精神面が良くなったと思います。
——初の1800m、牝馬ながら57キロといった条件も変わります。
マイルであれだけ強い走りをしているので、マイル以外がベストとは言い難いですが、乗り易い馬ですからね。斤量も克服してほしいです。
——5歳牝馬ということで、レースに挑む機会も限られてきますね。
今年、G1を勝たせてもらったことで、秋をずっと楽しみにしてきていました。いいレースを見せられるように精いっぱい頑張りたいですね。
——今週は東京での騎乗。土曜の新馬ではダノンロッキーが仕切り直しのデビューになりますね。
福島開催中に追い切りで乗せてもらった頃より素軽さは出てきましたね。ただ、トビが大きくて体の緩さがあります。条件が合うかどうか、でしょうか。
——サウジアラビアRC(G3)のエコロマーズはテン乗りになります。
福島でいい勝ち方をしていましたね。そこから条件も替わりますし、東京でどれだけやれるか、対応してほしいです。
——日曜のネオステラスは新馬では着差をつけられてしまいましたね。
素軽さはあるのですが、もう少し動けるといいですね。勝つまでには一歩ずつとなりそうですが、課題をクリアしていってほしいです。
——シャンパンマークは追い切りに乗られたようですね。
いい動きはしていますね。持っているモノはいいので、あとは実戦でどれだけ対応できるか、ですね。
——1勝クラスのスペンサーバローズやグランドカリナンも騎乗経験があります。
スペンサーバローズは勝った時の内容が良かっただけに以降が案外な結果。もっとやれて良さそうですが。グランドカリナンは追い切りでは凄くいい動きをするのに実戦では活かし切れていない印象でした。もう一つ、気持ちの前向きさが欲しいところですが、期待しています。
——三鷹特別のシャドウフューリーはどうでしょうか。
東京で勝たせてもらった時はいい走りでした。まだ緩さもありながら勝てたように伸びしろもありそうですね。
——月曜ではオメガウインクやサクラサルーテはどうでしょうか。
オメガウインクは新馬前の攻め馬からいい動きでしたし、実戦でも走ってくれました。逃げなくても形はつくれると思います。サクラサルーテは追い切りでは力を感じましたが、レースでは課題を感じました。良くなっていって欲しいです。
——オメガギネスはレパードSに続いて約2カ月ぶりになります。
楽しみですね。キャリアも浅く、古馬との力関係は気がかりも、追い切りでは状態の良さを感じました。もっと成長していい馬だと思っているので、物足りなさもありますが、コース替わり自体は特に気になりません。
——キングダラスは中山でも崩れませんでしたね。
もともと東京が合うと思っていましたし、いい走りに期待です。
ピクシーナイトはG1制覇の舞台でも復活ならず
——先週の話題で言えば、聞きそびれてしまっていたのが、日本テレビ盃(Jpn2)のセキフウです。
結果的にはやっぱり距離は長かったですね。馬場も重いより軽い方が向いていますね。ただ、以前より競馬の内容は良くなっていて、いい成長はしているように感じましたよ。条件が噛み合えば、エルムSのようにいい走りはできると思います。
——バナマンテソーロは混戦メンバーと感じただけに通用するかと思いましたが……。
一度使ったことで道中でのモタつきは解消されるのかと思いましたが、まだまだでしたね。砂も嫌がっていました。新馬も同じく内枠でしたが、新馬と未勝利ではペースも変わることで砂も被り易くなりますからね。
——ヴェルトラウムは新馬としてはいい内容だったのではないでしょうか。
いい内容でしたね!今後もダートの短いところで活躍してくれそうです。
——タリアはマイペースに持ちこめましたね。
そこに尽きますね。もともとそういう展開に持ちこめるようなスピードのある馬だと感じていました。
——シュヴェルトライテはいかがでしたか。
レースを観て、返し馬でも感じて、後ろからポツンくらいの形でいい馬だと思っていました。ただ、ゲートは出てしまい、流れに乗ってしまったことで、外枠で外々を回らされる苦しい形に。タイプ的にも極端な競馬が合いそうですし、真逆のレースになってしまったことが残念です。
——ピュアバブルは実戦で初騎乗でした。
結果は芳しくありませんでしたが、気持ちはあるものの、まだ体が追い付いてこなかったという内容でした。
——テリオスルルは3着でした。
やっぱり距離は忙しく感じました。レース自体は上手に走れていたので、適条件であれば巻き返せるのでは、と思います。
——アクションプランは1番人気に支持されました。
レースはイメージ通りに行けました。モマれ弱いところも克服してくれましたが、ラスト150mでバッタリでしたね。背腰が甘くてこちらがハミで助けてあげないといけない現状。クラスが上がって流れも変わっていますからね。ついて行ってしっかり脚を溜めるには、展開や条件面も変わればやれると思いますが。
——スプリンターズS(G1)のピクシーナイトは8着でした。
何とか復活といきたかったのですが、この馬本来の走りではなかったのかなと思います。それでも現状、出せる力は出して頑張ってくれました。まだ良くなる余地はありそうですが、やっぱり長期休養を余儀なくされた落馬事故の影響は、まだ残っているのかもしれませんね。
——凱旋門賞(G1)は観られたかと思いますが、戸崎さんも乗られたことのある馬が挑みましたね。
例年と違って軽い馬場になったのかと思いますが、スルーセブンシーズにとっては多少重くてもこなせたのかと思います。自分も何度か乗せていただいて、ガラっと変わるよりは徐々に良くなっている印象。今年になって伸びてきたのも今、思えば納得です。
——ここ最近は他のスポーツも盛んですね。
できる限り観たいのですが、ラグビーは時間が合わなかったりと残念ながら観られてないですね~。でも、いい励みになりますね。
——継続して通われているジムには多種目の競技の選手も来られるようですね。
でも、どちらかと言えばサッカーの選手が多いのかな。バスケの選手もおそらくいたような。
——大井のジョッキーも通われているんですよね。
大井以外で、もう調教師になって引退したジョッキーも行っていましたが、今は大井の数人が行っているはずです。ただ、どうしても曜日は違うタイミングなので、会うことは少ないですね。
——ここ最近、ご自身で新たな取り組みはありませんか。
然程、特に新しいことはないのですが、他に診てもらっているトレーナーさんと言いますか、専門家の方が動作や体の使い方などを研究してくれています。前にも言ったかもしれませんね。いい勉強になっています。
——改めて東京開催になり、競馬場で掲載されているヒーロー列伝のシリーズではソングラインのポスターも完成されたそうですね。今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。