'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
根岸Sはパライバトルマリンに騎乗!
2024/1/26(金)
今週から東京開催がスタート!開幕週には継続してコンビを組んでいるパライバトルマリンと根岸Sに挑むことになる。一気の距離短縮となるが、適性やいかに。先週はJRA通算1万回騎乗も達成。大きな節目に到達もした翌週でもある。気持ち新たに東京開催へ挑んで欲しい。
パライバトルマリンは適性を発揮できるか
——根岸S(G3)ではパライバトルマリンに騎乗されます。水曜は全国的に強風だったようで追い切りでは強い向かい風の中での併せ馬だったようですね。
一番のポイントは1400mになることですね。初めて乗せていただいた頃は1400mも合う雰囲気を感じていましたが、それでも長い距離で走ってしまいましたからね。今回に向けて言えば未知な面は残ります。
この距離を何度か続けて使っていれば感触もわかりそうなものですが……。体はまだ重さもあるとは思いますが、追い切り自体は動けていましたね。1週前より良くなっていました。
——以前、1600mでは速い流れを先行していました。絶対ハナというタイプが多数いるわけではないでしょうが、この距離での流れには対応できそうですか?
イメージとしては先行できるといいですね。ただ、急かせると厳しくなりそうにも感じます。もし内枠を引いて、モマれながらしっかり脚が使えるなら、それはそれで理想ですが。
——木曜時点で凍結防止剤が入るかどうか、把握してませんが、久々にJRAで走るので砂の質も違うと思います。
馬場自体は脚抜きがいい状態でも走れそうですし、軽いダートになること自体はいいと思いますよ。
——試金石の一戦になりそうですね。
走ることに対する精神面の課題は問題のないタイプです。追い切りでは1400mを意識して速い脚を使えるように取り組んだのでそれがいい方に出てくれれば、ですね。
——今週から東京開催。土曜の騎乗馬から伺っていきたいですが、ムーンライトデイは追い切りに乗られたようですね。
並足やダグ、キャンターでは非力に感じたのですが、追い切りではいい動きでしたね。前走は時計が遅い中での2着でしたし、現状ではレースに行ってどんな走りになるか、といったところでしょうか。
——クロッカスSのエリカカリーナは未勝利戦ながら前走はずば抜けた勝ち方に感じました。
強かったですよね。今回も追い切りに乗せていただいたところ、精神的な余裕が出てきたように感じます。レースでもその変化がいい方に出てくれることを期待したいです。テーマとしては折り合いになりそうですね。欲を言えばマイルまではもって欲しい思いはあります。
——白富士Sのフライライクバードは東京に替わります。
精神面の課題があるので、前走以上に気を付けて臨みたいですね。
——日曜のドゥザキャッチは2戦目になります。
ダート替わりがいい方に向いてほしいですね。一度、使った上積みもあれば理想です。
——マイショウチャンは4戦ぶりに騎乗されますね。
段々と1勝クラスもメンバーレベルが変わってきていますし、安定感のあるタイプなので期待したいです。
——エイカイマッケンロも4走ぶりのコンビです。
距離を縮めたのがいい方に出てほしいですね。4走前の際は硬さがありましたが、その前は普通に走れていましたしね。
オメガギネスは前半のロスが響いて2着
——先週のレースでは東海Sのオメガギネスは1番人気に支持されながら2着でした。
もともと元気のいい馬ですが、返し馬から今までで初めて、というくらい元気でしたね。道中も力むところがあり、最後の脚に影響したと思います。
——前走も折り合いに課題が出るのかな、と思いながら収まったように見えました。今回はそれ以上だったということですね。
本音を言えば、折り合いというよりもハミ受けの問題もあると思います。
——アンカツ(安藤勝己)さんも「引っ掛かるというより口向き」と指摘されていましたね。
そうですね。追い切りでも突っかかってくるところがあるのですが、前走の方が収まりが良かったです。収まればもっと体も起こして走れると思いますが……。
——カズキは動いて行って4着でした。
ワンペースな反面、しぶといタイプだと思っていました。それもあって動いていったのですが、上位に残れなかったですね。それでも馬場も合っていたと思いますよ。
——リネアグローリアは惜しかったです。
上手に走ってくれましたし、枠も良かったです。いい形で運べたと思います。
——新馬のジャミラヌールは4着でしたね。関西に遠征しながら頑張ったと思いますが。
競馬自体は上手でしたが、重心が低い分、伸びて走っていましたね。
——ヘッズオアテールズは2着でした。
体の緩さが感じられましたが、走り自体は素軽かったです。いい走りはしてくれました。
——メイショウコバトは惜敗続きにピリオドを打ちました。
勝ち切れたことは良かったです。本来は包まれたくなかったのですが、展開の助けもありましたね。
——しかし、珍しいケースで鞭の使用回数による制裁がありましたね。
これでは良くないのかもしれないですが、自分は打ち過ぎることがないので、気を付けていなかったんです。そうしたら、クリストフ(ルメール)と一緒に制裁になっていたという……。自分でも驚きましたね。
——ダートですし、接戦でしたし、キレるタイプでもないので二人でそんな競馬になっていたと。
本当にそうですね。制裁点ゼロを目指していたのでもったいないです。
——アッティラはどうだったでしょうか。
比較が無いのでわからない面もありますが、連闘の分、トモの状態はもう一つだったかもしれませんね。背中はいいものがあったので立て直せれば1勝クラスでは上位のはずです。
——アイアムユウシュンは好タイムで勝利しましたね。これは強かったです。
期待通りでしたね。一度使って体も絞れていて状態も上向いていて内容も良かったです。理想を言えば1400mまで走れるようになってほしいです。
——エクリプスルバンは追い切り時計がエラー、映像をみても外を向いていてどうかなと感じました。
期待以上の走りでした。もう少し体を使って欲しいと思っていましたが、フットワークもよく、センスもありました。
——今週から開催が替わりますね。
また改めてという気持ちで臨みたいです。昔からですが、東京は好きなコースですからね。
——全く話題は変わりますが、たまたま調べていたら東京に限らずの話で、去年は逃げた回数が凄く少なかった年でした。31戦5勝で同じような騎乗回数のジョッキーたちに比べると、半分くらいでした。
確かに自覚はありますね。逃げが決して好きだとは思っていませんが、あまりそういうタイプの馬に乗っていなかったのかもしれません。その点、(坂井)瑠星なんかはよく逃げていますよね。
——先週は1万回騎乗を達成となりました。
沢山乗せていただいている積み重ねですからね。本当にありがたいです。それだけ長く乗っていることの証になりますし、日頃から仕事に対して取り組んできて、その結果でもあるので、何か人生を現すような記録なのかなと感じました。これだけの数を達成できたことを嬉しく思います。
——来週は東京での騎乗、今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。